ヴァニラ・ノブが支配人を務める架空映画館「テアトル・オネェ」。新旧・内外・ジャンルも問わず、オススメの映画をレインボーな視点で取り上げ、ご紹介させていただきます◎
今回の上映作品は、2月1日(金)から公開されるディズニーの最新映画で、アノ名作の続編を描いた「メリー・ポピンズ リターンズ」!
◎「メリー・ポピンズ・リターンズ」のおすすめポイント
■ 「メリー・ポピンズ」54年ぶりの続編!前作のオマージュをしっかりしつつ、続編の新鮮さも◎
■ じつは、監督、出演者、作詞・作曲家までゲイが支えてるの!
■ ディズニークラシックファンには感涙モノのサプライズが!
◎やっぱり前作も気になるわよね?
1965年に製作された前作「メリー・ポピンズ」は、P.L.トラヴァースの児童文学『風に乗ってきたメアリー・ポピンズ』を原作にしていて(この映画化にまつわる攻防戦はトム・ハンクス主演の映画「ウォルト・ディズニーの約束」に、エンタメとして描かれてるわよ!)、メリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュースが、アカデミー賞主演女優賞など5部門を受賞したという、今も不変の名作。
物語の舞台は、1910年のロンドン。銀行に勤めるバンクスは、婦人参政権運動に走り回っている妻・ウィニフレッド、そして、ジェーンとマイケルという2人の子どもと暮らしていた。
バンクスが娘と息子のためにナニー(乳母)を探していたとき、ひょんなことから、風に乗ってバンクス家にひとりの女性が現れるの。彼女こそが、メリー・ポピンズ!
ちょっと強引な展開だけど、とにかく乳母となった彼女は子どもたちにさまざまな不思議な出来事を体験させて、問題を抱えていたバンクス家にある奇跡を起こすって話が、「メリー・ポピンズ」のストーリー。
「チムチム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」、「2ペンスを鳩に(Feed the Birds (Tuppence a Bag))」、「お砂糖ひとさじで(A Spoonful of Sugar)」、「凧をあげよう(Let’s Go Fly a Kite)」などなど、メロディを聴けばその場面が浮かぶし、学校の授業でも習ったっていう人も多いんじゃないかしら? あと、忘れてならない「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(Supercalifragilisticexpialidocious)」という曲は、ドラァグクイーンのリップシンク(口パク)ショウとして、昔からの定番ネタになってるわ◎
そんなメリー・ポピンズが続編として帰ってくるもんだから、アタシも興奮しまくりで観たわよ! しかも監督は、オープンリーゲイのロブ・マーシャル!
彼は、ブロードウェイでミュージカル版の「蜘蛛女のキス」、「キャバレー」などの舞台で振付家として活躍し、さらに映画「シカゴ」でアカデミー賞作品賞など数々の賞を受賞した後も、「NINE」、「イントゥ・ザ・ウッズ」と、ミュージカルを得意としてる方(カルトムービーにもならなかった珍作「SAYURI」や、なぜか「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」もあるけど)。
そんなロブ・マーシャルが多大に前作をリスペクトしながら作り上げた続編は、ミュージカル好きのアタシには充分な作品だったわぁ……。
◎気になるあらすじは……?
さて、そんな続編である「メリー・ポピンズ・リターンズ」は、前作から25年後のお話。
バンクス家の子どもたちも大人になり、マイケルは3人の子どもたちの父に……。でも、1年前に奥さんを亡くし、さらに予期せぬ借金で長年住んでいた家も差し押さえられるかもという危機に陥っているのね。
そんなとき、メリー・ポピンズがふたたび風に乗って、子どもたちのナニーとしてやって来るの!
◎とにかく、キャストもスゴイから!

今作でゴールデングローブ賞をはじめ、数々の主演女優賞にノミネートされた。(DFree / Shutterstock.com)
さすがに前作のジュリー・アンドリュースがメリー・ポピンズを演じるのは無理、ということで白羽の矢が立ったのが、「プラダを着た悪魔」や「クワイエット・プレイス」のエミリー・ブラント。
前作のキャラクターイメージを踏襲しつつも、ツンデレ感がアップグレードしてて最高(ちなみに日本語吹き替え版は、日本版ミュージカル「メリーポピンズ」で主演した平原綾香が務めてるんだけど、こちらもイイわよ〜)!
そして彼女の友だちで点灯夫のジャックに扮するのは、ブロードウェイミュージカルの「イン・ザ・ハイツ」や「ハミルトン」でトニー賞をはじめ数々の賞を受賞している劇作家で作詞・作曲家の顔を持つ、リン=マニュエル・ミランダ。彼がまた見事な歌と踊りを披露してるわ!!

ラッパーでもある、リン=マニュエル・ミランダ。ディズニー映画「モアナと伝説の海」では、主題歌をはじめ全11曲を手がけた。(Kathy Hutchins / Shutterstock.com)
さらに、前作でメリーポピンズの親友バートを演じたディック・バン・ダイクが、今作でも「ある役」で登場し、90歳超えとは思えないダンスを披露しているし、古くは「ベッドかざりとほうき」で新米魔法使いを演じ、「美女と野獣」ではポット夫人の声でタイトル曲を歌っていた、ディズニー作品ではおなじみの名女優アンジェラ・ランズベリーも、ディックと同じく90歳超えにもかかわらず素敵な歌を披露してくれて、ディズニークラシックファンには感涙モノのサプライズを用意してくれてるのよ◎

ディック・ヴァン・ダイク。前作「メリー・ポピンズ」に出演した際は、ウォルト・ディズニー本人から声をかけられたという。(Kathy Hutchins / Shutterstock.com)

アンジェラ・ランズベリー。ポット夫人にそっくり!(Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com)
◎「メリーポピンズ」といえば、やっぱり名曲の数々よね
ちなみに前作は、ご存知の通り名曲揃い。だからこそ今回のナンバーを発表するのは、それはそれは大変だったと思うんだけど、ミュージカル版「ヘアスプレー」の作詞・作曲でトニー賞などを受賞してるマーク・シャイアンとスコット・ウィットマンの公私共にパートナーの彼らは、しっかりと爪痕残してる。
前作の曲を使ってのオマージュも忘れずに、「Can You Imagine That?」は「お砂糖ひとさじで(A Spoonful of Sugar)」テイストでつかんでくれるし、アニメとの合成も3Dではなく2Dで見事に再現してくれ、「A Cover is Not the Book」は「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」と、ロブ・マーシャル監督自身の代表作「シカゴ」を融合させちゃってるし!
メリル・ストリープが歌い踊る「Turning Turtle」は、「笑うことが好き(I Love To Laugh)」のゴージャス版。そして「Trip a Little Light Fantastic」は、「踊ろう、調子よく(Step in Time)」をアップグレード。ラストを飾る「Nowhere to Go But Up」は、凧が風船に代わり「凧をあげよう(Let’s Go Fly A Kite)」へのリスペクトをしっかりしていて、きっと愛おしくなるはずよ◎
すでに某ドラァグクイーンは、「『Can You Imagine That?』をショウでやるわ!」と練習してたしね!
◎幸せな気分になれるわよ
前作では「風が変わるまでいましょう」と言ってたメリーポピンズ。今作では「扉が開くまでいましょう」って言ってくれるんだけど、最後、扉がどんな開き方をするかは、ぜひ映画館で確認してほしいわね!
きっと幸せな気分で劇場を後にするハズよ◎
MOVIE DATA
「メリー・ポピンズ リターンズ(Mary Poppins Returns)」
■ 監督 …… ロブ・マーシャル
■ 出演 …… エミリー・ブラント、リン=マニュエル・ミランダ、ベン・ウィショー、エミリー・モーティマー、ジュリー・ウォルターズ、ディック・ヴァン・ダイク、アンジェラ・ランズベリー、コリン・ファース、メリル・ストリープ ほか
■ 公開 …… 2018年2月1日(金)
■ 公式HP …… https://www.disney.co.jp/movie/marypoppins-returns.html