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【Lesson 9(最終回)】日本最古のマンガ『鳥獣戯画』について、あらためてお勉強してみよう。

最近、若い女性たちの間でも大人気の鳥獣戯画』

ウサギカエルサルなどの動物が、相撲を取ったり、水遊びをしたり、綱引きしたりと、墨で生き生きと描かれたこの800年前の絵巻物は、現在のマンガにも用いられるような手法が見られることもあって、日本最古のマンガともいわれています。

そんな『鳥獣戯画』の代名詞ともいえる「甲巻」について、詳しい内容をご紹介していくこの連載。

今回は、いよいよ最終回!! 23紙からなる「甲巻」の最後にあたる、第22紙~第23紙までを解説してみたいと思います。

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甲巻「第22紙 – 第23紙」。

~ 第22紙 ~

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「法会(ほうえ)」が終わり、その後日談が描かれるのが、第22紙第23紙

第22紙には、お布施(ふせ)を数えながらほくそ笑む、強欲なサルの僧正(そうじょう)が描かれています。

たとえば誰しもが一度は触れたことのある日本の民話さるかに合戦にもあるように、日本の動物譚では、サルは狡猾かつ強欲なものの象徴として描かれることが多かったようです。

~ 第23紙 ~

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第23紙では、トラの毛皮を持ったウサギの後を、烏帽子(えぼし)をかぶったカエルが献上品を持って続きます。

現存の甲巻は、この短い第23紙で終わりとされています。

しかし、その絵柄の連続性を考えると、この後に、シカが扮するウマとイノシシが扮するウシを、サルの僧正に献上する場面が描かれた第11紙が接続するのではないかと考えられています。

近年の研究では、刷毛(はけ)の痕から、第11紙~第15紙の絵は、第10紙とは接続しないことが分かっているのです。

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第11紙~第15紙。

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賭弓競技に遅刻し、あわてて試合場に駆け付けるウサギを描いた、第10紙。

ということで、最後に、この研究で分かった『鳥獣戯画』の新たな真実を、次の項で説明しましょう!

最新研究で分かった新事実!「第10紙と第11紙はつながらない」

100年ぶりの大修復を終えて、2014年には京都国立博物館で、2015年には東京国立博物館で特別展が開催された国宝絵巻『鳥獣戯画』

その修復の過程で、現存する「甲」「乙」「丙」「丁」の4つの巻物のうち、「相剥(あいへ)ぎ」という技術によって、丙巻は、1枚の紙の裏表に描かれた絵を切り剥がし、前後に連結したものということが判明しました。

また、今回ご紹介している甲巻については、第1紙~第10紙までと、第11紙以降では、使用されている紙や墨がわずかに変わっていることがわかったそう。

そして、こうした修復の成果をまとめた報告書『鳥獣戯画 修理から見えてきた世界』(京都国立博物館編)によれば、さらなる新事実が判明したといいます。

第10紙と第11紙をつなぐ部分は、これまで絵の連続性の観点からも、専門家の間では疑問視されていた部分ではありました。

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連続性が疑問視されていた、『鳥獣戯画』甲巻の第10 紙と第11 紙のつなぎ目部分。たしかに唐突な感じがする。

それが、このほど修復の過程で行われた調査によれば、和紙に付いていた刷毛の跡の相違によって、この第10紙と第11紙は本来つながっておらず、むしろ現存の甲巻の最後である、第23紙に第11紙が接続することが分かったのです。

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第23紙(右側)と第11紙(左側)は、刷毛を使って和紙を撫でた際についた筋の跡がつながることが判明した。

これまでに発見されている「模本」「断簡」で補うことで、甲巻は絵の順番も現存とは異なり、本来は2巻本だったとする説が有力でしたが、こうした仮説を立証する新発見となりました。

 

さて、これまで9回にわたって解説してきましたが、まだまだ謎に包まれている『鳥獣戯画』連載は今回で最後となりますが、今後のさらなる調査・研究に期待したいところです◎

出典:『世界に誇る鳥獣戯画と日本四大絵巻』 山口 謠司 監修(メディアソフト)

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『世界に誇る鳥獣戯画と日本四大絵巻』(メディアソフト)

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