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映画「RENT/レント」【テアトル・オネェ 第14回】

新旧・内外・ジャンルも問わず、オススメの映画を取り上げるDoccaの架空映画館「テアトル・オネェ」。アタクシが支配人のヴァニラ・ノブです◎

今回は、2006年に公開された超名作ミュージカルの映画化作品「RENT/レント」をどうぞ!

映画「レント」【テアトル・オネェ 第14回】01

◎「RENT/レント」のみどころ

■ 舞台初日に急逝した脚本・作詞・作曲のジョナサン・ラーソンの思いが詰まったミュージカル

■ 超名曲「Seasons of Love」をじっくり聴いて!

■ 今でも共感できる、ニューボヘミアンたちの青春

◎気になるあらすじは……?

「RENT/レント」は、1996年にニューヨークのオフ・ブロードウェイ(ブロードウェイのなかの小規模な劇場)で開幕した舞台を映画化したもので、監督は「ハリーポッター」や「ホームアローン」シリーズでおなじみの、名匠クリス・コロンバス!

自ら”レント・ヘッド(熱狂的なレントファン)”と名乗るだけあって、その思い入れは映像からもしっかりと感じられるわ◎

そして脚本、作詞、作曲を担当したジョナサン・ラーソンは、なんとオフ・ブロードウェイでのプレビュー前日に大動脈解離が原因で亡くなったの。35歳の若さよ……。さぞや無念だったろうけど、まさに大きな形見を残してくれたわ。

映画「レント」【テアトル・オネェ 第14回】02

クリス・コロンバス監督。(Ron Adar / Shutterstock.com)

今作の大元となるのは、1830年代のパリで貧しくも生きる若き芸術家などボヘミアンたちの姿を描いた、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」。

その舞台を1989年のニューヨークはイースト・ヴィレッジに置き換えて、そこで生きるミュージシャンや映像作家などのアーティストたち(つまり現代のボヘミアンね!)に焦点を当て、クリスマスからの1年間を通して彼らの生きざまを描いた物語なの。

内容は、夢を追って楽しいだけではなく、貧困や恋愛の問題もあるし、LGBTの事案も絡んでくるし、ドラッグやHIVという厄介なこともフィーチャーされてる。

なによりもアタシ、このミュージカルは曲から好きになったのね!

「Seasons of Love」という、”「RENT/レント」といったらコレ”と言われる曲なんだけど、これを初めて聴いたときに、なぜか涙がとめどもなく流れてしまって……。それで歌詞をもう一度確認しながら聴いてたら再び落涙(歌詞は著作権があるので書かないけれど)……。

”1年や一生をどう計る?”っていう意味を改めて噛みしめながら、”なんてすごい歌詞なんだろう”って、自分のなかの戒めの曲になったわ。

◎ゲイの人脈は世界を駆けるのよ!

映画「レント」【テアトル・オネェ 第14回】03

ニューヨーク・マンハッタンにあるブロードウェイ。数々の名劇場が集まる。

で、どうしてもこのミュージカルが観たくってニューヨークへ行ったのは、作品が評価されてオフ・ブロードウェイからあっという間にオン・ブロードウェイに昇格しての公演から、1年ちょっとが過ぎた頃。

だけどチケットを取ろうと思っても、まだまだ人気があってなかなか取れなかったのよ!

結局、ニューヨーク在住のゲイ友が、彼の元カレで演劇関係者のちょっとした大物に連絡を取ってくれたことで、チケットがゲットできたの(このとき、”持つべきものはゲイ人脈”と感激して、その世界のコネの強さに平伏したわぁ……)。

そして、劇場に入ったとたんに空気感が変わったのを感じたわね!

舞台もシンプルなセットだったけれど、そのキャストたち、バンドのパワーにやられまくり。そして前記した「Seasons of Love」には、ただただ嗚咽だった……。 最後までずっと涙がこぼれていたような気がするくらいよ。

劇場を後にしてもその余韻は続き、食事にも飲みにも行きたくなくてホテルに直帰。CDを聞き直して、さっきまで観ていた作品の記憶をしみじみと反芻したっけなぁ……。

◎愛憎半ばの日本版だったけど……

そんな思い入れのある作品だけに、1998年に日本人キャストで「RENT/レント」を公演するっていうのを知ったときは、正直“かんにんして〜〜〜っ”と思ったわ……。

で、無視を決め込んでたんだけど、結局、友達が”一緒にチケット取るから行こう”って声をかけてくれて、最初は断ったものの、好奇心が抑えきれないのと、反対に”クサしてやるわ”という愛憎半ばの気持ちで観に行くことに……。

で、結果としてコレが意外と良かったのよ! というか満足した!

初演では、山本耕史が主人公のマークを演じてたんだけど、”このマークはこのマークでアリだな”と……。

◎オープニングから号泣よ!

それから日本版のアルバムも愛聴するようになって数年も経った頃、今回紹介する「RENT/レント」の映画化情報が! しかも、舞台のオリジナルキャストがほとんど出演すると!!

もうね、この情報を知ったときは狂喜乱舞でミュージカル好きなゲイ友と大喜びしたんだけど、共通してた懸念は、映画化されて失敗しちゃうこと。それと、”レント・ヘッド”たちの期待を裏切ること。

だってこれまでにも、舞台の映画化って成功したのもあるけど失敗したのも多いもんだから、これまた愛憎半ばの思いで待ってたのよね……。

そんな思いのなか、劇場公開されてすぐ観に行ったんだけど、ゲイが”ゲイアンテナ”でお仲間を感じるように、劇場内は”レントアンテナ”がすごくて、お互いニヤリとしまくりだったなぁ……。

そしていよいよオープニング。舞台に並ぶキャストがサスペンションライトの中で歌う「Seasons of Love」から滂沱の涙だったわぁ。

そしてシンプルな舞台だったからこそ、映画で観ることのできた「Rent」を歌う広がりのあるシーンや、カフェに集って歌い踊る「La Vie Boheme」の高揚感には、思わず踊りたくなったほど。

舞台の「RENT」とは違いもあるけれど、ジョナサン・ラーソンが作った作品に対するオリジナルキャストの思い、この映画で参加したロザリオ・ドーソンやトレイシー・トムズの本気、そしてクリス・コロンバス監督をはじめとしたスタッフの思いが映像にしっかり残った点は、とても良かったと思うわぁ◎

映画「レント」【テアトル・オネェ 第14回】04

HIV患者であるミミ役を演じたロザリオ・ドーソン。(Debby Wong / Shutterstock.com)

映画「レント」【テアトル・オネェ 第14回】05

レズビアンでハーバード大学卒の弁護士であるジョアンヌ役を演じた、トレイシー・トムズ。(Everett Collection / Shutterstock.com)

◎意外なキャストも必見

映画「レント」【テアトル・オネェ 第14回】06

ユダヤ人映画監督である、主人公マーク役を演じたアンソニー・ラップ。(lev radin / Shutterstock.com)

↑ トレイシー・トムズ演じるジョアンヌの恋人役でもあるイディナ・メンゼル。

「RENT/レント」をまだ観たことがない人も、すでに観たことがある人も、このクリスマスシーズンとニューイヤーシーズンにこそ、ぜひ観てほしい作品。きっと得るものがあるはずよ◎

ちなみに、主役のマークを演じたアンソニー・ラップは、昨年、ケヴィン・スペイシーからセクハラを受けた過去を告白した人物でもあるの。

そして、アングラパフォーマーでバイセクシャルのモーリーンを演じたのは、以前紹介した「魔法にかけられて」や「アナと雪の女王」でエルサの声を演じたイディナ・メンゼルってのも、ちょっと気にかけて観ると感慨深いわよ◎

MOVIE DATA

「RENT/レント(Rent)」

■ 監督 …… クリス・コロンバス

■ 出演 …… アダム・パスカル、ジェシー・L・マーティン、アンソニー・ラップ、イディナ・メンゼル ほか

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