砂と海に浸食されつつある灯台
ヨーロッパ大陸北部にある、北海とバルト海を分かつユトランド半島。デンマーク北部の街イェリングに位置するルビャオ・クヌード灯台(Rubjerg Knude lighthouse)は、このユトランド半島の大半を占める北側のデンマーク領の海沿いに、人々から忘れ去られたようにして、砂丘の中にぽつんとたたずむ廃灯台です。
ルビャオ・クヌード灯台は、1899年に建設が始まり、1900年12月27日に稼動を開始しましたが、このエリアで深刻な問題となっている、海岸の浸食や移動する砂丘の問題により、1968年には早くも灯台としての役割を終えてしまいます。
その後は博物館やコーヒーショップとして利用されていたこともあったのですが、さらに進んだ海岸の浸食や拡大する砂丘により、2002年には完全に放棄されることになりました。
灯台が完成した当時は、海岸からおよそ300メートル離れた場所に建てられていたのですが、今では海岸ギリギリの場所にあり、海岸の浸食とともに少しずつ砂中に沈んでいっているルビャオ・クヌード灯台。
2023年には完全に海に沈んでしまうだろうと予測されています。

上空から観たルビャオ・クヌード灯台。海岸ギリギリに建っていることがよく分かる。この海岸は、1年に1.5メートルずつ浸食されているという(Kristopher Kettner / Shutterstock.com)。

灯台の付近では、かつて博物館などに利用されていたであろう建物が、砂の圧力によって押しつぶされ、すでに砂に埋もれてしまっている。

北海の淡いブルーに、砂丘の黄色、そしてルビャオ・クヌード灯台の白と赤が、とても絵になる。

砂丘にぽつんと残されたルビャオ・クヌード灯台。その姿は、はかなくもあり、同時に絵画のような美しさをあわせもっている。

夕暮れどきもオススメ。

ルビャオ・クヌード灯台の中の窓から見た北海。ここがコーヒーショップだったときは、とても良いロケーションと景色で人気だっただろう。

周囲には、砂丘を歩く人やルビャオ・クヌード灯台を見に来た人など、わりと多くの人でにぎわっている。

砂丘の緑地ではヒツジが放牧されていて、のんびりとした光景が広がる。

時が止まったかのような風景が広がるルビャオ・クヌード灯台周辺は、散歩に最適。忙しい日常から解き放たれたい人におすすめだ。

ルビャオ・クヌード灯台がある砂丘では、パラグライダーが人気のアクティビティとなっている。
DATA
◉アクセス:ヨアリング駅から車で約25分。