【ロシア】エカテリーナ宮殿
ロシア西部の都市サンクト・ペテルブルク。エカテリーナ宮殿は、その中心部から南東25キロほど離れた場所に位置する避暑地、ツァールスコエ・セローに建つ壮麗な宮殿で、1990年には、「サンクト・ペテルブルク歴史地区と関連建造物群」の一部として、世界遺産に登録されました。
まるでロシア帝国時代の富を象徴するかのような、豪奢(ごうしゃ)で壮大なエカテリーナ宮殿。その名称は、農民の娘から初代ロシア皇帝ピョートル大帝の后となり、そしてロシア史上初の女帝にまで上り詰めた、エカテリーナ1世に由来しています。

全長325メートルのファサードは、圧巻。
女帝たちが建てた宮殿
エカテリーナ宮殿が最初に建てられたのは、1717年のこと。エカテリーナ1世がドイツの建築家を雇い、夏の避暑用に滞在する宮殿として造らせたのがはじまりで、その後、第4代ロシア皇帝アンナにより増築されました。
そして、エカテリーナ1世の娘である第6代ロシア皇帝エリザベータによって大規模な改築が行われ、現在の姿となりました。
エリザベータの命により、1752年から4年の歳月をかけて大々的に建て直された宮殿の改装を任されたのは、ロシア皇帝の冬季の王宮である冬宮殿(現在はエルミタージュ美術館として使用)の建設にも関わっていた、宮廷付きのイタリア人建築家バルトロメオ・ラストレッリ。
彼の手によって、もともとは質素だったエカテリーナ宮殿が、全長325メートルにおよぶ壮麗・壮大なロココ様式の宮殿へと生まれ変わることとなったのです。

水色を基調とした、白と金のコントラストが美しい外観。

幾何学模様の庭園も見事(den781 / Shutterstock.com)。

宮殿の外壁に施された彫刻も手がこんでいる。

庭園にある大きな池のほとりに建つ小宮殿「グロット」。ここでエカテリーナは毎日お茶を飲んでいたという。

秋の紅葉も美しい。

絢爛豪華な「鏡の間」(Sergey_Bogomyako / Shutterstock.com)。

エカテリーナが着ていたというドレスの複製(Piith Hant / Shutterstock.com)。

豪華な調度品も再現されていて、見ごたえ満点(Anna Pakutina / Shutterstock.com)。
エカテリーナ宮殿の見どころ「琥珀の間」
エカテリーナ宮殿の象徴でもある水色を基調とした、白と金のコントラストが美しい外観だけではなく、建物内部も贅を尽くした装飾で飾り立てられています。
なかでも特に有名な「琥珀の間」は、その名の通り部屋全体の装飾が琥珀で埋め尽くされた豪華絢爛な部屋。
この部屋は、エリザベータが治めていた1770年に完成したものの、その価値の高さと美しさから第二次世界大戦のレニングラード包囲戦中、ドイツ軍により琥珀を根こそぎ持ち去られてしまいました。
しかし、1979年からはじまった復元作業により、2003年には完全に復元。現在は一般に公開されています。

「琥珀の間」。あまりのまばゆさに、思わず目を細めてしまうほど(Alexandra Lande / Shutterstock.com)。

壁面には細かい琥珀がびっしりとはめ込まれている(Alexandra Lande / Shutterstock.com)。
DATA
◉アクセス:サンクト・ペテルブルクのヴィテフスク駅から、ツァールスコエ・セロー駅まで列車で約25分、駅からバスで約15分。