「ワインよりもビールが好き」という、めずらしいイタリア人の僕がオススメしたい、世界のビールを紹介していくこのシリーズ。
第1回目のベルギービールは「種類が多い」、第2回目のドイツビールは「水ほど飲まれているもの」、イギリスビールは「ブリティッシュ・パブで飲むのが楽しい」というイメージでした◎
今回は、僕の国イタリアのビールをご紹介していきましょう!
ちなみに今回も、ご紹介させていただくビールのなかには、アルコール度数が10%以上のビールのもあるので、飲む際はじゅうぶんご注意くださいね。
イタリアビールの歴史
そもそもイタリアって、みんなワイン飲んでるんじゃないの? と思った方も多いのはないでしょうか?(笑)
その通り! ヨーロッパのなかで、イタリアはいちばんビールを飲んでない国です。
イタリア国内のビールの年間消費量は、なんと約30リットルだけ!!
それがどのくらい少ないかというと、ヨーロッパでいちばんビールを飲んでいるチェコが142.6リットルで、日本でも42.6リットルです。
イタリアよりビールを飲まない国は、イスラム教徒とアフリカぐらいしかないんです…….。
イタリアでも古代ローマ帝国の時代からビールを造っているのですが、やっぱりワインには負けてしまいます。

ワイン用のブドウ畑がどこまでも続く、トスカーナの風景。
いちばん最初にイタリアにビールの醸造所ができたのも、1840年とかなり最近のこと。それでも徐々に醸造所は増えていき、19世紀の終わりには140カ所にまでなりました。
そして1920年にビールの醸造がピークを迎えますが、1927年になると、新しい法律によってビールに課せられる税金が高くなったことから、ビールの消費がまた減っていきます。
けれど、ワインの税金はまた別だったため、ワインの製造量や消費量は、特に変わらなかったのです。
その後もビールの醸造は増えたり減ったりを繰り返していましたが、1996年になると、また状況が変わります。
またまた新しい法律で、この年から「マイクロ・ブリュワリー(自家製の醸造所のこと)」が合法になったのです。
これによって小さな醸造所が全国各地に急に増えると、イタリアのビール文化がまた変わってきました。

ローマの売店に並ぶビール。いろんな国のビールに混ざってイタリアのビールもちゃんとある(Baloncici / Shutterstock.com)!
いきなりビール造りのマニアになったイタリアは、良い意味で伝統がなく、スタイルやバリエーションも最初から多かったのです。
ベルギースタイル、ドイツスタイル、ダーク、ブロンド、エール、ラガー、ビター、フルーティー、オリジナルなど、イタリア人はどんなビールでも造り始めました。
↑ イタリアのクラフトビールがたくさん並ぶバー。
こうしたイタリアの新しいトレンドが海外でも人気となり、最近は輸出もされるようになりました。特にアメリカは、イタリアのマイクロ・ブリュワリーが造ったクラフトビールを、最も輸入している国です。
ちなみに、昔からあったイタリアの有名な醸造所は、どんどん海外の会社に買われている状況。

イタリアのビールのなかでも有名な「MORETTI(モレッティ)」(monticello / Shutterstock.com)。
・1846年誕生の「Peroni(ペローニ)」や「Nastro Azzurro(ナストロ・アズーロ)」は、2016年に日本の「アサヒビール」に
・1877年誕生の「Poretti(ポレッティ)」は、1982年にデンマークの「Carlsberg(カールスバーグ)」に
・1859年誕生の「Moretti(モレッティ)」は、1996年にオランダの「Heineken(ハイネケン)」に
ということで、「イタリアビール」というと、現在は「マイクロ・ブリュワリー」が主流ということになりますね!
後編では、いよいよマイクロ・ブリュワリーのオススメBEST 3をご紹介していきます◎