【スペイン】アルハンブラ宮殿
スペイン南部に位置する都市グラナダ。シエラネバダ山脈のふもと、「ベガ」と呼ばれる肥沃な平野を基盤に栄えた都市で、かつてイベリア半島最後のイスラム王朝となった、ナスル朝グラナダ王国の首都として繁栄した歴史ある街です。
そして、グラナダ市街南東部の丘に建ち、街の象徴となっているのが、「イスラム文化の最高傑作」と名高いアルハンブラ宮殿です。

夕日に染まるアルハンブラ宮殿。「アルハンブラ」とは、アラビア語で「赤い城塞」を意味する。
「街」のように巨大な「宮殿」
アルハンブラ宮殿の建設は、アルアマール王の指揮のもと、13世紀に始められると、その後も増改築が繰り返されたことから、最終的には1万4000平方メートルもの面積を誇る広大な城塞となりました。
その美しさから「アンダルシアの宝石」と称されるアルハンブラ宮殿は、王宮、カルロス5世宮殿、アルカサバ(城塞)、ヘネラリフェ(離宮)の4つの建物から構成されており、宮殿の中心には、イスラム風の美しいパティオ(中庭)が配されている。
また、アルハンブラ宮殿は、街のような性質も兼ね備えており、広大な敷地内には住宅、官庁、軍隊、厩舎、モスク、学校、浴場、墓地、庭園など、さまざまな施設も建てられています。

コマレス宮内のアラヤネスの中庭(Mistervlad / Shutterstock.com)。

アルハンブラ宮殿の北、チノス坂をはさんだ北側の太陽の丘に位置する離宮「ヘネラリフェ」内の「アセキアの中庭」( Jose Ignacio Soto / Shutterstock.com)。

「ライオンの中庭」。長さ28メートル、幅16メートルで、庭を囲む4つの建物には、124本もの大理石の円柱が立ち並ぶ(Jose Ignacio Soto / Shutterstock.com)。

「ライオンの中庭」を囲む建物のひとつ「二姉妹の間」。スルタン(王)の妃と家族が住まいとして使用していた(Vlad G / Shutterstock.com)。

「二姉妹の間」の天井は、びっしりと美しい装飾が施されている(Mistervlad / Shutterstock.com)。

カルロス5世宮殿内の列柱に囲まれた中庭。

細かい部分まで美しいタイル装飾や彫刻が施されている。
グラナダの見どころ
歴史あるグラナダには、入り組んだ細い路地に白壁の家が並び、イスラム王朝時代の街並みが残る「アルバイシン地区」や、モスクの跡に180年の歳月をかけて建てられた「グラナダ大聖堂(カテドラル・サンタ・マリア・デ・ラ・エンカナシオン)」など、見どころも豊富。
1984年には、アルハンブラ宮殿、ヘネラリフェと合わせて、「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区」として、世界遺産に登録されました。

アルバイシン地区の景観。

グラナダ大聖堂の内部。
DATA
◉アクセス:グラナダ空港からバスで約10分。または、マドリードから長距離バスで約5時間。