1日の労働時間5.6時間だけで賃金もアップ!?

ドイツ・フランクフルトにあるIGメタルの本部(Vytautas Kielaitis / Shutterstock.com)。
1週間の労働時間を、35時間から28時間に短縮。つまり、週休2日として換算すると、1日の労働時間はたった5.6時間。
9時に出社した場合、ランチ休憩の1時間をプラスして午後4時前には帰れちゃうのです。
というか、働きすぎの日本人からすれば週35時間(1日7時間)でさえ短く感じますが。。。
この驚くべき労働時間の短縮が実現されたのは、ヨーロッパを牽引するドイツ。
金属・電機業界の労働者390万人を代表するドイツ最大の労働組合IGメタル(金属産業労組)が、昨年末からの労使交渉で勝ち取ったこの条件は、現在のところ、最長2年間で育児や介護の必要がある労働者に限定されてはいますが、この波が大きくなっていけば、やがて世界の働き方を変えるきっかけになるかもしれないと、期待されているのです。
デジタル化の進展によって生まれた新しい価値観
ワーク・ライフ・バランスを重要視するドイツでは、デジタル化の進展によって時間や場所にとらわれないフレキシブルな働き方が広がったことや、少子高齢化によって労働者が無理せず長く働き続けられる裁量労働制が模索されていたことなどから、これまでの時代とは違う新しい働き方を求める声が高まっていました。
こうした声を受けて立ち上がったのが、IGメタル(金属産業労組)でした。
IGメタルは「労働者が育児や介護責任を負う場合など、各人のニーズに応じて、労働時間を週35時間から最大で週28時間まで短縮できる権利を要求していく」とし、強硬なストライキやデモも辞さないといった構えで雇用主側との交渉に臨み、2018年2月7日に見事その権利を勝ち取ったのです。
しかも、4.3%の賃金アップというおまけつきで!
自分たちの権利を主張することの大切さ
そもそもドイツでは、たとえ飲食店やスーパーであっても日曜日は休みなのが基本で、平日も1日10時間以上の労働が禁止されているなど、労働者の権利が守られていました。
また、会社に雇用される際は、会社と労働者との間で事前に「労働契約書」を交わし、労働条件が悪くならないように備えることが通常なんだとか。
残業や休日営業が当たり前の日本では、なかなか考えられないことですね。。。
ちなみに、ドイツの年平均労働時間は1371時間で、日本の1719時間に比べると圧倒的に短いことがわかります。にもかかわらず、なんと労働生産性は約46%も日本を上回っているのです。
労働時間は短いのに経済は絶好調ときてるんですから、何も言えません。
日本人の我慢強さや勤勉さは非常に素晴らしい部分ではありますが、より良い条件で働ける可能性があるなら、そしてそのことが経済や社会にとっても良いことにつながるなら、労働者が声を上げて自分の権利を主張するのも大事なことではないでしょうか?