パキスタン北東部、パンジャーブ州の都市ラホールにある城塞、ラホール城。城内には「アーラムギーリー門」や「ノウラーカー・パビリオン」といった有名な史跡が残されており、1981年には、ラホール市内にある庭園と合わせて、「ラホールの城塞とシャーラマール庭園」として世界遺産に登録されました。
ラホール城の歴史

ラホール城の西門にあたる、「アーラムギーリー(アラムギリ)門」。通常はこの門から入るようになっている。
パキスタン第2の都市ラホールの旧市街に建つ、ラホール城。
ラホール城の歴史は古く、伝説によると神話の時代にまでさかのぼるといい、12世紀にラホールから征服活動を展開したゴール朝(現在のアフガニスタンに興り、北インドに侵攻してインドにおけるムスリムの最初の安定支配を築いたイスラム王朝)の君主、シハーブッディーンの時代には、すでに存在していたといいます。
その後、モンゴル軍やティムール軍(現在のウズベキスタン中央部に勃興したモンゴル帝国の継承政権のひとつで、中央アジアからイランにかけての地域を支配したイスラム王朝)による破壊と再建を繰り返しました。
そして1566年、ムガール帝国(16

広大なラホール城内(gaborbasch / Shutterstock.com)。
ラホール城の見どころ
ラホール城内で最も保存状態の良い場所が、1631年以降のシャー・ジャハーンの時代に建てられたエリア。
ちなみにシャー・ジャハーンは、インドの「タージ・マハル」を建てた人物でもあり、その豪快なお金の使いっぷりで国庫を傾かせ、のちに幽閉されることになってしまった王様です。
愛妃ムムターズ・マハルのために建て、鏡のモザイクで埋め尽くされた「鏡の間(鏡の宮殿)」や、40本の円柱が立ち並ぶ「謁見の間(特別謁見室)」など、豪華絢爛な装飾は必見の価値あり。

ラホール城最大の見どころである、「鏡の間(鏡の宮殿、シーシュ・マハル)」の正面。城の北西角に位置する宮殿で、17世紀にシャー・ジャハーンが愛妃ムムターズの居間として建てたもの。荒廃したラホール城のなかで最も保存状態が良く、当時のムガール帝国の繁栄ぶりを今に伝えている(Burhan Ay / Shutterstock.com)。

無数の鏡の小片を張り合わせる「シーシュガリ」と呼ばれる技法で装飾された「鏡の間(鏡の宮殿、シーシュ・マハル)」。昼も美しいが、夜はランプやろうそくの光が鏡の小片に反射してキラキラと輝き、よりいっそう美しいという(Homo Cosmicos / Shutterstock.com)。

シャー・ジャハーンが妃のムムターズのために建てさせた「ノウラーカー(ナウラカー)・パビリオン」。ムムターズが外を眺めるために建てられた。「ノウラーカー(ナウラカー)」とは「90万ルピー」という意味で、この小館を建てるのに莫大なお金がかかったということを意味している。

「ノウラーカー(ナウラカー)・パビリオン」。透かし模様の窓や、外壁の装飾など、どこをとっても美しい。

シャー・ジャハーンの庭園と「謁見の間(特別謁見室)」。白大理石を愛したシャー・ジャハーンらしい美しい建物で、かっては黄金で装飾され、宝石や半貴石が埋め込まれていたというが、その後略奪されてしまった(Burhan Ay / Shutterstock.com)。

高官との謁見用に造られた、シャー・ジャハーンの「謁見の間(特別謁見室)」。
DATA
◉アクセス:イスラマバードからラホール駅まで列車で約7時間、駅からバスで約10分。