日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社でキャビンアテンダント(CA)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎
今回は、飛行機での楽しみのひとつ、「機内販売でのハプニング」についてのお話です!
フライトごとに変わるメンバー
現在私が勤務するアジア系の航空会社には、何千人ものキャビンアテンダントが在籍しています。日本人乗務員だけでもかなりの人数になるため、日本人の新人さんが入社してきても、実際に皆さんにお会いするまでに数年かかることも。さらに航空会社本国の乗務員にいたっては、知らない人だらけというフライトも多くあります。
そして、キャビンアテンダントの仕事はフライトごとに一緒に乗務するメンバーが変わるため、本当にいろんな乗務員と会うことになるのですが、今日はそのなかでも特に衝撃だった乗務員を紹介します。
責任者「パーサー」の不穏な動き

KLMオランダ航空のキャビンアテンダント責任者「パーサー」(JPstock / Shutterstock.com)。
現在の航空会社で乗務し始めて、数年が経った頃の話です。
私の会社では、キャビンアテンダントの責任者である「パーサー」が、機内免税品の販売をします。ふだんは食事のサービスのあとに、パーサーとヘルプの乗務員1名(日本便はだいたい日本人乗務員が担当)のふたりがカートを引いて機内を回ります。そしてこの日のフライトでは、私がヘルプとしてパーサーに付いていく役目でした。
しかしこの時のパーサー(男性)は、あろうことか、食事のサービス中にカートを引き出してきたのです。お客様のテーブルにはまだ食事のトレイは載っていましたし、そんな状況では買い物をしたくてもできないのでは……と思いつつ、大・大・大先輩であるパーサーにそのような意見は言えず、黙って見ているしかありませんでした。
結局、機内がまだ食事のサービスでバタバタしているなかで、免税品の販売が始まることになったのです……。
機内販売のウラ事情
機内販売では、クレジットカードはもちろん、日本円や米ドルなど、各国の通貨も使用できることになっています。
その日も、買い物をしたひとりのお客様が、ユーロのお札で支払いをしようとしたのですが、パーサーはユーロのおつりを持っていませんでした。
日系の会社であれば、ちゃんと各国の通貨のおつりを用意しているのかもしれませんが、私の航空会社は「ユルめ」な外資系。会社がわざわざ用意することはなく、お金の管理はすべて各パーサーに任されているので、しっかり用意している人もいれば、まったく用意しないという人もいるのです。
この日のパーサーは後者の方で、ユーロの用意をしていなかったのですが、なんとさらに驚いたことに、たまたまおつり用の財布に入っていた日本円でおつりを渡したのです!!
日本人のお客様であれば日本で使えるのでまだいいのですが、そのお客様はフィリピン人で、その後の乗り継ぎでフィリピンに向かう方でしたので、日本円なんてまったく必要ありません。しかし、パーサーが当たり前かのように日本円でおつりを渡したため、お客様はちょっと戸惑いながら、何も言わず受け取っていました。
これがもし日本人のお客様で、まったく必要のない通貨を渡されていたとすれば、確実に何か言われていたと思います……。
「お客様、申し訳ございません……。」と心の中で謝りつつも、当時まだ新人だった私は何も言えず、そのままパーサーと私の機内販売は続き、その後も何人かのお客様が犠牲になっていらっしゃいました……。
衝撃のおつり構成
そして、最も驚いたのが……。米ドルで支払おうとしたお客様(日本人ではありません)に、パーサーはおつりとしてシンガポールドルを渡そうとしました。
この時までに何度かお客様とこのパーサーのやり取りを見て、「たまたま財布に入っていたほかの通貨でおつりを渡す」ということは、もはやこのパーサーのなかでは常識になっているように思えていました。
しかし、この時はおつりがシンガポールドルだけでは足りなかったため、足りない分を日本円で、しかも全部100円玉で足してから渡したのです!
このおつりを見たお客様も、さすがに「エッ!? これがおつり!?」と、ごもっともな反応……。
ですがこれに対して、パーサーは自信満々に、「日本円は今すごくレートがいいんですよ!!」と、かなり強気な対応をしていました。
結局そのお客様は疑いながらも、シンガポールドルと日本円の合わさった不思議な構成のおつりを受け取るハメになったのです。
そして機内販売が終わったあと、パーサーが私に向かって発した言葉がコレ↓
「彼らは僕を信じない!! 日本円は強いのに!! あ~頭が痛い〜!」
私は思わず、「頭が痛いのはこっちです〜! そもそもコインでは換金もできません!」と、ツッコミを入れそうになっていました(笑)。
この日得た教訓
なんとも強烈なパーサーで、忘れられない思い出となったこの日のフライト。
パーサーが機内販売担当というのはあらかじめ分かっていることなので、せめて本国の通貨と米ドルだけでも用意しておいてほしいものですが、この日以来、彼のような適当すぎるパーサーにいつ遭遇してもいいように、日本円だけは1万円分を両替できるよう常備するようになりました……。
犠牲になったお客様には申し訳なかったですが、改めて思い返すと、衝撃すぎてちょっと笑えてしまいます(笑)。
そして、それぞれのお客様が、どこかでその無関係なおつりたちを使う機会があったことを願うばかりです◎