日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社でキャビンアテンダント(CA)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎
今回は、清潔さや体型、髪型など、一般的な職種よりも厳しい基準が求められる「キャビンアテンダントの”見た目”」についての経験をお伝えしたいと思います!
キャビンアテンダントの髪型

アエロフロート・ロシア航空のキャビンアテンダント。(Denis Kabelev / Shutterstock.com)
飛行機のキャビンアテンダント(CA)の髪型といえば、「シニヨン」だったり「夜会巻き」だったり、髪をキレイにまとめているイメージがあると思います。
じっさい、そういうヘアスタイルにしているキャビンアテンダントが多く、筆者も入社当時は髪をまとめて乗務していました。
しかし、ここ数年間はずっと短いボブスタイルにしています。
いったいなぜ、筆者がボブにしたかというと、それには苦い経験が理由になっているのです……。
公衆の面前で体重を曝される!?

シンガポール航空のキャビンアテンダント。確かにきちんとした身だしなみは大事だけど……?(Sorbis / Shutterstock.com)
むか~し昔、筆者がまだまだ新人だった頃のフライトでのこと。
色々と細かい事を厳しく注意してくる女性責任者がいて、新人だった筆者にとっては、非常に怖い存在でした。今考えれば、新人だった筆者のことを思って、ほかの乗務員よりも気にかけて注意してくれていたのかもしれませんが……。
そんな彼女と筆者のブリーフィング(フライト前のミーティング)で、こんな会話がありました。
責任者:「あなた、体重何キロ!?」
私:「えっ!? 体重ですか!? ○○キロですが……。」
責任者:「 前(多分入社当時を指して)はもっと少なかったでしょ!!」
私:「え~と…… 変わってないですけど……。」
責任者: 「もっと痩せなさい!!!! 見てみなさい、あなたのおしりとほっぺ!! ね~みんな!?」
と、周りの乗務員に同意を求めながら、筆者が太っていることを注意してきたのです。
確かに”痩せたいな”とは思っていましたし、”自分が痩せている”なんてみじんも思っていませんでしたが、みんなの前で注意されるほど太っているとまでは毛頭思っていませんでした。
しかも、まだ20代だった筆者には、けっこうな打撃。そして、公衆の面前で女性に体重を訊ねるデリカシーのなさにもビックリしました(笑)
面と向かって「太ってるね」

バンコク・エアウェイズのキャビンアテンダント。男性の乗務員のなかには、ゲイの方も多いんだとか。(Sorbis / Shutterstock.com)
また別のときには、一緒に仕事をしたこともないし、知り合いでもないゲイのキャビンアテンダントから、「アナタ、ちょっとポッチャリしてるわね」と、すれ違いざまに言われたことも……。
そのときはもう苦笑いするしかありませんでしたが、ゲイの方には、女性以上に美意識が高い人も多くいるため、他人の見た目が気になったのだと思います。
さらには、何度も一緒に乗務したことのある男性責任者にも、「ほっぺが丸いな!」とよくからかわれていました。
ただし彼の場合は、新人の筆者とも冗談を交えて会話ができるぐらいフレンドリーな責任者だったので、悪い意味ではなくネタとして、会うたびにほっぺたのことをイジっていたんだと思います。
思い切って髪型を変えてみたら……?

マレーシアの格安航空会社、エアアジアのキャビンアテンダント。髪型が違うと印象も大きく変わる?(Sorbis / Shutterstock.com)
筆者も、初めは自分の体型なんて気にしていなかったのですが、こんなに色んな人に指摘されると、少しずつ気になるように……。
そこであるとき、思い切って長かった髪を、バッサリとボブに切ってみる決心をしたのです!!
そして、髪型をボブにしてから初めてそのフレンドリーな男性責任者に会ったとき、「ぜったいこっちの髪型の方がイイ!!」とベタ褒めしてくれるではありませんか!
また、それ以降はほかの人からも「太っている」と指摘されることもなくなり、”まとめ髪だったせいで、実際よりもかなり太って見えていたのかな”と、改めて思いました。
こうした経緯もあって、今ではボブスタイルが定番になった筆者。”髪を伸ばそう”と思うこともありません(笑)
日本の航空会社ではありえない?

JAL(日本航空)の飛行機。(JEERAPAN JANKAEW / Shutterstock.com)
そもそも、筆者が勤めているのは日本ではなく、アジア系の航空会社。
発言をオブラートに包むこともまったくなく、”太っている”と直球で言ってくる、”失礼”というか”デリカシーがない”とうか……良くいうと”素直”?(笑) そんなお国柄のせいなのかもしれません。
職場の人に体型を面と向かって指摘されるなんて、日本ではありえないことで初めは戸惑いましたが、今となっては思い出話になりました(笑)