【世界の官能名画美術館 #7】ルノワールの「女性大水浴図」

西洋の美の歴史は、つねに性愛とかかわるものでした。あまたの巨匠たちが性を想起させ、異性を誘惑する魅惑の肉体を備えたヌード画を描き、究極の美を追求してきたのです。

このシリーズでは、世界に名だたる西洋絵画の巨匠たちと、彼らが究極の美を追い求めて描いた名画をご紹介していきます◎

誰もが知る名画には、いったいどんなエロティシズムが隠されているのでしょうか?

第7回目は、印象派の巨匠・ピエール=オーギュスト=ルノワールが描いた、「女性大水浴図」についてひも解いてみましょう。

試行錯誤の末に描かれた、豊満な肉体美

【世界の官能名画美術館 #7】ルノワールの「女性大水浴図」01

「女性大水浴図」。1885-87年、油彩・カンヴァス、 117.8×170.8cm、フィラデルフィア、フィラデルフィア美術館所蔵。

ピエール=オーギュスト=ルノワールは、明るい陽光に照らされた、豊満で健康的な肉体美を誇る女性たちのヌード画を多数描いた、印象派の巨匠です。

しかし、たとえばそれは「陽光の中の裸婦」のように、いずれもひとりずつの単独の作品でした。複数の裸の女性たちが一同に会しているものは、本作「女性大水浴図」がきわめてまれな例なのです。つまりこの作品は、それまでルノワールが描いてきた単身裸婦像の、集大成のような作品といえるでしょう。

完成に3年も要した「女性大水浴図」は、まるで地上の楽園のような平和と調和の雰囲気が伝わってくる作品。何度もデッサンや構図の習作を重ね、試行錯誤のうえでの完成でした。

画面中央の金髪の女性のモデルは、のちに妻となったアリーヌ・シャルゴといわれています。このふくよかな女性は素朴な人柄で愛され、しばしばルノワールのほかの作品のモデルともなっています。イタリア旅行中に描かれた「水浴する金髪の少女」もまた、アリーヌであるとする説が有力です。

【世界の官能名画美術館 #7】ルノワールの「女性大水浴図」02

ルノワールの妻となるアリーヌ・シャルゴがモデルとされる「女性大水浴図」の金髪の美女。印象派のほかの画家たちの例に漏れず、ルノワールもまた多くの女性モデルと浮き名を残しているが、妻となったアリーヌはもともと、縫い娘をしていた。

【世界の官能名画美術館 #7】ルノワールの「女性大水浴図」03

ピエール=オーギュスト・ルノワール作「陽光を浴びる裸婦」(1875年、油彩・カンヴァス、81×65cm、パリ、オルセー美術館所蔵)。第2回印象派展に出品された本作は、裸婦の身体に青や紫を点描することで、木漏れ日や陰影を表現している繊細な作品として知られる。しかし、発表当初は、「腐った肉のようだ」と酷評されたという。

【世界の官能名画美術館 #7】ルノワールの「女性大水浴図」04

ピエール=オーギュスト・ルノワール作「水浴する金髪の少女」(1881年、油彩・カンヴァス、82×66cm、クラーク美術研究所所蔵)。イタリア旅行中に滞在したナポリ湾のカプリ島で描かれたとされる裸婦像。上を向いた豊満な胸に、彫刻的なフォルムが独創的な作品である。モデルは、のちの妻アリーヌとされている。

生涯描き続けた画家、ルノワール(1841-1919年)

【世界の官能名画美術館 #7】ルノワールの「女性大水浴図」05

1910年頃のルノワールの肖像写真。

1841年、ピエール=オーギュスト=ルノワールフランス中部の磁器の街、リモージュに生まれました。

13歳の頃、仕立屋を営んでいた父親の意向で、磁器工房の見習い工になると、その絵付けの仕事はたちまち評判になったといいます。

技術の発展で、絵付け作業が機械に取って代わると、ルノワールは画家へと転身。画家シャルル・グレールの主催する自由画塾に入ったことで、のちに印象派として活躍する画学生たちと運命の出会いを果たすことになります。

古典に学ぶだけでなく、自分の目で見た自然の風景や身近な風俗を描くことを提唱し、1873年に行われた第1回印象派グループ展に参加。以後、第3回までは連続して出品しました。

またルノワールは、有名・無名問わず、多くの女性をモデルに作品を描くことでも知られています。

1880年頃、パリのルノワールの家近くにあった食堂でアリーヌ・シャリゴと知り合うと、まだ20歳だったアリーヌの飾らない性格に惹かれ、のちに結婚。以後、作風を変えながら晩年まで絵筆をとりつづけました

その作品総目録は、4000点をくだらないといいます。

出典:『世界の官能名画―光と闇に彩られた官能絵画の祭典』(メディアソフト)

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