【オーストリア】ホーエンザルツブルク城

街を見下ろす、メンヒスブルクの丘の頂に築かれているホーエンザルツブルク城。

城下にはザルツァッハ川が流れている。

ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台になったことでも知られるミラベル庭園と、ホーエンザルツブルク城。
オーストリア北西部に位置し、モーツァルト生誕の地として知られるザルツブルク。ホーエンザルツブルク城は、そんな音楽の街を見下ろす高台に、11世紀に築城された巨大な城塞です。
1996年には、「ザルツブルク市街の歴史地区」の一部として、世界遺産に登録されました。
「塩の砦」の歴史

冬のザルツブルクとホーエンザルツブルク城。

レジデンツ広場とホーエンザルツブルク城をつなぐケーブルカー。
「塩の砦」を意味する名前のとおり、紀元前より岩塩の交易で栄えてきたザルツブルクは、8世紀に司教座が置かれて以来、カトリック文化の中心地として発展してきました。
この美しい街を見守るように、旧市街南側にそびえるメンヒスブルクの丘の頂に建つ街のシンボルが、ホーエンザルツブルク城です。
ホーエンザルツブルク城の歴史は、神聖ローマ皇帝とローマ教皇の間に起こった叙任権闘争(中世初期のヨーロッパで起こった、位を与えたり聖職を任命したりする「聖職叙任権」をめぐる争い)の際に、皇帝派の報復を恐れた教皇派の大司教ゲプハルト1世が、1077年に築いた防衛施設に始まります。
大司教の権勢を今に伝える城

城内の教会。

大司教の権勢を示す彫刻が配されている(Rostislav Ageev / Shutterstock.com)。

街のように巨大な城内。華美な装飾はあまりない。

世界で最も大きな室内楽コンサートのひとつとして、1979年から開催されている「ホーエンザルツブルグ城塞コンサート」の会場となる部屋(Anibal Trejo / Shutterstock.com)。

城の広場からは、歴史的建造物が立ち並ぶザルツブルクの美しい街並みを一望できる(Rostislav Ageev / Shutterstock.com)。
その後は歴代大司教の居城として使用されていたホーエンザルツブルク城ですが、15世紀後半になると、ハプスブルク家やバイエルンといった周辺諸国や市民の反乱に備えて、巨大な塔や防壁、武器庫などが増築されて次第に要塞化していき、17世紀頃に現在の姿となりました。
現在、ホーエンザルツブルク城は博物館として利用されており、当時絶対的な支配力を誇っていた大司教の権勢を今に伝えています。
DATA
◉アクセス:ウィーン西駅からザルツブルク中央駅まで列車で約3時間、駅からレジデンツ広場までバスで約10分、広場からケーブルカーで約1分。