「ラリベラの岩窟教会」とは?
エチオピア北部の町ラリベラにある、11の岩窟教会群は、12~13世紀ごろに築かれた、エチオピア正教会の巡礼地です。
10世紀以降、エチオピアはザグウェ朝という王国が統治しており、ラリベラは「ロハ」と呼ばれる王国の首都でした。
1187年、イスラム教徒がキリスト教の聖地エルサレムを占領すると、これを受けて、ザグウェ朝のラリベラ王は、ロハを「第2のエルサレム」にしようと考えたのです。
そして、町を流れる川を「ヨルダン川」と名付け、川の東部と西部にいくつもの教会を築き始めたのです。
驚くべきは、これらの教会群がすべて巨大な岩盤を掘り抜いて造られた、地下に築かれた特異な構造を持つ点。地面の下に突然現れる巨大な十字架型の教会は、ほかに類を見ない存在として、世界遺産にも登録されています。

地面の下に突如として現れる、巨大な十字架。

かつて王家の礼拝堂だったとされる「ベテ・アマヌエ(エマヌエル聖堂)」(milosk50 / Shutterstock.com)。

ラリベラの教会群の中で2番目に大きく、かつて監獄だったとされる「ベテ・マルコリオス(メルクリオス聖堂)」。

ラリベラ最古の教会、「ベテ・マリアム(マリア聖堂)」の内部。
やがて10の教会が完成した後、ラリベラ王の夢に聖ゲオルギウスが現れ、聖堂を造るよう命じたといいます。
そして、現存するラリベラの教会群のなかで最も秀逸とされる、「ベテ・ギョルギア(聖ゲオルギウス聖堂)」が完成しました。

巨大な十字架の形をした「ベテ・ギョルギア(聖ゲオルギウス聖堂)」。

横からな見た「ベテ・ギョルギア(聖ゲオルギウス聖堂)」。巨大な凝灰岩をくり貫いて造られており、世界の石造建築史から見ても非常に重要な建造物である。
エチオピアのクリスマス
エチオピア正教のクリスマスにあたる1月7日には、ラリベラの岩窟教会に各地から多くの巡礼者が訪れ、盛大なセレモニーがひと晩中開催されます。
なかでも、華やかな衣装をまとった聖職者たちによる、祈りの歌や舞踊は、特に圧巻です。

クリスマスに正装した聖職者(Fredy Thuerig / Shutterstock.com)。

お香をたきながら行進する聖職者たち。

クリスマスに各地から集まってきた巡礼者たち(lkpro / Shutterstock.com)。
DATA
◉アクセス:アディスアベバのボラ国際空港からラリベラ空港まで、飛行機で約1時間30分。
◉休業日:各種旅行代理店・現地ガイドに確認してください。