平和を象徴する「太陽の樹」

オリーブの枝と果実。グリーンの果実が熟す と、黒褐色へと変化する。
「平和の象徴」として知られるオリーブは、国際連合の旗をはじめ、さまざまな国の国旗に描かれています。
これは、神が起こした大洪水の後、陸地を探すためにノアがハトを放ったところ、オリーブの枝をくわえて帰ってきたという「旧約聖書」の一節に基づいたもの。
また、古代ギリシャではオリンピックの勝者にオリーブの冠が与えられたなど、古くから重要な植物として扱われてきました。
なかでも、オリーブの果実から採れるオリーブオイルは「人類史上最古の食用油」といわれ、6000年ほど前に中近東で栽培され始めました。1世紀頃の古代ローマにおいて、オリーブオイルは「黄金の液体」と呼ばれ、商取り引きの中心となっていたといいます。
乾燥し、やせた土地でも育つオリーブは、世界最大の産地であるスペインを中心に世界に広まり、今では500を超える品種があるといわれています。生命力が強く、樹齢が長いことが特徴で、樹齢数百年を数える古木も多いんだとか。
ちなみに日本では、1862年に江戸幕府の侍医であった林洞海(はやしどうかい)がフランスから苗木を輸入し、神奈川県の横須賀に植えたことが始まりだとされています。
そのままでも飲める、栄養たっぷりのオリーブオイル

オリーブオイル。
鳥や動物もついばむことがほとんどないほど、渋味や苦味が強いオリーブの果実。
そのため生食には向かず、果実から搾油したオリーブオイルや、塩漬けにした果実を食べるのが一般的です。
オリーブオイルは、植物油のなかでも特に消化吸収が良いとされ、不飽和脂肪酸のオレイン酸や、リノール酸、リノレン酸が豊富に含まれているため、血管の健康維持に役立つほか、動脈硬化予防、便秘予防、消化を良くする効果もあります。
オリーブオイルは種類によって使い分ける

「エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル」は、バゲットに付けてそのまま。

さまざまハーブを漬けてハーブオイルとしても◎
オリーブオイルの種類は多種多様で、価格もさまざまですが、なかでも最高級のものは「エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル」と呼ばれます。
これは、果汁から遠心分離などによって直接得られた「ヴァージン・オイル」のなかでも、特に果汁の香りが良好で、品質が高いオイルのことを指します。
そのため、加熱せずにそのまま食べることができ、パンや野菜などに付けて味そのものを味わうのがおすすめ。

塩漬けにしたオリーブの果実。つぶしてアンチョビやケッパー、ニンニクと混ぜれば、フランス南東部のプロヴァンス地方の伝統的なペースト「タプナード」として楽しめる。

塩漬けやマリネにしたオリーブが並ぶ、フランスのマーケット。

トマトやタマネギ、フェタチーズ、オリーブの果実などの具材にオリーブオイルをかけた、ギリシャの「グリークサラダ」。
また、塩漬けにしたオリーブの果実は、サラダをはじめ、パスタソースやピザのトッピング、ワインのおつまみなど、さまざまな食べ方で楽しめます。
肌のケアにも使えるオリーブオイル

オリーブオイルとオリーブ石けん。
効能
▪炎症、かゆみ
▪ひび、あかぎれ
▪肌荒れ
▪フケ
▪日焼け など
石けんに最適

マルセイユ石けん。
フランス王室御用達の「マルセイユ石けん」をはじめ、オリーブオイルを使った石けんは古来より珍重されてきた高級品。
お気に入りのオイルを見つけて、手作りに挑戦してみるものオススメです◎
また、手足や爪のお手入れに、温めたオリーブオイルに手足や爪を5分ほど浸すと、しっとりとつややかな指先に。オイルでマッサージするのも効果アリです。
オリーブの育て方

ギリシャ・クレタ島のオリーブ畑。
育てやすさ : ★★★★☆
種まき : 3~4月
花期 : 5~6月、11~12月
収穫 : 8~12月
▪ 乾燥気味に管理する
▪ 同じ品種の花粉では受粉しないため、違う品種の株を隣接して植える
▪日光をたっぷり当てる
ABOUT THE HERB
和名 :オリーブ
学名 :Olea europaea
分類 :モクセイ科/常緑高木
原産地 : 地中海沿岸
草丈 : 3~10m
使用部分 :果実、葉
用途 : 料理、美容健康
効能 : コレステロール低下、動脈硬化改善、便秘改善、消化促進、美肌、血圧降下、抗ウイルス など