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【Lesson 8】日本最古のマンガ『鳥獣戯画』について、あらためてお勉強してみよう。

最近、若い女性たちの間でも大人気の鳥獣戯画』

ウサギカエルサルなどの動物が、相撲を取ったり、水遊びをしたり、綱引きしたりと、墨で生き生きと描かれたこの800年前の絵巻物は、現在のマンガにも用いられるような手法が見られることもあって、日本最古のマンガともいわれています。

そんな『鳥獣戯画』の代名詞ともいえる「甲巻」について、詳しい内容をご紹介していくこの連載。

今回は、23紙からなる「甲巻」の、第20紙~第21紙までを解説してみたいと思います!

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甲巻「第20紙 – 第21紙」。

~ 第20紙 ~

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第20紙では、現存する『鳥獣戯画』甲巻のクライマックスとされる、サルの法会(ほうえ)の場面へと入っていきます。

ちなみに法会」とは、仏教において仏法を説くためや供養を行うための、僧侶や信徒の集まりのこと。

法会のいちばん後ろに加わる、蓑(みの)に模した葉っぱを身につけたサルは、かつて日本諸国を回遊した放浪の仏教僧である、「聖(ひじり)」の役を演じているとされています。

伊予国(いよのくに、現在の愛媛県)に生まれ浄土宗を修めたのち、新しく独自の宗旨である時宗を興した開祖、一遍(遊行)上人を描いた絵巻『一遍上人絵伝(一遍聖絵)』の一遍上人のように、中世の日本には、出家して寺で修行をする僧とは別に、各地を放浪したり、深山に分け入り独自の修行を行ったりした聖がしばしば見られたといいます。

『鳥獣戯画』甲巻には、こうした当時の社会の様子が色濃く反映されているのです。

続く第21紙には、サルの僧正がお経をあげるシーンが描かれていますが、その後ろでは、袈裟(けさ)姿のウサギとイヌが、経巻(きょうかん、経文を記した巻物)を持って控えています。

第9紙と同様に、イヌと思われる動物の目は丸く、画面奥の女装したキツネと思われる動物の目は細長く描き分けられているのが分かります。

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細長い目で描かれたキツネ(左)と、丸い目で描かれたイヌ(右)。

~ 第21紙 ~

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第21紙では、サルの僧正が、目の前のカエルに向かってお経を上げている場面が描かれます。

その読経は、口からゆらゆらと立ち上がる煙のような線で表現され、まさしく”漫画の元祖”と呼ぶべき技法が見られます。

祭壇のカエルは、第14紙「印地打ち(いんじうち)」で殺されたカエルのお葬式、という解釈もあるのですが、カエルが阿弥陀如来(あみだにょらい)の役を演じているという説もあります。

なお、奈良・東大寺の大仏の手には水かきがあるといわれていますが、阿弥陀如来の指のあいだにも、一切の衆生(しゅじょう)を救う(掬う)ために水かきがあったといいます。

ということで、同じく水かきをもつカエルが阿弥陀如来の役を演じるのは、まさにうってつけというわけです◎

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奈良の大仏の手。指のあいだには水かきがあるとされる。

カエルの阿弥陀如来の後ろには、ウロのある大きな木が描かれ、枝には1羽のフクロウらしき鳥がとまっています。

しかし、よく見ると顔の横に耳のような毛があるところから、これが〝耳〟ずく、すなわち、ミミズクであることがわかります。

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ミミズクの写真。フクロウ科ではあるが、古来より日本文化のなかでは、フクロウとミミズクは違う動物とされてきた。

出典:『世界に誇る鳥獣戯画と日本四大絵巻』 山口 謠司 監修(メディアソフト)

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『世界に誇る鳥獣戯画と日本四大絵巻』(メディアソフト)

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