数年前から海外のYoutubeを中心に広がりを見せている、「ASMR動画」というものをご存知ですか?
人は、囁き声や髪をとかす音、本をめくる音、水を流す音、軽くキーボードなどを叩く音などに、 “快感”や“癒し”を感じると考えられているのですが、「ASMRアーティスト(ASMRtist)」と呼ばれるユーチューバーたちが、こうしたサウンドを編集した動画を作成し、話題を集めているのです。
今回は、まだ「ASMR動画」を見たことがないという皆さまに、その不思議な世界をご紹介したいと思います◎
「ASMR」とは?

身近にある癒しの音を録音・編集して作られる、「ASMR動画」。
そもそも「ASMR」とは、「Autonomous Sensory Meridian Response」の頭文字をとったもので、日本語では「自立感覚絶頂反応」と訳されており、聴覚や視覚に特定の刺激(トリガー)を受けることによって、頭皮や首、肩にかけてゾクゾクする感覚、あるいは脳がとろけるような感覚を引き起こすことを意味しています。
たとえば、お坊さんの説法や、学校の先生の話し声に、ついウトウトしてしまうあの感覚も「ASMR」のひとつと考えられています。
科学ではハッキリとした要因などは解明されていないものの、ヒーリングやストレス解消効果があるとして、最近「ASMR動画」を視聴する人が増えているそうなんです。
じつは筆者も以前から、ストレスを感じたときや眠れないときなどにこうした「ASMR動画」を視聴していて、ちょっとした癒しの時間を楽しんでいます。
Youtubeで人気の「ASMRアーティスト」に注目!
「ASMR動画」とひと口に言っても、その内容はさまざま。なかにはひたすら癒しの音を流すという内容のものもありますが、なかでもおもしろいのが、「ロールプレイング」を取り入れた動画です。
たとえば、美容院や病院、エステ、図書館などを設定に、「ASMRアーティスト」たちがさまざまなサウンドをつくりながら囁くように語りかけてきてくれます。
Youtubeで62万人以上のフォロワーを誇る人気のASMRチャンネル「WhispersRed」を手がけるイギリス出身のエマ・スミスさんは、ロールプレイングの動画を中心にさまざまな「ASMR動画」を発信している「ASMRアーティスト」。
2012年に交通事故に遭ったことでPTSD(心的外傷後ストレス障害)を負ったというエマさんは、心のリラクゼーションを求めていたときにYoutubeでASMR動画と出会い、自身でも動画を作成するようになったそうです。
サウンドセラピストの資格も持つエマさんの動画は、耳に心地よく、聴いているだけでいつのまにか眠ってしまいそうになるほど、リラックス効果がバツグンです。
(エマ・スミスさんの「WhispersRed」)
「ASMR」の効果は人によってさまざま
実際に「ASMR」の効果を感じられるかどうかは個人差があるそうで、自分にとって効果があると感じられる動画を見つけるまで、時間がかかることも。
ASMRチャンネル「TheWaterWhispers」のASMRアーティストであるイルセ・ブランサートさんは、「まったく効き目のない動画もたくさんある」と認めつつ、それでも諦めずに自分に合った動画を探すことをオススメしています。
「トリガー」と呼ばれる刺激を誘発する要素は、指で何かをこする音や、誰かが頭皮マッサージを受ける音、化粧品のコンパクトを開けたり閉じたりする音、優しく囁く声など、聴覚的なものが主流です。
人によっては、外国人が話す英語の独特なアクセントがトリガーになったりするなど、どんな音に反応するかは個人によってさまざま。そのため、自分のお気に入りの“サウンド”を見つけるまで、根気よく動画を探すことがポイントになります。
(イルセ・ブランサートさんの「TheWaterWhispers」)
将来的は治療などに利用される可能性も
イギリスのスワンジー大学で行われた実験では、被験者が「ASMR動画」を視聴したところ、視聴中と視聴後に、気分の改善に影響をおよぼしたことが分かったそうです。
その理由などについて、まだ細かいことは分かっていないものの、「ASMR動画」を視聴することによって体がリラックスし、眠気を呼び起こす効果があることから、将来的にはこうした動画を使って「心療セラピー」などに役立てる可能性もあると考えられています。
(ASMR動画のパイオニアでもあるマリアさんの「GentleWhispering」)