日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社でキャビンアテンダント(CA)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎
今回は、飛行機嫌いの人はもちろん、飛行機に乗り慣れているキャビンアテンダントでさえ怖い「エアポケット」についてお話ししたいと思います!
「エアポケット」とは?

天候の悪い日などは特に要注意!
皆さんは、「エアポケット」ってご存知でしょうか? エアポケットとは、飛行機が上空で急激に下降する空域のことで、乱気流の一種です。
飛行機に乗っていると、乱気流の通過中に揺れるということは多々あります。ただ、稀になかなか経験することがないぐらい怖いエアポケットもあるんです……。
これまでの経験で最大の「エアポケット」

シートベルト着用のサインは見逃さず!(aldorado / Shutterstock.com)
実際に筆者が乗務していたフライトで起こったときのこと。ドリンクサービスの終了後、お客様から飲み終わったカップを回収していたときに、機長から「乱気流を通過します。シートベルトを締めてください。」という趣旨のアナウンスが流れました。
筆者はこのフライトで日本語アナウンス担当だったため、アナウンスを入れようと思って急いでギャレーに戻っていたら、
「ドーーーーーン!!!!」
飛行機が、”揺れる”というよりもいきなり急下降する感じの衝撃が。
あせったものの、手にはトレーとカップを持っていたのでどうすることもできず、その場でただ必死に耐えました。
そして、「あれ? 収まったかな?」と思ったその瞬間、またもや
「ドーーーーーーーーーーーーーン!!!!!」
という、先ほどよりもさらに大きな揺れが!
このときは普通に立って耐えられるような揺れではなく、衝撃で床に膝をついてしまいました。そして手に持っていたカップは床に散らばり、とにかく必死でお客様の座席を掴んでいました。
なんだか勝手に自分の身体が沈んでしまうような感覚で立っていることができなくなり、そんな筆者を周りのお客様が反射的に掴んでくれているほどでした。
お客様自身も怖かったと思いますが、皆さん飛行機が揺れるなかで「Are you okay !?」、「大丈夫ですか!?」と、筆者を気遣ってくださいました。
お客様がとっさに掴んでくださっていなかったら、きっとケガをしていたでしょうから、その時はもちろん、今でもとても感謝しています。
揺れが収まった後

ドリンクサービス中のキャビンアテンダント。このカートはとても重いため、急な揺れなどの際は注意しましょう!(BePhumirat / Shutterstock.com)
その後もしばらく大きな揺れが続いたため、筆者は通路にしゃがみ込んだままでしたが、ようやく歩けるようになってからギャレーに戻ってみると、トレイに残っていたカップのジュースが散乱しており、床にはジュースの海ができていました。
また客室でも、乗務員がこぼれてしまったジュースの処理など、後片付けをしていました。機内の掃除をしつつも、やはり完全に揺れが収まったわけではなく、その後も飛行機が揺れるたびに壁を掴み、その間終始心臓はバクバク……。肝心な日本語アナウンスも入れたものの、動揺は隠せていなかったと思います。
この時のエアポケットは、機長のアナウンスが入って間もないぐらいにいきなり揺れ出しました。そのため、お客様のなかにはシートベルトを締めてない方もいらっしゃったと思います。
幸いにも、お客様や乗務員にケガはなかったのですが、一歩間違えればと思うと、とても怖くなります。
飛行中は常にシートベルトを!!

着席中は必ずシートベルトを!
こうしたエアポケットや乱気流は、ひどい場合はケガ人が出て入院することになったり、食事のサービスなどで使うカートが天井に当たり、天井が壊れたりすることもあります。
そのため、機長は乱気流を通過することが分かっている時は事前にアナウンスを入れてシートベルトサインを付け、乗務員とお客様に注意を促します。
しかし、このときのように対応が間に合わない場合もありますし、いつ乱気流を通過するか分からない場合もあります。
ですので、飛行中は常にシートベルトを締めておいた方が絶対に安全です!筆者自身も、乗客として飛行機に乗る際は、必ずシートベルトは締めるようにしています。
また、シートベルトサインが点灯しているときは、お手洗いに行くのも避けてください。特に、乗務員が座っているときは大きな揺れが起こる可能性も高いです。
これから飛行機に乗られる方は、快適な空の旅にするためにも、ご自身でも安全対策をするよう心がけてくださいね!