ウチヒサル(ウチヒサール)城は、トルコ中部の奇岩地帯、カッパドキアにある巨大な岩山をくり抜いて築かれた城塞。1985年には、「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群」として、世界遺産に登録されました。
カッパドキアの絶景スポット「ウチヒサル城」

右手に見える岩山がウチヒサル城。その周囲に広がるようにして、斜面に沿ってウチヒサル村が築かれている。
標高1000メートル以上のアナトリア高原中央部に広がる驚異の岩石地帯、カッパドキア。「妖精の煙突」と呼ばれる奇岩群や、岩をくり抜いて造られた地下都市で有名ですが、そんなカッパドキアの奇観を一望できる絶景スポットとして有名なのが、岩窟都市遺跡であるウチヒサル(ウチヒサール)。
ウチヒサルは、巨大な岩山をくり抜いたウチヒサル城塞を中心に広がる村で、トルコ語で「尖ったとりで」という意味を持ちます。
このウチヒサル城の始まりは、古代ローマ時代後期、ギリシャ人のキリスト教徒がローマ帝国の迫害から逃れるため、この地に隠れ住んだことに始まります。
その後も数々の争いのなかで、この巨大な岩山は城塞の役割を果たしてきたのです。

まるでファンタジーの世界から抜け出だしてきたような、ウチヒサル城と村。

入り口や階段、部屋、バルコ二―、棚などはすべて、岩の柔らかい部分を削って造られている。
ウチヒサル城の「ハトの家」
ウチヒサル城の表面を覆う、ハチの巣のような無数の小さな穴。尖った岩山の形状から、まるで巨大なアリ塚のようにも見えますが、これらの穴、じつはハトが暮らすための巣穴として造られたもの。現地では、「ハトの家」と呼ばれています。

ウチヒサルのすぐそばにある、「鳩の谷(ピジョン・バレー)」と呼ばれるエリア。ここには今もなお多くのハトたちが暮らしている。

十数階建てのビルにも匹敵しそうな、ウチヒサル城。出入り口用の大きな穴や窓、そしてハトのための小さな穴など、さまざまな形の穴が無数にあけられている。
ウチヒサルの人々は、昔からこの穴でハトを飼って糞を集め、村の周囲に広がるブドウ畑の肥料として使用していたといいます。火山性の痩せた土地を持つ、ウチヒサルならではの知恵ですね◎
ウチヒサル城には、こうしたハトの家以外にも、岩を穿って造られた部屋や教会、それらをつなぐトンネルや階段などが入り組んでいて、内部はまるで魅惑的な地下迷路のようになっています。
なかには現在も侵食が進んでおり、立ち入り禁止となっている部屋などもあり、冒険心がくすぐられることでしょう。

ウチヒサル城の内部。まるで地下の迷宮都市のようになっている。

こちらは住居として使用されていたのか、天井部分がブロックで補強されていたり、棚や照明置き場が造られていたりする。
そして階段を上ってようやくたどり着いたウチヒサル城の頂上からの眺めは、カッパドキア随一の景観! また、ウチヒサル城の観光は日照時間内に限られているのですが、城内の観光後は、ぜひライトアップされたウチヒサル城と村をご堪能ください◎

ウチヒサル城の頂上からの眺め。大自然の造形と人間の営みが共存する、カッパドキアならではの絶景だ。

ライトアップされた、夜のウチヒサル城。とても幻想的。

村の中もカラフルにライトアップされ、おとぎ話の中にいるかのような気分に浸ることができる。

ウチヒサル城の周辺でドライフルーツやナッツを販売する露店。頂上に登る人は、おやつとして購入しておいても◎(Thomas Wyness / Shutterstock.com)

ウチヒサル村近辺には、こうしたトルコの民芸品を売るみやげ物店も数多くあり、ショッピングも楽しめる◎(Photo Oz / Shutterstock.com)
DATA
◉アクセス:ギョレメのオトガルからバスで約15分、バス停から徒歩約10分。