ストレスをやわらげる、フルーティーな香り

ビターオレンジの果実。
柑橘類の薬効は古来より知られ、中国の漢方でも使われてきました。
特に、オレンジの皮は「橘皮(きっぴ)」、時間が経って薬効が高くなったものは「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれており、日本の七味唐辛子や、中国の五香粉(ウーシャンフェン)などのスパイスにも用いられています。

「陳皮(チンピ)」。
ハーブティーやアロマセラピーに使うオレンジには、「ビターオレンジ」と「スイートオレンジ」の2種類があり、それぞれ和名を「ダイダイ」、「アマダイダイ」といいます。
どちらも乾燥させた果皮をお茶にして飲むことで、鎮静・発汗作用などの効果を得られますが、ビターオレンジの方がより薬効がすぐれているとされています。
また、オレンジの果皮から採取される精油(エッセンシャルオイル)の香りにもリラックス効果があり、アロマセラピーなどにもよく使われています。
特にビターオレンジの花は、柑橘系の爽やかさと優美な香りをあわせ持ち、香水としても人気があります。

オレンジの花。
抽出した精油は「ネロリ」と呼ばれ、17世紀のイタリアで「ネーロラの公妃」と呼ばれていたマリー・アンヌがこの精油を愛用したことが、名前の由来となっています。
このほか、乾燥させた花のハーブティーも、不安や緊張をやわらげる効果があるとされています。
香りとほろ苦い味を楽しむ
オレンジを料理で使う際は、生のオレンジの皮を、おろし器で削ってデザートやリキュールの香り付けにします。
また、刻んだ果皮に砂糖を加えて煮詰め、乾燥させたものは、ケーキやチョコレートなど、さまざまな洋菓子に応用できる。

刻んだ果皮に砂糖を加えて煮詰め、乾燥させたオレンジピールは、チョコレートとの相性抜群!
まるごと「マーマレードジャム」に
酸味と苦味が強いビターオレンジは、生食よりも加工用に向いています。
千切りにした果皮と果汁を一緒に煮詰めて砂糖を入れると、果皮に含まれるペクチンと酸が作用して、自然なとろみがつけられます。

ビターオレンジのマーマレード。ほろ苦さと爽やかな香りが、バターともよく合う。
中華料理に
中国などでは、「陳皮」に胃腸の働きを整える効果があるとされ、薬膳料理(健康の増進や病気の予防を目的とした料理)に取り入れられています。
また、肉の臭みを消すスパイスとしても使われ、揚げたトリ肉にオレンジの皮で風味付けしたチリソースをからめた「オレンジチキン」は、アメリカで人気の中華料理のひとつです。

オレンジチキン。
オレンジの精油はどう使う?

オレンジの精油「ネロリ」。
効能
▪鎮静
▪解熱
▪健胃
▪消化促進
▪食欲増進 など
手作り石けんにプラス
オレンジの果皮から採取する精油には、油脂の洗浄や抗菌・消臭効果があります。
そのため、石けんを手作りする際は、オレンジの精油をブレンドしたり、細かく刻んだ果皮を入れたりしてもいいでしょう◎

ハンドメイドのオレンジ入り石けん。
スイートオレンジの精油は入浴に
スイートオレンジの精油は、ビターオレンジよりも刺激が少なく、アロマバスに向いています。
就寝前にスイートオレンジの精油が入ったバスオイルを湯船に入れて入浴すると、リラックス効果があり、眠りにつきやすいです。
ただし、オレンジの精油は刺激が強いため、敏感肌の人は使用を避けるようにしましょう。
オレンジの育て方

アジア原産のビターオレンジは、日本でも栽培しやすい。
育てやすさ : ★★★☆☆
植え付け : 3~4月
花期 : 5~6月
収穫 : 9月中旬~12月
▪ 日当たりが良く、水はけの良い土を好む
▪ 軽い剪定をして風通しを良くする
▪ 鉢植えの場合は、2~3年に1度植え替えを行う
ABOUT THE HERB
和名 :ダイダイ、アマダイダイ
学名 :Citrus aurantium(ビター)、Citrus sinensis(スイート)
分類 :ミカン科/常緑小高木
原産地 : インド、中国
草丈 : 4~5m
使用部分 :果皮、花
用途 : 料理、お茶、美容健康、クラフトなど
効能 : 鎮静、消化促進、利尿、 発汗、整腸、鎮咳など