世界には、国や地域、民族、宗教などに由来する、たくさんのお守りがあります。
多くは幸運のお守りで、金運や恋愛などに特化したお守りも見られます。
その中でも、今回は「魔除け」としての働きが大きいアイテムやノウハウを、ピックアップ。
目に見えない悪を退ける、さまざまな魔除けたちをご紹介します◎
今回はインド。さまざまな宗教や土着の文化が入り乱れ、魔除けもいろいろ。そのため、前後編でお届けします!
1. 純金

花嫁衣裳と純金のネックレス。

インドの新郎新婦。花嫁はゴールドで全身を飾る。
インドでは、女の子が生まれると、とにかく資産を貯めはじめます。結婚するときに、たくさんの持参金を持たせないといけないからです。
この風習は「ダウリー(ダヘーズ)」と呼ばれ、法律上では禁止されたのですが、現在も色濃く残っています。
そして資産といえば、インドでは「純金」がいちばん人気。経済的価値はもちろんですが、その黄金色に魔除け効果があると考えられているためです。
2. コーラム

カラフルに着色された砂で描かれたコーラム。

地面にコーラムを描く女性。
「コーラム(kolam)」とは、南インド地方にみられる、色とりどりの美しい砂絵のこと。
この地方では、日の出前になると、ヒンドゥー教徒の女性が家の玄関前に毎朝コーラムを描きます。
これは豊穣と幸せの女神・ラクシュミーに捧げる絵であり、同時に魔除けの役割もあります。また、描く文様は代々受け継がれたもので、コーラムは花嫁修業のひとつでもあるんだとか。
とても美しいので、思わずよけて歩きたくなりますが、踏まれるなどしてコーラムが消えるのは、かえって縁起が良いんだそうです。
3. ナヴァラトナ

ジョーティッシュの周期表。
インドでは人生の節目を迎えたときに、「ジョーティッシュ(Jyotish)」と呼ばれる星占いをします。
この「ジョーティッシュ」でユニークなのが、”結婚相手を決める最終判断材料になる”という点でしょうか?
インドでは、ここがなかなかクリアできず結婚に至らないという話もあります……。
ところで「ナヴァラトナ(Navarathna)」とは、このジョーティッシュで使われる、9つの惑星に配当された9つの宝石の総称で、インドでは最高の魔除けとされています。
この9つの惑星と宝石とは、「太陽 → ルビー」、「月 → 真珠」、「水星 → エメラルド」、「金星 → ダイヤモンド」、「火星 → サンゴ」、「木星 → トパーズ」、「土星 → サファイア」。
そこに、架空の惑星である「ケートゥ → キャッツアイ」と、「ラーフ → ガーネット」の2つが加わったものです。
4. チャンダナ

チャンダナ(サンダルウッド、白檀)と、アーユルヴェーダで使われるチャンダナのパウダーを使ったペースト。
「チャンダナ(Candana)」は、サンダルウッドまたは白檀(ビャクダン)のサンスクリット名。
特に、インド南部の都市、マイソール産のチャンダナが高品質で有名です。
エキゾチックで深みのある香りを放つ香木で、仏像や仏具のほか、日本では仏壇にも使われます。
その香りは深いリラックス作用をもたらし、緊張や不安をやわらげ、過去の悪い念を断ち切ってくれるとされています。また、場を清める効果もあるとして、儀式や瞑想のときに使用されてきました。
5. メヘンディ

花嫁の手に施された、細密なメヘンディ(ヘナタトゥー)。

花嫁の足にメヘンディを施す様子。染料が乾いてからふき取ると、タトゥーのように皮膚に色が定着する。
「メヘンディ(Mehndi)」の別名は、「ヘナ・タトゥー」。染料になる植物「ヘナ」で描くタトゥーのことです。
この「ヘナ」は、幸運の女神・ラクシュミーが愛する植物。インドでは、邪悪なものを祓い、幸運を呼び寄せるために、ヘナでさまざまな模様を体に描きます。
特に、花嫁には必須! 結婚式を控えた花嫁には、時間をかけて体の広範囲に細かい模様が施されます。
「タトゥー」といっても1~2週間で取れますし、道端で手軽にできるので、旅行者にも人気なんだそう。 最近は日本でもよく見かけるようになりましたね!