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【スペイン】バルセロナ「ガウディの作品群が彩る、独特の街並みと芸術文化」

スペイン北西部、地中海沿岸に位置するカタルーニャ州の州都、バルセロナ。

スペイン随一の観光地としても知られるこの街には、独特のカタルーニャ文化とともに、古代ローマ時代の遺跡から中世、現代に至るまで、さまざな時代の顔をもつ魅力にあふれた街並みが広がっています。

特に、「サグラダ・ファミリア」をはじめとするガウディの建築物群は、「アントニオ・ガウディの作品群」の一部として世界遺産に登録されています。

バルセロナの歴史

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シウタデリャ公園の前に建つ、「バルセロナの凱旋門」。(Arsenie Krasnevsky / Shutterstock.com)。

伝説によると紀元前3世紀、カルタゴ(現チュニジア)の将軍ハンニバルの父であるハミルカル・バルカが、現在のバルセロナの辺りに植民都市「バルキーノ」を建設したそうで、その家名である「バルカ」がバルセロナの名前の由来となりました。

その後ローマ帝国の支配下に置かれると、今日に至る街の基礎が築かれ始め、街には今もなお当時の遺構が残されています。

そして5~8世紀にかけては、西ゴート族やイスラム勢力であるウマイヤ朝、フランク王国などの支配下に置かれますが、11世紀にはイスラム勢力を退け、現在に通じるカタルーニャ君主国を確立させました。

バルセロナが大きく発展するのは、12~14世紀のこと。港湾都市という地の利を生かし、地中海貿易で巨万の富を得ると、「カタルーニャ=アラゴン連合王国」として、黄金時代を迎えます。

しかしながら、15世紀にカタルーニャ=アラゴン連合とイベリア半島中央部のカスティーリャ王国との間で統一王朝が形成されると、国の中心はマドリードへと移り、バルセロナはしだいに衰退していきました。

ガウディを生んだ「モデルニスモ」運動

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19世紀の「大拡張計画」によって築かれた、バルセロナ新市街「アシャンプラ」。この計画では133.4メートル四方の正方形を1区画として、碁盤の目のように南北に道路が敷かれた。

衰退していたバルセロナですが、19世紀に入って産業革命が起こると、街には数多くの新しい産業が導入され、一気に発展します。そして、経済的地位の上昇に伴って、かつてのカタルーニャを取り戻そうという復権運動が巻き起こり、自治を求める機運が高まるようになります。

さらにこの頃、カタルーニャで花開きかけていた「モデルニスモ(新芸術運動)」が、独自のアイデンティティーを求める産業ブルジョワジーの支援を受けたことにより、復権運動と相まって爆発的に流行。

この時に活躍したのが、「モデルニスモ建築三巨匠」と呼ばれる、ドメネク、ガウディ、プーチといった芸術家たちでした。

ガウディの作品群

なかでも最も人気を集めているのが、スペインが世界に誇る天才建築家、アントニ・ガウディです。

バルセロナに残された彼の作品群は世界遺産にも登録されていますが、自然や動物をモチーフにした生命力あふれる彼の作品は、そのあまりの奇抜さと斬新さゆえに、当初は敬遠されることもあったとか。

グエル公園

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ガウディ作品の1つであるグエル公園。バルセロナの街が一望できるスポットとしても人気。

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ガウディらしい、自然のモチーフをイメージしたデザインの回廊。

たとえば、バルセロナの街が一望できる丘の上に位置する、「グエル公園」。

グエル公園は、1900~1914年の間に分譲住宅として建造されましたが、まったく買い手がつかず、結局売れたのはガウディ本人と依頼主であるグエイ伯爵が購入した2件だけだったという話は有名。その後工事は中断し、市の公園として寄付されました。

現在はガウディが一時暮らした家が、「ガウディ記念館」として公開されているほか、バルセロナ市民の憩いの場として愛されています。

サグラダ・ファミリア

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サグラダ・ファミリア(dimbar76 / Shutterstock.com)。

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サグラダ・ファミリアの生誕のファサード。キリストの誕生から初めての説教を 行うまでの逸話が、緻密な彫刻によって表現されている(engineervoshkin / Shutterstock.com)。

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サグラダ・ファミリア内部。ステンドグラスから差し込む光や樹木のようなデザインの柱が、幻想的で神秘的な空間を演出している(Alessandro Colle / Shutterstock.com)。

そしてなんといってもいちばんの目玉は、「サグラダ・ファミリア」でしょう。

今では街のシンボルとなっているこの聖堂は、キリスト教聖堂のイメージをくつがえすユニークな外観に加え、「神の彫刻」と称される随所に施された緻密な彫刻が、唯一無二の圧倒的な存在感を放っています。

その複雑かつ独創性極まるデザインから、かつては完成まで300年はかかると予想され、ガウディ自身も地下聖堂と生誕のファサードなど一部に携わったあと、その完成を見ることなく亡くなりました。

しかし、経済成長や入場料収入、コンピューター技術の導入などによって工期が飛躍的に短縮された結果、現在はガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定と発表されています。

その他の見どころ

ガウディの作品以外に、バルセロナには3800点もの作品を展示する「ピカソ美術館」をはじめ、大小合わせて50もの美術館や博物館があり、スペインが誇る豊かな芸術文化に触れることができます。

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モンカダ通りにあるピカソ美術館。パブロ・ピカソの初期のあまり知られていない作品が展示されている(csp / Shutterstock.com)。

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ムンジュイックの丘の上にある国立宮殿内にある、カタルーニャ美術館。中世から20世紀までのカタルーニャ美術を中心としたコレクションで知られている。

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バルセロナの旧市街にある市場、「ラ・ボケリア」。1217年に古い城壁の外に立てられた肉売りの市に起源があるとされ、海産物やフルーツ、生ハムなどの加工食品など、スペインのさまざまな美食を堪能できる(Tang Yan Song / Shutterstock.com)。

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市の中心から臨海地区まで走る大通り「ランブラス通り」。カフェやレストラン、歴史的な建造物などが並び、夜遅くまで多くの人通りでごった返している(nito / Shutterstock.com)。

カタルーニャ独立運動とは?

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カタルーニャ独立デモで、独立旗「アスタラーダ」をふる人々(Riderfoot / Shutterstock.com)。

さて、話はバルセロナの歴史に戻ります。

モデルニスモ運動のあと、1936~1939年にかけてスペイン内戦が起こると、バルセロナをはじめとするカタルーニャはバスク州などと共に共和国政府側につき、フランコ将軍と敵対しますが、敗れてその軍門に下ることとなります。

すると、カタルーニャ語の使用をはじめ、その独自性は徹底的に抑圧され、数十年間にわたって恐怖政治と抑圧が続きました。

このことが、さらなるカタルーニャ復権と独立運動への布石となり、自治政府が復活。現在に至るのです。

最近、ニュースなどでカタルーニャ州の独立運動に関する報道を見る機会が増えていますが、こうした歴史を踏まえると「なるほど」といえますね。

DATA

◉ベストシーズン:4月~6月、9月~10月

◉アクセス:バルセロナ・エル・プラット空港から、バスまたは電車で約20分。

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