【フィンランド】オラヴィ城

まさに「中世の古城」といった趣の、オラヴィ城。

周囲はフィンランドらしい緑豊かな森に囲まれている。
フィンランド南東部の街、サヴォンリンナにある国内最大の湖、サイマー湖。その湖に浮かぶ島に建つオラヴィ城は、「世界で最も北に位置する中世の城」として知られています。
また、街のシンボルにもなっているこのお城は、フィンランド三大古城のひとつにも数えられる歴史あるお城です。
特に、日が沈んでからのライトアップは格別の絶景として有名。静かな湖に浮かび輝くその幻想的な姿は、思わず時間を忘れて眺めてしまうことでしょう。

ライトアップされたオラヴィ城。

朝日のなかに浮かび上がるオラヴィ城も、オススメ。

まさに、湖の上に浮かんでいるかのようなオラヴィ城。
オラヴィ城の歴史
オラヴィ城は、フィンランドがスウェーデンの支配下にあった1475年に、領土を拡大していく過程で軍事要塞として建てられました。
主な建築資材は近郊で採取した石で、石造りの城塞としては世界最北に位置しています。
17世紀には5つの塔がありましたが、戦争が激化した18世紀に占拠と奪還が繰り返されたことで塔も破壊され、最終的に現在の形である3つの塔が残りました。

上空から見たオラヴィ城。3つの塔がよく見える。
20世紀に入ると、当時の著名なフィンランド人オペラ歌手であるアイノ・アクテがオラヴィ城でのオペラ公演を提唱し、それを実現させたことによって、それまでの軍事要塞としてのイメージが一新されることになります。
オペラ公演はその後も「サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル」として続けられ、今では毎夏恒例のイベントとして定着しています。
6万人を動員する夏の一大イベント
「サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル」では、オラヴィ城内に設営された舞台でオペラ作品が上演されます。
毎年複数の演目が用意され、日替わりで毎夜1作品ずつ上演していきます。
世界中の誰もが知るクラシカルな名作から、フィンランドの民族叙事詩をテーマに扱ったものや、かなり現代的な演出がされた前衛的な作品まで、毎年多彩なラインナップです。
今では世界中から観客が集まるフィンランドの夏の一大イベントとなっていて、その開催期間は1カ月間にもおよび、観客の総動員数はなんと6万人に達するほど!
日ごろオペラを見る機会があまりない人でも、石造りの古城で舞台を鑑賞できるというぜいたくな体験は、一生に一度は経験してみたいものですよね?
ちなみに2018年の「サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル」は、7月6日から8月4日にかけて開催予定。演目は『ファウスト』、『オセロ』など4作品に加え、新作として『スペードの女王』も上演されるそうですよ◎
「ドラゴンクエスト」のお城のモデル
今ではオペラで有名なオラヴィ城ですが、じつはあるゲームのモデルとなったことでもファンの間で知られています。
そのゲームとは、日本が世界に誇るロールプレイングゲームの金字塔『ドラゴンクエスト』。
なつかしいファミコン時代に発売された、1~3のシリーズに登場する「竜王の城」は、このオラヴィ城がモデルといわれています。
実際に、オラヴィ城の内部は迷路のように複雑に入り組んでいるので、城内を歩いているとゲームの主人公になったかのような気分も味わえます◎

まさにゲームに出てきそうな、城内の金庫。

かつて食堂として使用されていた部屋も雰囲気満点(Vitaly Titov / Shutterstock.com)。
ガイドごとに違うオリジナルツアーに参加してみよう!
そんなオラヴィ城は、ガイドツアーでのみ見学が可能。ツアーは45分ほどで、料金は大人ひとり約10ユーロ(約1300円)です。
オラヴィ城のガイドは、それぞれの得意分野に合わせて各自オリジナルのツアーを組み立てているので、各ガイドよって話す内容が違うのが特徴。
なんでもオラヴィ城には歴史や逸話がたくさんありすぎて、45分では収まりきらないほどなんだそう!

オラヴィ城へと続く湖上の橋。

冬はまた違った雰囲気に。
その見た目の美しさはもちろんのこと、オペラやゲームなど、さまざまな角度から興味をそそられるオラヴィ城。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?
DATA
◉アクセス:ヘルシンキからサヴォンリンナまで列車で約4時間半、駅から徒歩約10分。