イギリス・グレートブリテン島の北部3分の1を占め、1707年のイングランド併合まで独立した国であったスコットランド。その首都であるエディンバラ(エジンバラ)の街を見下ろすように、「キャッスル・ロック」と呼ばれる急しゅんな岩山の上にそびえるのが、スコットランド人が誇るエディンバラ城(エジンバラ城)です。
強大な防衛力を誇ったお城

エディンバラ城への入り口。
エディンバラ城は、歴代のスコットランド王の居城として、7世紀に古代の要塞の跡地に建設されました。12世紀から16世紀までの間に幾度も起こったイングランドとの戦争によって破壊と再建を繰り返した結果、しだいに城塞化していったエディンバラ城は、やがてスコットランド軍の拠点として強大な防衛力を誇っていたといいます。
城内には、こうした歴史を物語る城壁や巨大な大砲が残されているほか、城門には今もスコットランドの民族衣装に身を包んだ本物の衛兵が立ち、毎日午後1時(日曜を除く)に空砲が発射される「ワン・オクロック・ガン」と呼ばれる伝統的な儀式が行われています。

まるで街のように巨大なエディンバラ城。

「ワン・オクロック・ガン」と呼ばれる伝統的な儀式(padchas / Shutterstock.com)。

1511年、ジェームズ4世の命で建てられた「グレート・ホール」。かつてはスコットランド議会のミーティング会場として使われ、現在でも時折儀礼的行事などに用いられている(John Gress Media Inc / Shutterstock.com)。

「グレート・ホール」の暖炉(anastas_styles / Shutterstock.com)。

エディンバラ新市街の東に位置する、眺望豊かな小高い丘「カールトン・ヒル」から眺めた、夜のエディンバラ。中央奥にはエディンバラ城が見える。

毎年8月に開催されるエディンバラ・フェスティバルは芸術と文化の祭典。特に、エディンバラ城の前でスコットランド駐留部隊がバグパイプとドラムを演奏しながら行進するパレード「ミリタリー・タトゥー」は、圧巻のショーとして有名。
『ハリー・ポッター』が生まれた場所

街の中心にある「プリンス・ストリート・ガーデン」の「ロス噴水」と、切り立った岩山の上にそびえ立つエディンバラ城。
そんなエディンバラ城は、『ハリー・ポッター』の物語のなかに登場する「ホグワーツ魔法魔術学校(ホグワーツ城)」のモデルとなった城だといわれています。
映画版に出てくるホグワーツ城のような尖塔こそありませんが、大きな岩山の上にそびえ立つ姿がよく似ていることから、ホグワーツのモデルではないかといわれるようになったのだとか。
また、エディンバラ城から歩いて5分ほどの場所にあるカフェ「the elephant house(ザ・エレファント・ハウス)」は、作者のJ・K・ローリングが、記念すべき第1作目である『ハリー・ポッターと賢者の石』を執筆した場所でもあります。このことも、エディンバラ城がホグワーツのモデルといわれる理由のひとつなのかもしれませんね◎

「the elephant house(ザ・エレファント・ハウス)」(f11photo / Shutterstock.com)。

「the elephant house(ザ・エレファント・ハウス)」の店内の様子(Ivica Drusany / Shutterstock.com)。

エディンバラ旧市街の中心部を通り、エディンバラ城とホリールードハウス宮殿を結ぶ道「ロイヤル・マイル」。テレビドラマ『アウトランダー』の撮影にも使用されるなど、今もなお中世の面影を残している。
DATA
◉アクセス:ロンドン・キングス・クロス駅からエディンバラ・ウェンブリー駅まで列車で約4時間半、駅から徒歩15分。