インドの首都デリーに建つ、ムガール帝国時代の城塞「レッド・フォート(赤い城)」。
「デリー城」や「ラール・キラー」とも呼ばれているこのお城は、2007年に隣接するサリームガル城と共に「レッド・フォートの建造物群」として、世界遺産に登録されました。
「レッド・フォート(赤い城)」の歴史

オールドデリーにそびえ立つ、レッド・フォート(赤い城)。

長大な城壁で囲まれている。
インドの首都デリー。その中心には、ムガール帝国(16
ヤムナー川沿いに建つこの「レッド・フォート(赤い城)」は、「タージ・マハル」を建設し、その豪快なお金の使いっぷりで国庫を傾かせ、のちに幽閉されることになってしまった王様である、ムガール帝国皇帝シャー・ジャハーンが建てたもの。

赤砂岩の「ラホール門」。レッド・フォートの西に位置し、高さ8メートルにもなる城壁に作られたラホール門は、当時も今も、レッド・フォートへの主要な出入り口として使用されている。

ラホール門へと続く道。
ムガール帝国の首都をアーグラからデリーに遷都した際、自らの名を冠した新都「シャージャハーナーバード」における居城として、1648年に建てられました。
当時のシャージャハーナーバードは「地上の楽園」と詩に歌われるほど、豪華な宮殿が並ぶ都でした。
しかし、1857年に起こった「インド大反乱」の際に、イギリス軍の駐屯地としてレッド・フォートが接収されると、敷地内に兵舎が建てられるなど、城内は大きく変わることになりました。
ちなみに「インド大反乱」とは、1857年~1859年にかけてインドで起こった、イギリスの植民地支配に対する民族的大反乱。
レッド・フォートでは、現在もその一部が軍の施設として使われていますが、デリーを代表する観光地として、多くの人々が訪れているほか、インドの独立記念日である8月15日には、ここで首相が演説するのが恒例となっています。

城内にある「ナッカル・カーナ(中門)」。2階部分は博物館として使用されている。

王が一般人の謁見を受けたという公謁殿、「ディーワーニ・アーム」。(travelview / Shutterstock.com)

「ディーワーニ・アーム」内部。かつてはすべてが金色に彩色されていたという。(Eterovic / Shutterstock.com)

貴族や外国大使などと謁見するための上等な謁見殿「ディーワーニ・カース」。

「ディワーニ・カース」。「If there be a paradise on earth, it is here, it is here.(もし地上に楽園あれば、それはここなり)」という言葉が刻まれていることで有名。

「ディワーニ・カース」。大理石の柱には繊細な装飾が施されている。

皇帝の寝所として使用されていた「カース・マハル」。ふんだんに使われた白大理石には、彫刻やモザイクによる華麗な装飾が施されていた。
DATA
◉アクセス:インディラ・ガンディー国際空港からニューデリー駅まで列車で約20分、駅から車で約15分。