【マルタ共和国】聖ヨハネ准司教座聖堂

直線的で実質剛健な印象を受ける、聖ヨハネ准司教座聖堂の外観。

聖ヨハネ准司教座聖堂の内部。外観の印象とは180度異なる、黄金色で輝くきらびやかな装飾で埋め尽くされている(Anton Zelenov / Shutterstock.com)。

天井部分も金色。細かい部分までびっしりと装飾が施されている(Vladimir Zhoga / Shutterstock.com)。

壁や天井を埋め尽くす彫刻。デザインとしても非常に見ごたえがある。
地中海に浮かぶ島国、マルタ共和国は、1530年からマルタ騎士団の拠点となっていました。
マルタ騎士団とは、12世紀に発祥した聖ヨハネ騎士団を起源とする組織で、イスラム教徒への攻撃や、巡礼者の保護などを担っていました。

外壁に施された、マルタ騎士団のレリーフ。
しかし1565年、マルタ島がオスマン帝国に侵攻されたことを機に、「マルタ大包囲戦」が勃発。
マルタ騎士団は、激しい攻防の末にオスマン軍を撃退しますが、この戦いで騎士と兵士の6分の5を失うこととなりました。
戦いの終結後、ただちにマルタ島東部の港に要塞都市が築かれ、当時の騎士団総長の名前にちなんで「ヴァレッタ」と名付けられました。
このヴァレッタが、現在のマルタ共和国の首都です。

海上から眺めたヴァレッタの街。中央右寄りの部分に、聖ヨハネ准司教座聖堂のドームが見える。
そして1577年、マルタ騎士団の守護聖人である聖ヨハネを祭った聖ヨハネ准司教座聖堂が完成したのです。
オスマン軍との戦いで戦死した騎士たちは、聖ヨハネ准司教座聖堂の下に埋葬されることとなりました。
大理石でつくられた墓石には、騎士たちひとりひとりの戦いの記録が、克明に刻まれています。

騎士それぞれのエピソードが刻まれた、床に敷き詰められた大理石。その下には騎士たちが眠っている(Vladimir Zhoga / Shutterstock.com)。
聖ヨハネ准司教座聖堂の見どころ
聖ヨハネ准司教座聖堂の礼拝堂には、イタリアの画家カラヴァッジョ(カラヴァッジオ)が描いた「聖ヨハネの斬首」が展示されています。

礼拝堂に展示されているカラヴァッジョの代表作、「聖ヨハネの斬首」(Vladimir Zhoga / Shutterstock.com)。
これらは、カラヴァッジョが殺人を犯してマルタに逃亡していた、1606~1608年の作品で、彼の代表作とされているもの。
なお、カラヴァッジョはマルタ滞在中にマルタ騎士団の一員として迎え入れられたものの、素行の悪さから再び問題を起こし、マルタからも逃げ去ることとなってしまいました。

聖堂内にも数多くの絵画が飾られている(Vladimir Zhoga / Shutterstock.com)。

絵画を彩る周囲の装飾も見ごたえ満点(Vladimir Zhoga / Shutterstock.com)。
DATA
◉アクセス:ホマルタ国際空港からヴァレッタまでバスで約30分、バス停から徒歩で約10分。
◉休業日:土曜日の午後、日曜日、祝日。