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【国際線CAものがたり #3】キャビンアテンダントがフライトに遅刻したら、飛行機はいったいどうなるの!?

日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社キャビンアテンダント(CA)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎

今回は、ある日のフライト前に起こったハプニングについてお話ししてみようと思います。

前代未聞のハプニング

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フライト先に宿泊した場合、翌日の出発時間に会社が契約しているバスが、ステイ先のホテルまで迎えに来ます。

私たち乗務員はその時間までにロビーに集まり、短いブリーフィング(ミーティング)などをしてからバスに乗り込み、みんなで揃って空港へ向かいます

そんなある日のこと。ひとりの男性乗務員が、出発時間になってもホテルのロビーにやって来ませんでした。

そこで、ほかの乗務員がロビーから彼の部屋に電話をしてみると、なんと「今起きた!」と言うのです。

キャビンアテンダントの世界は、「時間厳守が原則!」。こんなことは今までに一度もない、前代未聞のハプニングです!!

そもそも、ホテルを出発する1時間前に、フロントからウェイクアップコールが鳴っているハズですし、早朝出発でもない、夕方に出発する便だったので、寝坊するなんて私には到底考えられませんでした。

幸い男性だったこともあって準備に時間はかからず、15分ほどでロビーに降りて来ました。

彼を待っている間、ほかの乗務員から聞いた話によると、この男性乗務員、別のステイ先でもこのようなことがあったらしく、その時は集まった乗務員だけでバスに乗り込んで出発し、彼はあとからひとりで電車に乗って来たとのこと。

1度だけでなく、2度も遅刻するなんて……。

キャビンアテンダントはお客様の安全にもかかわる仕事なので、こうした基本的なことは、しっかりと守ってほしいですね!

さらに続くハプニング

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ようやくみんなが揃ったところでバスに乗り込み、空港に到着したら、バスから荷物を取って、飛行機へと向かいます。

すると、ホッとしたのもつかの間。

いちばん若い乗務員が、「私のハンドバッグがない! バスに忘れちゃった!」と言うではありませんか!

まさかダブルでハプニングが起こるなんて。

彼女は急いでバスに戻ろうとしましたが、バスはそのまま走り去っていきました……。その乗務員はとても焦っていましたが、バスはすでに行ってしまってあとの祭り

とりあえず空港のチェックイン・カウンターで地上係員の方に事情を説明し、バス会社に連絡を取ってもらうことに。

そしてほかの乗務員は、飛行機の中で出発の準備をする必要もあるため、その乗務員だけを残して飛行機へと向かいました。

しかし、私たちが機内での準備を終え、お客様の搭乗開始の時間になっても、その乗務員は乗って来ません……。

まさか、乗務員を置いて飛行機が出発するなんてことがあるのか!?

などと心配していたところ、出発ギリギリになって、お客様のなかにまぎれて乗り込んでくる彼女を発見!

そしてなんと、ハンドバッグはバスではなく、ホテルのロビーに忘れていたということだったんです!

なんというおとぼけな乗務員でしょう(笑)

日本の素晴らしいサービス精神

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さて、その乗務員のハンドバッグですが、地上係員の方がわざわざホテルまで取りに行ってくれたらしいのです!

じつは、このときの空港は「日本」

「ほかの国なら絶対こんなことしてくれない!!」と、日本の地上係員の神対応に感動していました◎

そんな私も昔、仕事を終えて飛行機を降りたときに、ハンドバッグを機内に忘れてしまったことがあります。

すると、この日一緒だった責任者の乗務員も、もうひとりの日本人乗務員も、機内に忘れ物をしたことがあると言うではありませんか!

みんな1度は経験する、”CAあるある” なのでしょうか?(笑)

けれど、そのことが苦い経験となって、それ以降2度と忘れ物はしていません。今回の若い乗務員を見て昔の自分を思い出し、初心に戻った気がしました◎

ハプニングを通して深まる、CA同士のきずな

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Sorbis / Shutterstock.com

さて。そんなダブル・ハプニングに見舞われたさんざんなフライトでしたが、フライト中はなにごともなく、無事到着先に降り立ちました。

責任者のキャビンアテンダントは、さすがに少しピリピリしていましたが(笑)、こういうハプニングがあった時の方が、乗務員同士が結束して仲良くなる気がします◎

フライト前はどうなることかと思いましたが、結果的には「自分も気を付けよう!」と思えた、良いフライトになりました。

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