砂漠に取り残された街
ナミビア南西部の大西洋側に広がるナミブ砂漠には、今にも砂に飲み込まれそうなゴーストタウン、コールマンスコップがあります。
近郊の港町リューデリッツから2.3キロほど内陸部にあるこの小さな街は、1908年にダイヤモンドの鉱脈が発見されたことで、一攫千金を夢見て集まってきた労働者たちの拠点地として発展しました。
当時、ナミビアがドイツ領南西アフリカの一部だったことから、砂漠のなかにドイツ風の建物が並ぶという珍しい街並みができあがり、コールマンスコップと名付けられ、病院や学校、劇場やカジノなどの娯楽施設も充実していたといいます。
しかし、第2次世界大戦後にダイヤモンドの価値が下がると、それに比例するように街は衰退し、人も離れていきました。
そして、1954年に完全に無人となって以降、放置されたままになっているコールマンスコップは、徐々にナミブ砂漠に飲み込まれようとしています。

ドイツ語で「Kolmannskuppe(コールマンスコップ)」(アフリカーンス語ではKolmanskop)と書かれた、街の標識(SAPhotog / Shutterstock.com)。

砂漠のなかにこつ然と現れる、コールマンスコップ。

徐々に砂が建物の中に入り込み、ゆっくりと浸食している。

ドイツ風の建築方法で建てられた家(Chris Jenner / Shutterstock.com)。

まるで水に埋もれるようにして、砂で満ちた室内。

剥がれた壁や差し込む光、壊れたドア、そして砂が、まるで抽象的な絵画のような美しさを生み出している。

思わずうっとりと眺めてしまう……。

どこからか押し流されてきたバスタブが、現代アートのよう。

老朽化した建物の隙間から日光が差し込み、退廃的な美しさを生み出している。

最近では、写真や映画など、撮影のロケーションとしても人気となっているコールマンスコップ。2000年公開の映画「キング・イズ・アライヴ(The King Is Alive)」は、コールマンスコップを主たる撮影場所として撮影された。
DATA
◉アクセス:リューデリッツから車で約15分。