突然ですが、日本の食べ物はとってもおいしいです!
そして、イタリア人の僕からしても、日本で食べるイタリアンは本格的な味ばかり! ファミレスチェーンだって大好きです◎
ただ、ひとつだけ気になっているのが、「カルボナーラ」。
イタリア人もみんな大好きなメニューですが、日本のカルボナーラは、イタリアのカルボナーラとはちょっと違うんです。
ということで、今回はカルボナーラの正しい作り方について、こっそり教えようと思います◎
「イタリア料理」なんてナイ!?

世界のイメージするイタリアと実際のイタリアはちょっと違う!
イタリアはすごく歴史が古いように思えますが、じつは最近できた国です(157年前)。
それ以前は、公国や王国など、たくさんの国がそれぞれ独立していて、それぞれ異なる文化や料理を持っていたのです。
つまり、「イタリア料理」なんていうモノは存在しないんです!
イタリアでは、それぞれの土地ごとに昔の伝統的な文化がいまだに残っていて、同じ料理でもバリエーションが非常に多く、たとえば、イタリアの南にあるナポリのパスタは、北にあるミラノのパスタとは全然違います。
もちろんそれぞれに美味しいですが、イタリア人に「どこの料理がいちばん美味しい?」と聞くと、ほとんどの人が「もちろん自分の出身地の料理が最高!」と答えます(笑)
「カルボナーラ」の歴史
さて、カルボナーラの話に戻りましょう。
先ほどお伝えしたように、カルボナーラにもバリエーションが多くて、どこで生まれたのか、誰が最初に作ったのか、今も分かっていません。
いちばん信憑性がある仮説は、以下の3つです。
1. ローマで誕生した説

ローマのシンボル、コロッセオ。
「カルボナーラ(Carbonara)」は、イタリア語で「炭焼人 」という意味です。
昔、ローマの炭焼人たちはとても貧乏で、安いものしか食べられませんでした。なので、毎日炭焼き場に持って行ける食事は、安くて、暑い場所でも腐らないものだけ。
当時、卵やチーズは安かったですが、コショウ、塩、オリーブオイルはぜいたく品でした。
ただ、「グアンチャーレ」というブタの喉の肉を使ったハムには、コショウ、塩、オイルが入っていて、さらに普通のハムよりだいぶ安かったため、卵とチーズとグアンチャーレという、安く手に入る材料を使って仕方なく作ったのが、カルボナーラだったという説です。

グアンチャーレ (guanciale) 。ブタの頬肉(豚トロ)を塩漬けにして2~3週間熟成させたもので、表面にコショウなどのスパイスやハーブを刷り込んであるものが多い。アマトリチャーナもこのグアンチャーレを使って作る。
2. アメリカ軍のおかげで誕生した説

アメリカ人が大好きな、アメリカンベーコン。
1930年、ローマ出身の伝説の女性シェフであるアダ・ボニ(Ada Boni)が、イタリア料理の本を出版しました。
この本はローマ料理のマニュアル本なのですが、なんと、カルボナーラのことが書かれていなかったのです!
ということは、1930年の時点で、ローマにはまだカルボナーラがなかったということなります。
そんなわけで、2つ目の仮説が立てられました。
1944年、第2次世界大戦でイタリアに来たアメリカ軍が、初めてベーコンをイタリアに持ち込みました。
そして、戦争で家をなくした人たちにふるまう食事として、アメリカ軍がそのベーコンや、一緒に持って来たパウダーエッグなどを使って作ったのが、カルボナーラだったという説です。
3. ナポリで生まれた説

ナポリのシンボル「卵城(Castel dell’Ovo、カステル・デル・ウォーヴォ)」。これにも「卵」が使われてる!
パスタをゆでた後、最後に卵を加えるという手法は、昔からナポリ料理に一番多い方法でした。
ということで、「カルボナーラは絶対ナポリのものだよ!」と、ナポリ人は言ってますが、どうかな……。
では、後編ではいよいよ正しいカルボナーラの作り方を教えます!