チュニジアで最も美しい街
チュニジアの首都チュニスの北東約20キロ、地中海を見下ろす崖の上に築かれたリゾート地、シディ・ブ・サイド。
白壁に「チュニジアン・ブルー」と呼ばれる鮮やかな青い窓や扉を持つ家々が立ち並ぶ景観から、「白と青の小さな楽園」と称され、チュニジアで最も美しい街といわれています。
シディ・ブ・サイドは、11世紀にイスラム王朝のムラービト朝が築いた要塞が起源とされ、街の名前は、12 ~13世紀にかけてこの地で活躍したイスラム神秘主義(スーフィズム)の導師、アブー・サイードに由来したものです。

地中海を見渡しながらゆったりできる「カフェ・シディ・シャバーン」。右手にはマリーナや海水浴場がある。(eFesenko / Shutterstock.com)。

青と白で構成された、シディ・ブ・サイドの美しい街並み。ネコもたくさん◎

白壁に青いドアと窓、そしてピンクの花が、可愛い街並み。

イスラム様式の伝統的な中庭。
青と白の街になった理由
そんなシディ・ブ・サイドが、現在のような青と白の街になったのは、20世紀に入ってからのこと。
17世紀以降、チュニジアのブルジョワ階級によって贅(ぜい)を凝らした邸宅が次々に建設されると、その景観を保護する目的で、1909年からこの街に住んでいたロドルフ・デルランジェ男爵の愛する青と白が強制されるようになったため。
もともと街には白壁と青い飾り窓の家が多かったのですが、男爵がこのカラーリングを非常に好んだことから、街の伝統文化を守る目的もあって「建物を作る際は、青と白しか色を使ってはいけない」というガイドラインを作ったのです。
その結果、この美しい景観を求め、クレー、ボーヴォワール、コレットなど、名だたる芸術家や作家が数多く街を訪れ、滞在するようになりました。

チュニジアン・ブルーに幾何学模様が映えるチュニジアン・ドア。

各家ごとにデザインが異なり、玄関を見て歩くだけでも楽しめる。

黄色いタイルを使ったドアも。
シディ・ブ・サイドのおすすめの過ごし方
リゾート地でもあるシディ・ブ・サイドでは、都会の喧騒を忘れてゆっくり過ごすのがおすすめ。紺碧の地中海を眺めながら、カフェでチュニジア名物の甘いミントティを味わうひとときは、至福の時間です◎

チュニジアで最も重要で人気のある飲み物「ミントティー」。チュニジア人はミントティーを1日に何杯も飲むという。こちらは松の実が入ったミントティーで、だいじなおもてなしの際に飲まれる。
なかでもおすすめは、シディ・ブ・サイドのシンボルでもある「カフェ・デ・ナット(Cafe des Nattes)」。
18世紀創業の歴史あるお店で、世界最古のカフェのひとつといわれています。

世界最古のカフェのひとつ、「カフェ・デ・ナット(Cafe des Nattes)」。階段の上の黄色い枠のドアが入り口(eFesenko / Shutterstock.com)。

「カフェ・デ・ナット(Cafe des Nattes)」の店内。席は床に座るタイプで、カラフルな内装がオシャレ(Lizavetta / Shutterstock.com)。

シディ・ブ・サイドの土産物店。カラフルなじゅうたんや焼き物が可愛い。

チュニジアン・ブルーが美しい焼き物。
DATA
◉ベストシーズン:3月~6月、9月~11月
◉アクセス:チュニス・マリン駅からシディ・ブ・サイド駅まで、列車(TGM)で約30分。