世界最大の塩湖
ボリビア南西部のポトシ州にある小さな街、ウユニ。「ウユニ塩湖」は、標高約3700mという富士山と同じくらいの高さに位置するアルティプラーノ高原に広がる、地平線の果てまで真っ白な塩で覆われた塩湖です。
この世界でも類を見ない広大な塩湖の規模は、面積およそ1万2000平方キロ、南北約100キロ、東西約250キロにおよび、岐阜県がまるまる収まるほどの広さ。
見渡す限り塩で覆われたこの白銀の大地では、古くから塩の採掘が行われているほか、ボリビア屈指の観光地として、世界中から多くの観光客が訪れています。

広大なウユニ塩湖をジープで疾走するツアーは、爽快感たっぷり。
「世界で最も平らな場所」

ウユニ塩湖のなかにあるサボテンだらけの島「インカワシ島」。ケチュア族の言葉で「インカの家」を意味し、ここで暮らす人々もいる。
ウユニ塩湖が生まれたのは、かつて海底にあったアンデス山脈一帯の大地が、大量の海水を含んだまま隆起し、山の上に残されたため。
その後、アルティプラーノ高原が乾燥した気候であったことや、海水が流出する川を持たなかったことなどにより、周囲の土壌に残された塩分もウユニ塩原に集まって干上がることになったのです。
ちなみにウユニ塩湖は、高低差が100キロ四方でたった50センチしかない、「世界で最も平らな場所」でもあります。
見渡す限りの白い大地と、その平らな大地であることによって生まれるのが、あの有名な絶景なんです。
「天空の鏡」
そう! その絶景が、「天空の鏡」と呼ばれる景色。
ウユニには乾季と雨季があり、雨季に雨が降ると、平らな大地に雨水が波も立たないほど薄く広がります。そして、地面が真っ白いために塩湖一面が巨大な水鏡となって、空の景色を上下対称に映し出すのです。

雨季のウユニ塩湖は、上下どちらが本物の世界なのか分からなくなるほど。

ウユニ塩湖の夕暮れ。
この絶景は、雨水が蒸発するまでのわずかな期間にだけ見られるもので、その光景から「天空の鏡」と呼ばれています。
特に、雲ひとつなく晴れた夜には満天の星空が足下にも広がり、まるで宇宙空間に浮かんでいるかのような幻想的な絶景を堪能できます。

そもそも星空だけでもじゅうぶん美しい、ウユニの夜。

まるで宇宙!
この「天空の鏡」が見られるのは、11月後半~3月頃の雨季。
それ以外にも、晴れていること、風がないこと、雨水が澄んでいることなど、さまざまな条件が必要になってきますし、ほかにも標高3700メートルの高地に滞在するため、高山病の危険性も頭に入れておく必要があります。
訪れる際は、事前のリサーチをお忘れなく!
ちなみに、4月~11月前半頃の乾季だってじゅうぶん絶景。
見渡す限り続く白い平野は、寒冷な気候も伴って、まるで雪原のような錯覚を覚えます。また、地表には干上がった塩の結晶が幾何学的な模様を描き、地球上とは思えない不思議な景色。

乾季のウユニ塩湖。雨季にはできない、こんなトリック写真も撮影できる。

こちらもトリック写真。ウユニ塩湖が平らで同じ景色が続くことから起きる、遠近感の錯覚を利用している(SL-Photography / Shutterstock.com)。
こうした景色が見られるのは大地の水が干上がる乾季の間だけで、雨季とはまた異なる美しさがありますよ◎
塩でできたホテル
このウユニ塩湖は貴重な塩田としても利用されていて、採掘された塩は食用として国内外に売られるほか、ブロック状に切り出して建材としても使用されています。

塩を採掘する地元住民。
実際、ウユニ塩湖には、壁やテーブル、ベッドなど、あらゆるものが塩でできたホテルがあるのです!

塩湖のなかに建つ塩のホテル「プラヤ・ブランカ」。

塩のホテルの内部の様子。塩でできているとは思えないくらい、きちんとしている(Free Wind 2014 / Shutterstock.com)。
ウユニ塩湖がピンク色に染まる朝焼けや夕焼け、そして星空に囲まれる夜を体験したいなら、ぜひほかに類を見ないこの塩のホテルに宿泊して、いろんな絶景を堪能してみてはいかがでしょう?
DATA
◉ベストシーズン:1月~3月、7月~9月
◉アクセス:首都ラパスからウユニまで飛行機で約1時間、ウユニからツアーに参加する。