ハワイ島の南側にあり、島を構成する5つの盾城火山のひとつである「キラウエア火山」。「世界一安全な火山」といわれるものの、今なお噴火活動が続く活火山で、「ハワイ火山国立公園」としてハワイ諸島で唯一の世界遺産に登録されています。
また、「ハレマウマウ火口」は、ハワイに伝わる数々の神話に登場する火の女神「ペレ」が住むといわれる場所で、彼女が怒った時に噴火すると信じられてきました。
つまりキラウエア火山は、ハワイアンたちが古くから守ってきた神聖な場所でもあるのです。
キラウエア火山の起源

上空から見たキラウエア火山と溶岩。

キラウエア火山の溶岩で埋め尽くされた大地と、ハワイの雄大な夜明けは、まるでほかの惑星に降り立ったかのように感じる絶景。
キラウエア火山は、地球上で最も大きい火山である「マウナ・ロア火山」の南東斜面の上に載るような形で形成されています。そのため、マウナ・ロアの標高が4169メートルなのに対して、キラウエアの標高は1247メートルとかなり低いのですが、ハワイ諸島のなかでは最も火山活動が活発な火山となっています。
キラウエア火山のはっきりとした起源は不明ですが、ほかのハワイ諸島の火山と同様に、地球深部のマントル成分が上昇してマグマの火山活動が起こる場所「ハワイ・ホットスポット」が作った火山で、30万~60万年前頃に形成され始めた後、おそらく5万~1万年前に海上に現れたと考えられています。
「世界一安全な火山」のワケ
ハワイ島観光最大のハイライトともいえる、このキラウエア火山。ハワイ語で「吹き出す」や 「多くまき散らす」を意味する名前の通り、ひんぱんに溶岩が流出する火山でもあり、20世紀だけで45回もの噴火が記録されています。
特に1983年に「プウオオ火口」から始まった噴火は、2018年現在でなんと35年間も継続しているというから驚き。
にもかかわらず、キラウエア火山が「世界一安全な火山」と呼ばれるのはなぜなのでしょう? ……それは、キラウエアの溶岩がきわめて粘性が高く、流れ出るような噴火をするため。

粘性の高いキラウエア火山の溶岩。
通常の火山であれば瞬時に溶岩が辺りをのみ込んでしまうほどの速さなのですが、キラウエア火山は人が歩くよりもゆっくり溶岩が流れるので、たとえ噴火中であっても観光が可能な、めずらしい火山なのです。
ちなみに、プウオオ火口から流れ出た溶岩流が海に向かうことがあれば、水蒸気を上げながら溶岩が海に流れ落ちる様子を見ることもできます!

溶岩の上を歩くことができる、「カラパナ溶岩見学エリア」。

蒸気を上げながら海へと流れ落ちる溶岩。
キラウエア火山でできること
ハワイ島は、こうした灼熱の溶岩がゆっくりと固まりながら造られた大地に、長い年月を経て熱帯雨林が生い茂るようになった、世界的にもめずらしい島。それゆえに、ハワイ島固有の動植物も数多く生息していて、キラウエア火山見物と同時に自然観察を楽しむこともできます。
ハワイ島内に敷かれた数多くのトレイルのなかでもオススメなのが、「アースクエイク・トレイル」。途中にある「ウォールドロン・レッジ展望台」からは、キラウエア・カルデラの壮大なパノラマを一望することができます◎

「ウォールドロン・レッジ展望台」から眺めた、キラウエア・カルデラ。
このほかに、ハレマウマウ火口を間近に見られる「ジャガー博物館」や、1959年に大噴火した火口の底に立てる「キラウエア・イキ火口」、およそ500年前にできたといわれる溶岩がつくったトンネル「サーストン溶岩洞」、いくつかの噴火口の付近を通る眺めの良い道路「チェーン・オブ・クレーターズ・ロード」など、見どころもたくさんあります!

「ジャガー博物館」から見た、ハレマウマウ火口。

「キラウエア・イキ火口」の底。固有の植物がたくましく育っている。

「サーストン溶岩洞」の内部。徒歩で一周するのに20分程度と、気軽に回れるハイキングコースとなっている。

まさに溶岩のど真ん中を走る、「チェーン・オブ・クレーターズ・ロード」。
DATA
◉ベストシーズン:4月~8月
◉アクセス:ヒロ国際空港から車で約45分。