メキシコ・ミチョアカン州にある村、サン・ファン・パランガリクティロは、1943年初頭に近くのパリクティン山が”誕生”した際、地面から噴出した溶岩によって飲み込まれ、廃墟となってしまいました。
しかし、村の中心にある教会だけは唯一難を逃れ、今もなお「奇跡の教会」として、人々から崇められています。
突如として地面から現れた山

中央奥に見えるのが、パリクティン山(標高424メートル)。溶岩は、8年間ほどかけて周囲25平方キロメートルの土地を飲み込み、ようやく火山活動が終息した。
メキシコ中西部のミチョアカン州に鎮座する、スコリア丘の火山であるパリクティン山。
ちなみに「スコリア丘」とは、玄武岩質~安山岩質のマグマによる噴出活動により、地表面に「スコリア」と呼ばれるマグマが冷えて固まった岩塊が放出されて積み重なり、円錐台形の山を成したもの。
このパリクティン山は、山が形成される過程を、その始まりから目撃されていたという、世界でも非常に特異な山として知られています。
その事件が起こったのは、1943年2月のこと。数週間続いていた地鳴り(深発地震)に呼応するように突然地面が割れ、溶岩や火山岩が噴出しました。
流れ出した溶岩や火山岩は瞬く間に固まって、噴火の翌日には高さ数十メートルにもなるスコリア丘が形成され、1週間後には5階建てビルの高さに達し、なんと1カ月後には遠い場所からもその姿が見えるほど、パリクティン山は急速に成長したそうです。

パリクティン山の周辺には、未だに蒸気が上がる部分も。
村で唯一残った「奇跡の教会」

サン・ファン・パランガリクティロに残る、押し寄せる溶岩から難を逃れた「奇跡の教会」。建物の半分ほどが溶岩に埋もれている。
パリクティン山が生まれたその翌年、パリクティン山の南東に新たに開いた火口から噴出した大規模な溶岩流により、山から5キロの距離にあったサン・ファン・パランガリクティロは村ごと溶岩に飲み込まれ、一瞬にして廃墟のように変わり果ててしまいました。
しかし、村の中心にあり人々の心の支えとなっていた教会だけは、高い壁に守られて、噴火による被害から奇跡的に難を逃れることとなったのです。
その後、村人たちは村から少し離れた場所に「ヌエボ・サン・ファン・パランガリクティロ(新しいサン・ファン・パランガリクティロ)」という名前の村を作って生活していますが、この教会はまさに「神の奇跡」であるとして、今もなお人々の崇拝の対象となっています。

パリクティン山の溶岩によって埋もれた、サン・ファン・パランガリクティロの村。遠くに唯一残った教会の塔が見える。

ゴツゴツとした溶岩で覆われた、教会へと続く道。

教会の周囲には、見渡す限り溶岩に埋もれた大地が広がっている。

唯一難を逃れたとはいえ、屋根もなくなり、建物の外壁だけが廃墟となって残っている。

自然に半分を飲み込まれた教会の姿と、不毛の溶岩に芽生えた緑の対比が、とても神秘的に映る。
DATA
◎アクセス:ウルアパンから車で約1時間。