モンゴル南部から中国北西部・甘粛(かんしゅく)省の一部にかけて広がる、ゴビ砂漠。東西約1600キロ、南北約970キロ、総面積はおよそ130万平方キロにおよび、世界第4位の大きさを誇る大砂漠です。
緑の大草原から、黄色い大砂丘まで

大草原のなかに山のようにそびえるモンゴル最大級の砂丘、ホンゴル砂丘。
モンゴル語で「礫(れき)が広がる草原」を意味する名前の通り、西部に砂丘が少しある以外は、ゴビ砂漠の大部分が、草原や砂礫の広がるステップとなっています。
また、5~9月にかけての夏の気温は最高45度を超え、冬は砂漠のイメージとは裏腹にマイナス40度にまで下がることもある、過酷な環境でもあります。

冬のゴビ砂漠。雪と強風が続く、過酷な環境となる。
悠久の歴史の舞台となった、モンゴルのゴビ砂漠
モンゴルにおいて、ゴビ砂漠は古くから遊牧民族国家の匈奴(きょうど)やモンゴル帝国などが活躍した場であり、シルクロードの拠点都市が置かれた場所。ここでは現在もなお、遊牧民たちが移動式の住居「ゲル」で暮らし、家畜を追う遊牧生活を続けています。

ゴビ砂漠の遊牧民にとってなくてはならない重要な家畜、フタコブラクダ。2つのコブの間に乗るため、安定感があり乗り心地も抜群だそう。

モンゴルの遊牧民が暮らす伝統的な移動式住居「ゲル」。内部は直径4~6メートルほどの空間があり、料理や暖房に使う炉を中心に、西側は男性、東側は女性の居住空間になっている。

モンゴルの遊牧民にとって、ラクダと同様になくてはならない存在である馬。モンゴル馬は野生馬である「モウコウノウマ」が家畜化された馬と考えられていて、体高が低く持久力があり、性格がおとなしいことが特徴(photovla / Shutterstock.com)。

ゴビ砂漠南部にある、「シャンバラ・ランド」と呼ばれる聖地。200年ほど前にモンゴル最大の聖人である「ダンザンジャブラー」という僧が修行を行った場所で、かつては地底世界の出入り口だったと考えられている。
中国側の見どころ「鳴沙山」と「月牙泉」
いっぽう中国での見どころは、なんといっても「鳴沙山(めいさざん)」。ゴビ砂漠の南西に位置する都市、敦煌(とんこう)に、東西約40キロ、南北約20キロにわたって連なる巨大な砂丘です。
そして、鳴沙山の北麓にある三日月形の湖「月牙泉(げつがせん)」は、2000年以上にわたって涸れることなく水が湧き続けているというオアシス。不思議なことに、この月牙泉は砂漠のなかにありながら、けっして砂が流れ込むことはなく、湖の周囲にしか砂が積もらないと伝えられています。
しかし近年、急速な環境悪化によって湖の水位の低下が激しくなり、水域が縮小し始めていることから、敦煌市などによる保全プロジェクトが行なわれているそうです。

鳴沙山と月牙泉。砂漠のなかにたたずむ楼閣が、情緒たっぷり。

上空から眺めた月牙泉。文字通り、湖が三日月の形をしている。
ゴビ砂漠でのアクティビティ
ゴビ砂漠では、モンゴルと中国、どちらでもラクダに乗って砂漠を歩けるツアーが用意されています。なかには、砂漠でキャンプをしながら数日かけて行くツアーもあるなど、アドベンチャー好きの冒険心を十二分に満たしてくれそうなアクティビティとなっています◎

ゴビ砂漠をラクダに乗って進む観光客。

ゴビ砂漠の素晴らしい星空は、キャンプツアーの醍醐味。

東西約150キロ、南北約5キロにわたって広がっている、ホンゴル砂丘。高さ約50メートルにもなる砂丘を1時間ほどかけて登ると、360度に広がるゴビ砂漠の絶景を見渡すことができる。

ゴビ砂漠の中を走る、モンゴル縦貫鉄道。ロシア~モンゴル~中国を結ぶ鉄道で、世界最長の鉄道のひとつに数えられる。
DATA
◉ベストシーズン:9月~10月
◉アクセス:
【中国側から】敦煌市内から鳴沙山までバスで約30分。
【モンゴル側から】ダランザドガド空港から車で約2時間。