世界中にたくさん存在する、幸運のしるし『ラッキーチャーム』。特に、生活に密着している野菜や果物、お花などの植物には、幸運を意味する伝説や歴史・風習を持つラッキーチャームが多く見られます。
そんなラッキープラントのなかから、今回は“リンゴ”をご紹介します。
つい惹かれてしまう、魅惑の果実

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『旧約聖書』のなかで、アダムとイブが食べた禁断の果実はリンゴ。
ギリシャ神話のなかで、トロイア戦争の原因となった女神たちのモメ事は、「いちばん美しい女神に」と書かれた黄金のリンゴから始まりました。
さらに北欧神話でも、リンゴは神々の果実として描かれています。
このように、さまざまな国や地域の歴史に登場しているリンゴは、古来より、愛と美、命のパワーの象徴とされてきました。
赤く美しいその果実には、何か特別な魅力があるのでしょう。
ちなみに、リンゴの実の花言葉は「選択・誘惑」。神話や歴史からイメージされた花言葉です。
リンゴのラッキー その1「平安夜」
中国では、クリスマス・イブにリンゴを贈り合うという習慣が広がっています。
クリスマス・イブは、中国語で「平安夜」といい、平安の夜には平安の果物「平安果」を食べようとなりました。
その「平安果」が略され「平果」と呼ばれるようになると、この「平果」の発音が、中国語で「リンゴ」を意味する「苹果」と同じになる、という語呂合わせが始まりです。
こうした流れから、中国ではクリスマスだけでなく、結婚式で花嫁がリンゴを持って花婿を待つといった習慣も生まれ、おめでたい日に欠かせない果物になっています。
リンゴのラッキー その2「クリスマス・オーナメント」
クリスマス・ツリーにはさまざまな飾り付けがされますが、特に必須なのが、赤くて丸いオーナメント。
このオーナメントの起源、じつはリンゴなんです。
アダムとイブが食べ、知恵を身につけたというリンゴは、「知恵の実」でもあります。
また、真冬でも赤く実をつける生命力の強さや、魅力的な赤い色が愛をイメージさせるなどの理由から、クリスマス・ツリーに飾られるようになったのです。
リンゴのラッキー その3「ヨーロッパのおまじない」
中世ヨーロッパでは、リンゴは媚薬とされていました。
その理由はやはり、アダムとイブが食べた「禁断の果実」のイメージがあったからだと思われます。
また、リンゴを縦に輪切りにすると女性器の形に似ているほか、横に輪切りにすると「五芒星(ごぼうせい)☆」が表れるということからも、オカルティックな果実とされました。
こうした経緯から、ヨーロッパの媚薬や恋愛のおまじないには、リンゴがたくさん使われています。
ニューヨークの「リンゴ」に会いに行こう!
「Big Apple(ビッグ・アップル)」……。世界でいちばんエキサイティングな街・ニューヨークの、あまりに有名なニックネームです。
このニックネームの由来は諸説さまざまですが、ここではニューヨーク市歴史協会イチオシの逸話をご紹介します◎
1800年代初頭、混乱続きのヨーロッパから、たくさんの移民がニューヨークに集まってきました。
そして才覚ある女性たちが「愛の館」(つまり売春宿)を発展させ、自分たちのことを「リンゴちゃん」と呼んでいたといいます。
なぜ「リンゴ」なのか?
ここでもアダムとイブが食べた禁断の果実だから……という理由が大きいと思われます。
やがて、「魅力的な女性たち=リンゴが集まる大きな街」という連想から、「ビッグ・アップル」と呼ばれるようになったという説です。
あまりクリーンな由来ではありませんが、その後時代が下り、主にリンゴ業者たちの努力により悪いイメージが取り除かれて、今に至るというワケです。