世界には、国や地域、民族、宗教などに由来する、たくさんのお守りがあります。
多くは幸運のお守りで、金運や恋愛などに特化したお守りも見られます。
その中でも、今回は「魔除け」としての働きが大きいアイテムやノウハウを、ピックアップ。
目に見えない悪を退ける、さまざまな魔除けたちをご紹介します◎
今回はインド。さまざまな宗教や土着の文化が入り乱れ、魔除けもいろいろ。そのため、前後編でお届けします!
1. ニンブーミルチ

レモン1個と青トウガラシ7本をヒモに通して作る「ニンブーミルチ」。

土産物店に吊るされた、ニンブーミルチをモチーフにした魔除けグッズ(写真中央)。
「ニンブーミルチ(nimbu mirchi)」とは、「ニンブー(レモン)」と「ミルチ(トウガラシ)」を組み合わせた魔除けです。
ヒンドゥー教の悪い女神・アーラクシュミーは、酸っぱいものと辛いものが大好き。
インドでは、玄関先や軒先、車の中などにこの魔除けをぶら下げるんだそうですが、それは、アーラクシュミーが家の中に入る前に酸っぱいもの(レモン)と辛いもの(トウガラシ)を食べてもらい、満足して帰ってもらおうという魔除けのお供えものです。
基本は、レモン1個と青トウガラシ7本だそう。
それにしても、このニンブーミルチ、見た目がとにかくカワイイ!! ニンブーミルチ・モチーフのインテリア、今後人気が出てきそうです◎
2. カージャル

カージャルの入った容器を手にし、目元にヒョウ柄のカージャルを施した女性。
インドには、邪視(悪意を持って相手を睨みつけることにより、対象者に呪いを掛ける魔力)から身を護る魔除けがたくさんあります。
赤ちゃんや幼児にわざと大きなホクロを描いてかわいくなくして視線を集めないようにしたり、女性がくっきりしたアイラインを描いて邪視からの呪いをそらしたりするのも、魔除けのひとつ。

邪視を退ける魔除けとして、額に大きなホクロを描かれた赤ちゃん(arun sambhu mishra / Shutterstock.com)。
「カージャル(Kajal)」も、そうした魔除けの一種で、平たく言うと「アイライナー」みたいなものです。
伝統的には煤(すす)で作るのですが、今では、化粧品としても多く出回っています。
3. ミラー刺繍

色とりどりの布や糸を使って作られた、ミラー刺繍。

布にミラー刺繍を施す女性(CRS PHOTO / Shutterstock.com)。
インド北西部でさかんに行われている「ミラー刺繍」は、鏡の反射により、悪いものを跳ね返す魔除け。
小さな鏡の縁を糸でかがりながら布に縫い付けていく手法で、起源は明らかではありませんが、おそらく庶民が王族のきらびやかな衣装を真似て作ったのが始まりではないかとされています。
その美しさは、現代ファッションにも取り入れられていて、ファッションブランドのコレクションにも登場しました。
4. ビンディー

眉間にビンディーを付けたインドの女性(Natalia Yankelevich / Shutterstock.com)。
インドの人が額に付けている印象的な印が、「ビンディー(Bindi)」。魔除けの印であり、祝福の印とされています。
ティラカ、ティラク、ティカ、シンデゥル……と、地域によって呼び方が変わり、ヒンドゥー教のどの宗派に属しているのかを表す、既婚の女性が付ける、単なるファッション……と、その目的もいろいろです。
5. ホーリーバジル(トゥルシー)

ホーリーバジル。
サンスクリット語では「トゥルシー(Tulsi)」、日本語では「カミメボウキ」と呼ばれる「ホーリーバジル」。
インド~東南アジアでは料理やお茶によく使われ、家庭で栽培されていて、家にあると何かと便利なハーブとして利用されています。
その薬効や香りから、病気や邪気を寄せ付けない薬草とされ、インドの伝統的医学アーユルヴェーダでは、「不老不死の霊薬」とまで言われています。
また、健康にもメンタルにもいいと、スピリチュアルな世界でも一目置かれるハーブです。