【日本の伝統模様 vol.7】石畳・市松模様

「麻の葉」、「七宝(しっぽう)」、「籠目(かごめ)」、「千鳥」……。

いつだったか、どこかで聞いたことのあるこれらの名前は、私たち日本人になじみの深いもの。日本に古くからある伝統模様の名前です。ひとことで「模様」といっても、その背景にある歴史や意味は奥深く、縁起もさまざま

そんな日本の伝統模様のなかから、今回は「石畳(いしだたみ)・市松模様(いちまつもよう)」をご紹介します。

「石畳・市松」模様の由来と縁起

【日本の伝統模様 vol.7】石畳・市松模様01

四角が交互に連なる「石畳・市松模様」。

「石畳」とは、2色の正方形または長方形が、互い違いに並んでいる模様です。「石畳」という名前からも連想できるように、整然と敷き詰められた敷石が名前の由来です。

古墳時代の埴輪(はなわ)の服に石畳模様があったことから、人の想像力から自然発生したイメージが模様になったと考えられています。

古くは「石畳」、平安時代には「霰(あられ)」とも呼ばれましたが、いちばんなじみのある呼び名は「市松」模様でしょう。

白と黒の正方形がどこまでも繰り返される模様が基本で、江戸時代中期の歌舞伎役者、初代佐野川市松(さのがわいちまつ)が舞台衣装として着たのをきっかけに大流行。

以降、「石畳」は「市松」模様と呼ばれるようになりました。

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写楽が描いた「三代目佐野川市松の祇園町の白人おなよ」の浮世絵。市松模様の着物がモダンです!(東京国立博物館)

途切れることなく続く様子から、「永遠」・「発展拡大」・「繁栄」が縁起とされています。

最近は特に、2020年東京オリンピック(東京五輪)のエンブレムにも採用されたことで、市松模様を目にする機会が増えましたね!

ちなみに、このエンブレムの市松模様は変則的。公式ホームページによると、”国や文化・思想などの違いを示し、「多様性と調和」のメッセージが込められている”、とのことです。

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2020年東京オリンピックのエンブレム。正方形だけではなく、さまざまな形の四角を組み合わせている。(Ned Snowman / Shutterstock.com)

英語で言うと、「チェスボード柄」or「チェッカーフラッグ柄」

おおざっぱに言えば、市松模様は英語で「チェック(Checkered, Plaid)」。正確に言うと「チェスボード柄(Chess board pattern)」、または、「チェッカーフラッグ柄(Checkered flag pattern)」となります。

西洋版将棋のようなチェスのボードは、まさに市松模様!

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”まさに市松模様!”な、チェスボード。

そして、レーススポーツで最後に降られる旗が「チェッカーフラッグ」。F1レースやボートレースでおなじみです。最後に降られることから、「勝利者」を意味することもあります。

チェッカーフラッグがなぜこの柄なのかは、”目立つから”とかいくつか説がありますが、起源はよくわかっていないそう。

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レース場でチェッカーフラッグを振る男性。

多種多彩な「市松模様」。家紋では「石紋」

オリンピックのエンブレムでもわかるように、市松模様の変化形は多種多彩。色によっては、モダンにもレトロにも、和にも洋にもなってしまいます。

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菊や花菱と組み合わせた、「菊市松」。

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四角い花菱を市松模様に仕立てた「市松花菱」。

ちなみに家紋では、「石紋」と呼ばれます。「丸にひとつ石」、「糸輪に三つ割の三つ石」、「石持地抜四つ石」……と微妙に形を変えながら、市松模様のなごりがある感じ。

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左から、「丸にひとつ石」、「糸輪に三つ割の三つ石」、「石持地抜四つ石」。

特に、9つの菱形が連なった「つなぎ九つ石」は、とてもカッコイイです◎

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「つなぎ九つ石」。モダンなデザインがカッコいい!

「市松」といえば……

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「市松人形」。キレイですが、迫力あります……。

蛇足ですが、「市松」といえば、もうひとつ有名なのが「市松人形」。おかっぱ頭の女の子の日本人形です。

市松人形の名前の由来は、市松模様の由来となった”佐野川市松に似せて作られたから”とか、”市松模様の着物を着た人形だから”とか、”市松という名前が一般的だったから”、などの説があります。

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