どうも、ヴァニラ・ノブです! アタシが支配人を務める架空映画館「テアトル・オネェ」。新旧・内外・ジャンルも問わず、オススメの映画を取り上げてご紹介させていただきます◎
今回の上映作品は、9月28日(金)から公開される新作!
アメリカで8月15日に公開されると、出演者が全員アジア人なのにもかかわらず、なんと全米1位の大ヒット作となった「クレイジー・リッチ!」。
前回上映した「SEX AND THE CITY」や「プラダを着た悪魔」、「オーシャンズ8」なんかが好きな人には、たまらないご馳走映画なのよ!
「クレイジー・リッチ!」のおすすめポイント
■ アジア人がメインキャストという、画期的なハリウッド映画
■ シンガポールのセレブたちの、とんでもないリッチぶりに注目!
■ アラフォー女子たちの願望を叶えてくれる「かも」しれない、夢のある展開
「クレイジー・リッチ!」のあらすじ
アメリカ・ニューヨークで生まれ育ち、今は若くして経済学の大学教授をしている中国系アメリカ人のレイチェル。彼女には付き合って1年になる恋人ニックがいて、恋に仕事に順風満帆の日々。
ある時、ニックから“親友の結婚式のために故郷であるシンガポールに帰るんだけど、一緒に来てくれない? 母親にも紹介したいし”という提案が。“うれし~! もちろん行くわ!” とばかりに、レイチェルはシンガポール行きを即決します。
そして空港に着くと、あることがきっかけで、それまで「ええとこのお坊ちゃん」程度にしか思っていなかったニックが、じつは「とてつもなくええとこのお坊ちゃん」だったということがわかり、”ちょっとちょっと、そんなこと聞いてないよ〜!”な、レイチェル。
とはいえ、ニックには自分の状況なんて知ったこっちゃなく、”自分は自分だから”と意に介さず、レイチェルも”まあ愛するニックさえいてくれたらなんとかなるわね”と、いざシンガポールへ。
一方、シンガポールのニックの家族や親戚関係、友人たちには、ニューヨークにいたニックの知り合いである”どしゃべり女”からすでに伝達済みなので、どんな彼女が来るのかと、今か今かとウェイティング。
なかでもニックの母親、エレノアは表面上はクールにとりつくろっているものの、背後には燃えさかる夜叉が見え隠れ!
でもって、シンガポールに着いたニックとレイチェル。これから楽しい滞在が待ってるかと思いきや、愛だけでは越えられない、地位と名誉の格差、妬み、嫉み、蔑みの大波小波、そして母親エレノアとの対面、さらに ラスボスの存在が……。
さて、2人の愛は無事に成就するのかしら? って話。
◎みんなリアルに経験してるんじゃない?◎

原題は、「Crazy Rich Asians」!(Faiz Zaki / Shutterstock.com)
こういう話って昔からあるわよねー。ゲイの世界でももちろんあります!
たとえばゲイバーに来る男前。社交的だし、話してても楽しいし、性格もいいし、しかも今付き合ってる人はいないって言ってる。当然、彼を狙ってるゲイは山ほどいるけど、みんなブライドが高いから、なかなか”イケみ〜っ”てことを、顔にも出さず待ち子状態。
そんなある日、ゲイネットワークから、その男前に彼氏ができたらしいという情報が! しかもよしゃいいのにバーのマスターが、”近いうちにゲイバーに一緒に来るらしいわよ”なんて情報をアップデートするもんだから、みんな水面下で”どうする? どうする?” なんて「おミー(ミーティング)」が始まり、結果、代表何人かが行くことになり、冷静を装いながら首長くして待つも……。
ここからがいかにもゲイの世界なんだけどっ! 最終的にはお目当ての2人は来なくて、“ちょっとなんで来ないのよ〜”を皮切りに、悪口フェス開催。で、ゲイたちは円陣組んで飲み倒し、バーは儲かり、マスターだけが喜び、来なかった2人は幸せっ、てことが多々あるの。リアルに!(アタシも経験済み)。
そういうことが頭に浮かんだものだから、今作のニックとレイチェルはどんな修羅場を迎えるのかしらんと思ってたら、ステージが違ってたわ。ゲイバーで1本や2本、「鏡月」のボトルを空けてギャンギャン言ってた自分たちがお恥ずかしい〜。
◎でも、この映画はみんなの経験を軽く超えるのw◎

ニックの母親エレノア役を演じる、ミシェル・ヨー(Kathy Hutchins / Shutterstock.com)。
まぁ「ステージ」と言っても、下っ端はわかりやすいイケズだけど、ラスボスへ近づくほどイケズがソフィスティケートされてるの! 特に、ニックの母親であるエレノア(ミシェル・ヨーが素晴らしい!)とレイチェルの関係は「渡る世間は鬼ばかり」、いかにもいがみ合ってます感がないだけに余計に怖さが増してるわ。
エレノアのレイチェルに対する憎さは、個人を優先するアメリカ的主義に対してファミリーを大事にする中国的主義の代弁でもあるし(だからこのアジア人だらけの映画が成立する)。
単なる嫁姑ではなくスケールがデカいから、母親の気持ちも理解できるし、レイチェルやニックの気持ちもわかる。ここがこの映画のキモね!
単なる婚活映画なだけじゃない、「アジア人のアイデンティティー」にまで踏み込んでると思うわ。
◎あの大人気お金持ちドラマも、かすんじゃうw◎

シンガポールのゴージャスな景色も魅力!
とはいえ、そんな難しいことは後にして、酔いしれたいのはシンガポールの金持ちのとんでもないリッチぶり。まさにクレイジー・リッチ! 「花より男子」のお金持ち描写がかすんでしまうくらいの、やりきった贅沢感を見るだけでもすごいわよ〜。
月下美人が咲いただけで、ナビにも出てこない大邸宅でパーティーするわ、バチェラーパーティーで島を貸し切るわ、ヘリで移動して貨物船をパーティー会場にして乗り込むわ、教会になぜか田んぼつくるわ、「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」や「マリーナ・ベイ・サンズ」のスカイパーク一帯貸し切るわ……と、ただただ眼福。
あと、ゴージャスだけど「SEX AND THE CITY」とはまた違ったアジアンテイストなファッションセンスや、チャイニーズポップス(サントラ買いたい)のチョイス、さすが食べることが重要な意味を持つ国ならではの料理の数々にも注目してほしいわね!
◎でも、ほんとうの見どころはね……◎

「クレイジー・リッチ!」のメインキャストたち。(DFree / Shutterstock.com)。
役者たちもそれぞれが個性的(顔も含めて)。ニックをはじめとした男たち、いい体なの! シャワーシーンや、着替えのシーンが無理やり挿入されてて、”「SEX AND THE CITY」を意識してるわね〜”と、ニンマリ……。
それに、ニックの金持ち親戚のひとりに、「異端児」と呼ばれるオリヴァーってメガネおデブちゃんがいて、レイチェルたちの味方になるんだけど、彼が”いかにもゲイでございます”って感じじゃなく、サラッと出してるのがいいのね◎ シンガポールってLGBT市民には別法があって、「じつは違法」だってことを知って見ると、”だからなのか……”って思うハズ。
MOVIE DATA
「クレイジー・リッチ!(Crazy Rich Asians)」
■ 監督 …… ジョン・M・チュウ
■ 出演 …… コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、オークワフィナ、ミシェル・ヨーほか
■ 公開 …… 2018年9月28日(金)
■ 公式HP …… https://warnerbros.co.jp/movies/detail.php?title_id=54615