日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社でキャビンアテンダント(CA)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎
まずは、フライト先ごとで違う、お客様の特徴についてのお話です。
「大阪」行きと、「東京」行きのフライトの違い
何年もキャビンアテンダント(CA)のお仕事をしていると、いろいろなお客様にお会いします。
旅行に行ったり、留学に行ったり、仕事だったり、皆さん旅の目的がそれぞれ違うので、それぞれのお客様の雰囲気も変わってきます。また、時間帯によっても客層が変わるので、その客層に合わせて、フライト自体の空気感も違っていることも。
また、フライト先の都市によって、人柄が違っているのも面白いです。
大阪は友達のような感覚で会話をしてしまいそうになる、フレンドリーなお客様が多いですし、羽田だとビジネスマンが多く、黙々と仕事をしていらっしゃるか、ずーっとお休みになっていらっしゃる方が多くなります。
また、クレームに関しても地域差が出てきます。
たとえば関東のフライトだと、フライトが終わってから、後日改めてオフィスに連絡が来るそうです。
これが大阪のフライトだと、機内でプンプン怒っていても、こちらがちゃんと対応すれば、飛行機を降る時には「ありがとう」と笑顔で帰っていかれます。ものすごく怒っていたのに、帰りには “飴(アメ)ちゃん” を下さったお客様もいらっしゃいました(笑)
あわや大惨事!? 「福岡」行きのフライトで起こったハプニング

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このフライト先の都市の人柄というものを、とても感じたフライトがあります。
何年も前の話ですが、深夜に出発して、早朝に福岡に到着するフライトでした。
その頃まだまだ新人だった私は、慣れない深夜便で頭がボーっとなりつつ、睡魔と戦いながら仕事をしていました。
そして福岡に到着する前、数種類のジュースをトレイに載せて、お客様に好きなものを選んで頂くのですが、そのトレイを持ってお客様にお配りしていたところ、飛行機が突然揺れて少しヨロけてしまった私は、横になりお休みになっていたお客様の頭の上から、「バッシャーー!!!」とジュースをこぼしてしまったのです。

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お客様にとったら、まさに「寝耳に水」状態です。
「コレはとんでもない事をやってしまった」と焦った私は、怒鳴られる覚悟をし、すぐに乾いたタオルと、濡れたティッシュをお出しして、必死に謝りました。
……が、そのお客様は「よか、よか。枕だけ変えてー。」とだけおっしゃり、新しい枕を持って行くと、そのまままたお休みになられたのです。
私は拍子抜けでした。
頭も髪もジュースで濡れてベトベトしていて、普通だったら怒ると思います。けれど、そのお客様はひと言も怒りの言葉を発さず、ただ濡れた部分を拭いて寝るだけでした。
その時の私には、そのお客様が神様に見えました。福岡に到着してからも普通にお帰りになり、後日クレームが来ることもありませんでした。
もともと福岡のフライトは好きでしたが、この事件以来、福岡のフライト、福岡の人がもっと好きになりました◎
フライト先ごとの違いを楽しむ
このお客様のように、福岡には「のんびり・ほんわかしたイメージ」があります。
また前述のように、東京、大阪にもそれぞれに人柄や雰囲気がありますし、ほかの都市にもさまざまな特徴があります。
その特徴を考えながら、お客様に合わせて仕事をするのもまた、キャビンアテンダントとして楽しみな部分です。