【ポルトガル】カルモ修道院
ポルトガルの首都、リスボンの中央部に位置し、街のランドマークともなっているロシオ広場。正式名称は「ペドロ4世広場」ですが、市民には「ロシオ広場」の愛称で親しまれています。
この広場を眺める丘の上に悠々と建つのが、カルモ修道院。天井が抜け落ちたその印象的な外観は、まるで古代の神殿を思わせます。
カルモ修道院の始まりは1389年、王の次の軍最高位である、ポルトガル軍総指揮官の地位にあった騎士、ヌーノ・アルヴァレス・ペレイラにより、カルメル会の修道院として、簡素なゴシック建築で建てられたことによります。
しかし、1755年に起きたリスボン大地震により、建物の大部分が崩壊してしまったのです。その後も十分な再建が成されず廃墟となり、今に至っています。
その後、1864年にポルトガル建築協会に寄付されることとなったカルモ修道院。現在は、本堂と、教会のアプス(後陣。壁面に穿たれた半円形、または多角形に窪んだ部分)がカルモ建築博物館として一般に公開されています。
ポルトガルのレコンキスタ(国土回復)初代王である、ドン・アフォンソ・エンリケスの胸像や、フェルナンド王の墓石、16歳でスペイン・カスティーリャ王国からポルトガルのペドロ王子に嫁ぎ、25歳で生涯を終えたコンスタンサ姫の墓石、ポルトガルの伝統的な装飾タイルである「アズレージョ」、古代ローマ帝国や西ゴート王国時代の出土品などを見ることができます。

カルモ修道院の正面ファサード(Sergio Delle Vedove / Shutterstock.com)。

天井が抜け落ちているが、今も神聖な雰囲気をたたえるカルモ修道院の本堂。

レトロなシャンデリアも当時のまま(Elias Garrido / Shutterstock.com)。

修道院の中に入り天を仰ぎ見ると、そこには空が広がっている。これは本堂の石造りの屋根で、地震後崩壊しそのまま再建されず、柱の間の一部アーチだけが今も残っている。

リスボンの市街地の中に、ぽつんと廃墟のまま残されている。

博物館内に展示されている、中央・南アメリカで発掘された少女のミイラ(Elias Garrido / Shutterstock.com)。

こちらは同じく中央・南アメリカで発掘された少年のミイラ(Elias Garrido / Shutterstock.com)。

ポルトガルらしい個性的な装飾も見どころのひとつ(Sonia Bonet / Shutterstock.com)。
DATA
◉アクセス:バイシャ=シアード駅から徒歩で約5分。