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映画「プリシラ」【テアトル・オネェ 第1回】

はじめまして。ヴァニラ・ノブです。ふだんは映画のライターや雑誌の編集などやってます、おっさんゲイ

華やかに見えるこの世界も、じつは地味で小銭集めて暮らす薄給ライフ。そんな日々の心のよりどころなのが、映画を観て妄想の世界へ逃避すること。

特にゲイとしては、自分と同じセクシャリティのキャラクターが出ている映画に泣いたり笑ったり、感動したり怒ったりして一喜一憂するのが至福の時間かもしれない。でもね、ゲイとしてそれらの映画は、自分の血となり、肉となり、骨となっているのは確か。きっと女性も共感できる部分は多々あると思うのね。

というわけで、今回から、アタシが支配人となって架空映画館「テアトル・オネェ」をオープン。新旧・内外・ジャンルも問わず、オススメの映画を取り上げてご紹介させていただきます◎

ということで、「テアトル・オネェ」オープニング上映作品は、アタシがいちばんリスペクトした映画「プリシラ」を。

来年3月には、宮本亜門演出で今をときめく山崎育三郎が出演する、ミュージカル版「プリシラ」の再演も決定してますよ!

「プリシラ」のおすすめポイント

映画「プリシラ」【テアトル・オネェ 第1回】01

■ 「ドラァグクイーン」文化を世界に広めた作品

■ 最高のリップシンク・ショーが観られる

■ 若かりしガイ・ピアーズの、イイ体を堪能できる

「プリシラ」のあらすじ

オーストラリアシドニーに住む、30代のミッチ、20代のフェリシアのドラァグクイーン。そして性別適合手術を受けた50代のバーナデット。

世代の違う3人のゲイが、オーストラリア大陸の中心にある、砂漠の街・アリス・スプリングスのホテルで開催されるショウに出るために、中古のバスを購入し、プリシラ号と名付け、ホテルに向かって旅立つ。

その道中でさまざまなトラブルや差別に遭い、さらに先住民族アボリジニなどとの出会いから、自分たちを見つめ直していくって話。

今から24年前、1994年のオーストラリア映画。現在、アラフィフのオネェにとって、20代前半でこの作品を見たときの衝撃と言ったらもうすごかったの、ホント!

「ドラァグクイーン」文化を世界に広めた作品

映画「プリシラ」【テアトル・オネェ 第1回】02

華やかな衣装やメイクに身を包んだドラァグクイーン(ChameleonsEye / Shutterstock.com)。

今でこそドラァグクイーンって言葉をご存知の方は多いと思うけれど、当時はまだまだ知られざる存在だったの。というわけで、一部の人は知っててもまだまだ認知と理解は低くて、ニューハーフさんと混同される方も多いくらいだったわ。

ちなみに「ドラァグクイーン」を説明すると、「ドラァグ(drag)」「引きずる」って意味で、すべてにおいてトゥマッチな衣装やメイク、ウィッグで唇の動きと音声とを連動させる「リップシンク・ショー」を行うパフォーマーのことなの。

そういえば、「ヤク中になった女性を表すから、ドラッグクイーンだ」なんてトンチンカンなこと言ってる勘違いなヤツもいたなぁ……。

そんなまだドラァグクイーンの位置付けが曖昧模糊としているなかで、「これがドラァグクイーンよ!」とのしまでつけてくれて、なによりオーストラリア「マルディグラ(謝肉祭の最終日、灰の水曜日の前日)」というレインボーバリバリなお祭りで、ゲイの間じゃおなじみの国から届いたもんだから、大喜び。

そして映画の中に登場する衣装、ウィッグ、メイク、リップシンクに使う曲のどれもが、あまりにも完璧で、リスペクトしたドラァグクイーンがどれだけいたことか。

ヴァネッサ・ウィリアムス「SAVE THE BEST FOR LAST」や、グロリア・ゲイナー「I WILL SURVIVE」のリップシンク・ショーは、”もうお腹いっぱい”っていうくらい、いろんなバリエーションで見たわぁ……。

じっさい、アタシもドラァグクイーンではなかったけれど、当時付き合ってた外国人の彼氏と一緒に映画の中に登場する花を埋め込んだウィッグに感銘を受けて、造花を山ほど買って手作り。ハロウィンでコスプレしたこと思い出しちゃう。

素晴らしい俳優陣!

映画「プリシラ」【テアトル・オネェ 第1回】03

左からヒューゴ・ウィーヴィング(Everett Collection / Shutterstock.com)、ガイ・ピアーズ(Andrea Raffin / Shutterstock.com)、テレンス・スタンプ(s_bukley / Shutterstock.com)。

公開から約25年が経っているものの、今観ても、感覚的にも映像的にも古くは感じないし、ゲイを取り巻く状況も当時よりはいい方向に変わった部分もあるけど、変わってないことも多いんじゃないかなって憤ってみたり……。

出演者も素晴らしい存在感で、ミッチを演じたヒューゴ・ウィーヴィング、フェリシア役のガイ・ピアーズ(本作ではまだ若い、イイ体を堪能できますわよ!)は今作で注目され、それぞれ「マトリックス」「ロード・オブ・ザ・リング」「L.A.コンフィデンシャル」「メメント」などで、今も世界的に大活躍。バーナデット役の名優テレンス・スタンプも、これまでにない役を思慮深く演じていて、この人が出ていて本当によかったと思えるの◎

ちなみに来年3月には、宮本亜門演出で、山崎育三郎陣内孝則ミュージカル版「プリシラ」が再演されるみたいだけど、前回公演からどのくらいブラッシュアップされるのか期待しましょう!

MOVIE DATA

「プリシラ(The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert)」

■ 監督 …… ステファン・エリオット

■ 出演 …… テレンス・スタンプ、ヒューゴ・ウィーヴィング、ガイ・ピアース、ビル・ハンター

映画「プリシラ」【テアトル・オネェ 第1回】

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