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【日本の伝統模様 vol.5】唐草(からくさ)

「麻の葉」、「七宝(しっぽう)」、「籠目(かごめ)」、「千鳥」……。

いつだったか、どこかで聞いたことのあるこれらの名前は、私たち日本人になじみの深いもの。日本に古くからある伝統模様の名前です。ひとことで「模様」といっても、その背景にある歴史や意味は奥深く、縁起もさまざま

そんな日本の伝統模様のなかから、今回は「唐草(からくさ)」をご紹介します。

「唐草(からくさ)」の由来と意味

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シンプルな唐草模様。

蔦(ツタ)が絡み合いながら、四方へと広がっていく様子が模様になったのが、「唐草模様」。

唐草模様は古代エジプトやメソポタミアで生まれ、ギリシャ、ローマ、シルクロードを経て、中国(唐)の様式を色濃くし、日本に伝わったといわれています。

蔦(ツタ)は生命力が強く、四方八方どこまでも伸びていきます。そんなところから、唐草模様は「長寿・繁栄」を象徴する縁起のいい模様として、多用されてきました。

英語で言うと、「アラベスク」

「アラベスク(arabesque)」とは、「アラビア風の」という意味。一般的には、ヨーロッパの建築や芸術作品にみられる唐草模様のことを指します。

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ヨーロッパの建物の、大理石の表面に施されたアラベスク模様の彫刻。

また、イスラム世界で見られるアラベスクは、唐草模様のほかに、幾何学模様や植物の模様なども含み、左右対称なのが特徴。

イスラム世界において、無限に広がることができるアラベスクは、イスラム教の唯一神アッラーそのものであると捉えられていて、モスクの壁面などの装飾にも多用されています。

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エジプト・カイロ旧市街の建物に施された、アラベスク模様の彫刻。

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ウズベキスタンのモスクに施されたアラベスク模様の彫刻。

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イランのモスクに施された、アラベスク模様のタイル装飾。

唐草模様のバリエーション

日本の唐草模様には、唐草のみのものと、花と唐草が組み合わさったものがあります。

「牡丹(ボタン)唐草」、「葡萄(ブドウ)唐草」、「蓮(ハス)唐草」、「菊唐草」……。こうした「花唐草」は、モチーフとなった花の数だけ、唐草模様のバリエーションが存在していて、着物の生地、花瓶や香炉など、さまざまな物に使われています。

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「蓮(ハス)唐草」。

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「菊唐草」。

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「牡丹(ボタン)唐草」。

なかでも、美しさを追求して作られた架空の花「宝相華(ホウソウゲ)」とのコラボレーションは、貴重な文化財にも見ることができます。

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「宝相華(ホウソウゲ)唐草」の模様で装飾された、正倉院の宝物で、世界で唯一現存する五弦の琵琶「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんごげんびわ)」(東京国立博物館)。

唐草模様といえば、「風呂敷(ふろしき)」

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唐草模様の風呂敷といえばこの色。「泥棒唐草」なんていう呼び方も。

ですが、日本で唐草模様といえば、アレ。そう、「風呂敷(ふろしき)」です!

風呂敷は奈良時代からあったとされ、唐草模様が使われ始めたのは、江戸時代あたり。そもそも日本人は布地に植物柄をあしらうことが多いのですが、なかでも唐草模様は「長寿」や「子孫繁栄」という縁起の良さも加わって、着実に浸透していったのです。

そして明治時代に入ると、風呂敷は家の中での収納や持ち歩きの収納道具として全盛を誇るように。

さらに大量生産が可能になり、昭和30~50年代あたりになると、おなじみの唐草模様の風呂敷が大流行。「一家に1枚は必ずある」という状況でした。

あまりにもどの家にもあるので、「泥棒が盗んだものを持っていくのにも、唐草模様の風呂敷を使う」ということで、「泥棒=唐草模様の風呂敷」というイメージが定着したんだとか。

その後は衰退してしまった風呂敷ですが、最近ではエコでオシャレな収納アイテムとして再認識され、唐草模様もレトロでカワイイ文様となりました。定番の緑や紺色以外にも、意外な唐草模様が目を楽しませてくれています◎

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