インドネシアのフローレス島中央部、モニという町の近くにある、標高1639メートルのクリムトゥ山は、その頂上に”3色の火口湖”を持つことで知られています。
3つの湖にはそれぞれ名前が付けられていて、西側にある緑~深緑色の湖は「Tiwu Ata Mbupu(老人の霊の行く湖)」、東側にある青~青緑色の湖は「Tiwu Nuwa Muri Koo Fai(若い男女の霊の行く湖)」、そして赤~黒色の湖は「Tiwu Ata Polo(罪人の霊の行く湖)」と呼ばれ、地元の人々の間では、この湖が祖先の魂が帰る場所だと信じられています。
刻一刻と色を変える、3色の火口湖
そんなクリムトゥ山の火口湖は、かつてインドネシアの旧5000ルピア紙幣の裏面にもデザインされていたほど、インドネシアを代表する景色のひとつとなっています。
当時の紙幣をよく見ると、現在の色とは異なる、当時の湖の色で描かれていたことが分かるのですが、そのことからも、クリムトゥ山の火口湖が刻一刻とその色を変えていることがよく分かります。
クリムトゥ山の火口湖では、有史以来小規模な水蒸気爆発が何度も起きており、こうした湖水の色の変化は、火山ガスの活動に誘発された水中の鉱物が、化学反応することによって起きるのではないかと考えられています。
この神秘的な絶景を求めて、クリムトゥ山には多くの観光客が訪れており、毎年7~8月のハイシーズンになると、小さなモ二の街は観光客でいっぱいになるほど。
たいていの宿泊施設では火口湖までのツアーを開催しているので、こうしたツアーを利用するのがオススメです。特に、午前4時ごろに街を出発して山頂に着けば、日の出とともに浮かび上がる神秘的な湖を見ることができます◎

クリムトゥ山の3つの火口湖。いちばん手前にあるのが「Tiwu Ata Mbupu(老人の霊の行く湖)」、真ん中の湖が「Tiwu Nuwa Muri Koo Fai(若い男女の霊の行く湖)」、そしていちばん奥の湖が「Tiwu Ata Polo(罪人の霊の行く湖)」。

思わず吸い込まれてしまいそうな、神秘的な色。

同じ山頂にありながら、まったく異なる湖水をたたえている。東側の2つの湖では水中の噴気孔によって湧昇が起こっているとみられ、水蒸気が発生することも。

夕暮れもまた絶景。

実際に火口付近に立つと、その巨大さがよく分かります。

上空から見たクリムトゥ山の火口湖。絶景です。

曇りの日。湖の色は、その日の天候によっても変化します。

化学反応によって起こる色彩の変化。ときにはまるで地球のような模様を描くことも。

火口湖がよく見えるように、高い位置に展望ポイントが整備されています。

クリムトゥ山でよく見かける、野生のサル。観光客の人気者です。

ツアーに参加せず、自分で登って湖に向かう人も。湖だけでなく、周囲の自然も満喫できます。
いかがでしたか? クリムトゥ山のふもとの町、モ二にいちばん近い空港であるマウメレ空港へは、日本人にとって身近なリゾートであるバリ島からも定期便が出ています。
興味のある方は、ぜひ足を延ばしてみてください◎
DATA
◎ベストシーズン:7~8月
◎アクセス:マウメレ空港からふもとのモ二まで車で3~4時間。