古来から染料に利用された、鮮やかな赤い花

サフラワー(ベニバナ)の花。
花弁から赤い染料が採れる、サフラワー(ベニバナ)。紀元前に築かれた古代エジプトの遺跡からサフラワーで染められた布が発見されるなど、長い歴史を持つハーブです。
日本には4~6世紀頃にシルクロードを経て渡来し、平安時代には千葉県で、江戸時代には山形県や埼玉県で盛んに栽培されました。

花が咲く頃は絶景となる、サフラワー畑。
なお、和名では「ベニバナ(紅花)」、古名では「末摘花(すえつむはな)」という名前で親しまれています。
そんなサフラワーは、日本に伝来した当初から重要な染料のひとつとして、口紅や食紅、織物の染料として広く使用されましたが、明治時代以降は中国産のサフラワーが盛んに輸入されたことによって、国内での生産が急速に衰退。「紅花染め」や観光用として、わずかに栽培されるのみとなりました。
また、近代に入ると、サフラワーの種子から油が抽出されるようになり、日本では1960年頃から食用のサラダ油として販売が開始されました。

サフラワーの種子。
これらは「サフラワーオイル」や「紅花油」と呼ばれ、マーガリンの原料としても用いられてるほか、コレステロール値を下げる成分「リノール酸」が多く含まれていることから、健康面においても注目されています。

種子は鳥のエサとしても利用されている。
サフラワー(ベニバナ)は、料理でどう使う?
ヘルシーなサフラワーオイル

サフラワーオイル(紅花油)。
サフラワーの種子から抽出される「サフラワーオイル(紅花油)」には、ビタミンE、リノール酸、オレイン酸といった不飽和脂肪酸が多く含まれていて、コレステロールの代謝を正常にする効果があるため、動脈硬化の治療薬などにも用いられるという、ヘルシーな油。
無味無臭なので、使い勝手が良いのもうれしいポイントです◎
サフランの代用に

水やぬるま湯に入れると、黄色い色が出る。
サフラワーの花をぬるま湯や水に漬けて抽出した黄色い抽出液は、サフランを使う料理(サフランライスやパエリアなど)であれば、何でも代用が可能。
サフランに比べて苦味があり、サフラン特有の香りはないものの、値段は格段に安いため、気軽に利用することができます◎
サフラワーの漢方薬「紅花(こうか)」

漢方薬の原料となる、乾燥させたサフラワーの花。
乾燥させたサフラワーの花は、漢方では「紅花(こうか)」と呼ばれ、血行促進作用がある生薬として人気が高いそう。
紅花は薬用酒などにも含まれているほか、体のツボなどの部位に塗る火を使わないお灸の一種「紅灸(べにきゅう)」にも利用されています。
サフラワー(ベニバナ)の育て方

収穫の目安は、花色が黄から赤に変わる頃。
育てやすさ : ★★★★☆
植え付け : 3~4月、8~9月
花期 : 6~7月、11~12月
収穫 : 6~7月、11~12月
▪日当たりと風通しの良い場所で栽培する
▪秋まきの方が株が大きく、花付きが良い
ABOUT THE HERB
和名 :ベニバナ、スエツムハナ
学名 :Carthamus tinctorius
分類 :キク科/一年草または越年草
原産地 : エジプト
草丈 : 70cm~1m
使用部分 :花、種子
用途 : 染料、お茶、料理、美容健康、クラフト など
効能 : 生理痛軽減、貧血予防、冷え性改善、更年期障害改善 など