「屋根のない美術館」と称される、イタリア・フィレンツェ。これらの美術品が集中するのが、世界遺産にも指定されている、フィレンツェの中心部に位置する歴史地区です。
ここには中世の面影を残した歴史的建築物が建ち並び、まるでタイムスリップしたかのような美しい街並みが広がっています。
前回はフィレンツェの歴史とウフィツィ美術館についてご紹介しましたが、今回はまだまだある、フィレンツェのオススメ観光スポットをご紹介していきたいと思います◎
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の隣に建つジョットの鐘楼からは、大聖堂のクーポラと美しい街並みが一望できる。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラ(天蓋)に描かれたフレスコ画「最後の審判」。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂と、入場を待つ観光客の長い行列。この行列は1年中絶えることがなく、フィレンツェの名物ともなっている(faber1893 / Shutterstock.com)。
フィレンツェを象徴する建物で、1296年から140年以上もの歳月をかけて建設されました。このためゴシック、初期ルネサンス、ネオ・ゴシックなどの各時代ごとの様式が混在しているのが特徴。
街のどこからでも目を引く巨大なオレンジ色のクーポラ(ドーム)は、石積み建築のドームとして世界最大を誇ります。
このクーポラの内側を埋め尽くすように描かれたジョルジョ・ヴァザーリとフェデリコ・ツッカリによるフレスコ画「最後の審判」は、ぜひ見ておきたい傑作です。
また、大聖堂のそばにはジョットの鐘楼やサン・ジョヴァンニ洗礼堂が建ち、美しい景観を織りなしています。
ヴェッキオ宮殿

シニョーリ広場に面して建つヴェッキオ宮殿。1299年から1314年にかけてアルノルフォ・ディ・カンビオによって建設され、初めはフィレンツェ共和国の政庁舎として使われ、一時はメディチ家もピッティ宮殿へ移るまでここを住居としていた。

天井や壁一面が絵画で飾られた、「500人大広間」(Lorenzooooo / Shutterstock.com)。
入り口にミケランジェロの「ダヴィデ像」(現在はレプリカ)が建つヴェッキオ宮殿。現在は市庁舎として利用されていて、14世紀初頭に政庁舎として建築され、一時はメディチ家も暮らしていました。
そのため、市庁舎ではあるものの内部には芸術作品が目白押しで、見どころも満載。
特に、ジョルジョ・ヴァザーリの巨大な壁画がある「500人大広間」では、2007年、その壁画の裏にレオナルド・ダ・ヴィンチの幻の壁画「アンギアーリの戦い」が隠されていることが発表され、大きな話題を呼びました。
ポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)

アルノ川に架かるポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)。
アルノ川に架かる二層の橋、ポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)。イタリア語で「古い橋」を意味する名前の通り、フィレンツェ最古の橋で、かつてはウフィツィ美術館とピッティ宮殿を結ぶ渡り廊下でした。
現在は橋の上に所狭しと宝飾店が建ち並び、フィレンツェを象徴する風景のひとつとなっています。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会とサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会の正面ファサード。
14世紀後半に完成したゴシック様式の聖堂で、レオナルド・ダ・ヴィンチが3年間暮らし、傑作「モナリザ」を製作した場所としても有名です。
また、内部にあるサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局は世界最古の薬局として知られ、その製品は今もなお800年前と変わらないレシピで作られていて、その高品質な商品を求めて世界中から観光客が訪れています。
サンタ・クローチェ教会(サンタ・クローチェ聖堂)

サンタ・クローチェ広場に建つ、サンタ・クローチェ教会(サンタ・クローチェ聖堂)。

内装も豪華。有名なイタリア人たちの埋葬場所でもあることから、「pantheon delle glorie italiane(イタリアの栄光のパンテオン)」とも呼ばれている(Anna Pakutina / Shutterstock.com)。
14世紀後半に完成したゴシック様式の聖堂で、ミケランジェロやガリレオ、マキャヴェリ、作曲家のロッシーニといった偉人たちが埋葬されており、 フィレンツェが歩んだ歴史に触れることができます。
ピッティ宮殿とボーボリ庭園

トスカーナ大公の宮殿として使用されたピッティ宮殿。

総面積4万5000平方メートルに及ぶ大庭園、ボーボリ庭園。
メディチ家をはじめ、トスカーナ大公の宮殿として使用されたルネサンス様式の広大な宮殿で、ヴァザーリの回廊によってウフィッツィ美術館にもつながっています。
現在は歴代の主が収集した膨大なコレクションを展示する美術館兼博物館となっていて、敷地内にはふたつの美術館と、銀器や衣装、陶磁器、馬車などを展示する4つの博物館があります。
また、宮殿の裏には総面積4万5000㎡の巨大なボーボリ庭園が広がっていて、こちらも人気の観光スポットとなっています。
ミケランジェロ広場

ミケランジェロ広場から眺めた、フィレンツェの街並み。広場の中央には、ミケランジェロのダヴィデ像のレプリカが建っている。
フィレンツェの展望台として有名なミケランジェロ広場は、美しい街並みを一望できるとあって人気のスポット。夏は夜遅くまで多くの人でにぎわっているので、安心して夜景を堪能できます◎
DATA
◉ベストシーズン:4月~10月
◉アクセス:ミラノから電車で約3時間。または、ローマから2時間。