最近、自他共に認める「昆虫好き」である俳優の香川照之さんが、昆虫イラストをあしらった”昆虫服”のアパレルブランドを立ち上げるなど、なにかと話題にのぼる「昆虫」。
そんななか、カナダ最大の食品スーパーマーケット「Loblaws(ロブロウズ)」が、コオロギを粉末状に砕いた「コオロギ・パウダー」を、自社ブランドの「president choice(プレジデント・チョイス)」に加え、全国にある2000以上の店舗で発売を開始しました。

カナダ・トロントの「Loblaws(ロブロウズ)」(Paul McKinnon / Shutterstock.com)。
もともとは、トロントの1店舗で「代替プロテインコーナー」という小さな売り場だけで昆虫を取り扱っていたそうですが、自社ブランドの昆虫製品も、このような全国規模での昆虫製品の発売も、今回が初めてのことだそう。
というより、大手スーパーマーケットが大々的に昆虫製品を売り出すこと自体が、「世界初」なのではないかと思います。
そこで今回は、どんどん身近な存在になる「昆虫食」と、その先駆けとなりそうな「コオロギ・パウダー」についてご紹介したいと思います◎
「昆虫食」は、イイことばかり!

特にアジアでよく食べられている昆虫食。写真はタイの屋台で売られている、いろんな昆虫のフライ。
昆虫食に関しては、昔から世界各地に存在していましたが、そのグロテスク(に感じる)見た目などから、幅広い市民権を得るには至っていませんでした。
しかし、今後訪れるであろう世界的な食糧不足問題を背景にして、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が「昆虫は栄養価が高く採集も容易で、世界の未来のために理想的な食料になる」と発表し、昆虫食を推奨したことで大きな話題を呼ぶことに……。
その会議に出席した昆虫食の専門家は、「昆虫を食べる量を増やせば、世界の健康と富の増進や環境改善に役立つ」と訴え、昆虫食が改めて見直されることになったのです。
スーパーフード「コオロギ」!!

コオロギの串焼き。問題は、見た目だけ!!
すでに現在でも、世界人口のおよそ3分の1の人々が、日常的に昆虫を食べているといわれています。
そこに近年こうした世界的な潮流も加わってか、カナダでも数年前から「カブトムシなどの幼虫やコオロギを使ったミートソース」、「ハニーマスタード味のコオロギの丸焼きスナック」など、食材に昆虫を使った商品が登場しているほか、「コオロギ・ピザ」や「タランチュラの天ぷら」、「コオロギの串焼き」などの昆虫メニューを提供するレストランも登場しているそう。

こちらは昆虫入りのハンバーガー!
さらにコオロギは、必須アミノ酸や不飽和脂肪酸の「オメガ3」を豊富に含み、ビーフジャーキーの2倍にもなるプロテイン含有比率を誇るほか、コオロギを食べると牛乳とほぼ同じ量のカルシウムを摂取できることも、最新の研究でわかっているんだとか。
この驚くべき栄養価の高さが、近年のヘルシー志向も手伝って特に注目を集めていたという背景もあります。
そこで「Loblaws(ロブロウズ)」も、業界に先駆けて自宅で日常的に使えるような昆虫製品として、コオロギ粉の発売に踏み切ったようです。
ちなみにアメリカでは、コオロギを使ったスナックなどもあって、かなり人気も高いんだとか……。

そのまんまコオロギをスナックにした商品。左から、サワークリーム・オニオン味、ソルトビネガー味、ベーコン&チーズ味と、味付けもポテトチップスみたい。

こちら、見た目はほぼふつうのチップスと変わらない、コオロギの粉末入りコーンチップス。ここまでくれば、あまり気にならない。
コオロギは、「エビ」の味!?

炒めたコオロギ。
とはいえ、そもそもコオロギって美味しんでしょうか?
食糧難のことも、昆虫に栄養があるということも、環境問題のことも、昆虫食は理にかなったものだということはわかりました。
けれど、やはり見た目のグロテスクさや味に関しては、こちらも受け入れるには相応の覚悟が必要になるというもの。気にしない人もいるでしょうが、慣れてないと、どうしたって抵抗感はありますよね?
でも、そんな方に朗報! コオロギは「エビ」の味に近いといわれていて、さらにローストしたものは「ヘーゼルナッツ」の味に近くなるんだそうです。
見た目はおいといて、エビやヘーゼルナッツの味なら食べられる方も多いはず。臭みもエグみもなく、味だけで考えたら、なんの問題なく食べられる食材といえます◎
色は? 使い方は? 「コオロギ・パウダー」ってどんなもの?

100%コオロギの粉末を使ったコオロギ・パウダー。
さて、そこで気になるのが、”「コオロギ・パウダー」とはいったいどんなものなのか?”ということ。
じつはアメリカやヨーロッパでは、すでにいくつかの商品が販売されていて、プロテインの代用品としても注目されています。
そしてコオロギ・パウダーにもさまざまな種類があって、100%コオロギを使ったものから、小麦粉やコーンパウダーなどを混ぜたミックスパウダーまで、目的や用途に合わせて使い分けることが可能。
色も、100%コオロギの粉末はコオロギの色を反映して茶色く、ミックスパウダーは白っぽくなります。味に関しても、コオロギの配分が多いほど濃い味になります。
ということで、初心者にはミックスパウダーがいいかもしれません◎
コオロギの配分によって味が変わるため、100%コオロギの粉末なら、カツオブシのようにタコヤキやお好み焼きにかけて食べると、「サクラエビ」のようなコクやうまみが得られます。
そしてミックスパウダーなら、味やクセもほぼないため、小麦粉の代用品としてクッキーやパンケーキなどのお菓子にも使えます◎
まとめ
どうですか? かなり身近な存在に思えてきたでしょう??
とはいえ、まだまだ昆虫食への抵抗が強い人も多く、一般に浸透していないため大量生産するには至っておらず、値段が高くなっているのが現状。
それでも、これまで見た目だけがネックだったといえるコオロギが、粉末になることで抵抗なく食べられるようになるなら、ニーズはかなりアップしていくと予想されます。
急速に変わりゆく私たちの世界。「AI」や「月旅行」だけでなく、「昆虫食」が日常になる日も、すぐそこまで来ているのではないでしょうか?

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