【トルコ】カッパドキア

カッパドキアのシンボル「妖精の煙突」。中に妖精が住んでいるという言い伝えからその名が付いた。
トルコの首都アンカラの南東に広がるカッパドキア。
標高1000メートルを超えるアナトリア高原の中央付近にあるこの岩石地帯には、煙突状の奇岩が至る所にそびえ立つ、世にも珍しい奇観が広がっています。
この不思議な景観は、およそ6000万年前の火山活動によって凝灰岩の柔らかい地層と硬い地層とが重なり合ったのち、長い年月をかけて雨風に浸食された結果生まれた、まさに自然の驚異の産物。
点在するキノコ型の奇岩は「妖精の煙突(ペリバジャ)」と呼ばれ、カッパドキアのシンボルになっています。
地下に身をひそめた修道士たちの祈り

野外博物館内の岩窟教会、エルマル・キリセの内部。壁面は色鮮やかな美しいフレスコ画で装飾されている(natalia_maroz / Shutterstock.com)。

エルマル・キリセの天井に描かれたフレスコ画(Andrey Prokhorov / Shutterstock.com)。

かつて4万人が暮らしていたという、カッパドキアの世界最大の地下都市「デリンユク」。

広大なデリンクユ内部。現在は地下8階まで見学することができる。
この奇岩の大地カッパドキアに、ローマ帝国の迫害から逃れてきたキリスト教の修道士たちが移り住んだのは、4世紀頃のこと。
彼らは身を隠すために岩をくり抜き、数多くの岩窟教会を造り上げました。さらに、地下を掘り進め、住居や修道院、墓地まで備えた巨大な地下都市へと発展させていったのです。
当時、カッパドキアの洞窟に住むキリスト教徒は約6万人以上にも達したといわれており、彼らはここで息をひそめて神に祈りを捧げていたのでしょう。
現在、これらの岩窟教会は野外博物館として利用されており、内部には美しいフレスコ画が色鮮やかに残されていますが、残念ながら岩窟教会内はすべて撮影禁止になっているので、ぜひ実際に訪れてその目でご覧になってください◎
また、岩窟住居のなかには再利用されてホテルとして宿泊できるようになっているものもあり、カッパドキアの歴史を体感できるとあって、とても人気なんだそう◎

野外博物館に残る、岩窟住居。

ホテルとして再利用されている、岩窟住居の部屋(evantravels / Shutterstock.com)。
世界遺産のなかでも貴重な「複合遺産」

岩をくり抜いて築かれたウチヒサルの村。左上にそびえるの巨大な岩窟住居は「ウチヒサル城塞」と呼ばれ、頂上からは360度のカッパドキアのパノラマを楽しむことができる。

ウチヒサルの夜景。まさに自然と人間が生み出した絶景だ。
大自然と人間の信仰心によって創造されたカッパドキアの奇観は、「ギョレメ国立公園とカッパドキア岩窟群」として、1985年に世界遺産に登録されました。
これは世界でも珍しい「複合遺産」で、数億年にもおよぶ地球の活動が生み出した「自然遺産」としての価値、信仰心に突き動かされた人々が作り出した「文化遺産」としての価値の両方が認められたということ。
1000件を超える世界遺産のなかでも、複合遺産はたった3%ほどしかない貴重な場所なのです。
ハズせない絶景スポット「ローズバレー」

夕日で真っ赤に染まったローズバレーと気球。
カッパドキアのなかでも、屈指の絶景スポットとして知られる「ローズバレー」。
オルタヒサル村にあるローズバレーは、なだらかに続くピンク色の岩肌が特徴の峡谷で、特にサンセットの美しさで知られています。
「ローズバレー」という名前も、そんな夕日で真っ赤に染まる神秘的な光景から付けられたものだそう。
現地では、息をのむほど美しい景色を大パノラマで堪能できるということで、気球に乗ってカッパドキアを上空から眺められる「バルーン・ツアー」がとても人気◎
多くのツアー会社で開催されているので、ぜひ活用してみてください。
夕日に染まるローズバレーは、一生に一度は見ておきたい、一見の価値ありな絶景ですよ◎
DATA
◉ベストシーズン:4月~5月、9月~10月
◉アクセス:カイセリ空港からバスで約2時間。または、イスタンブールからバスで約13時間。