日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社でキャビンアテンダント(CA、客室乗務員)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎
以前、飛行機の座席のリクライニングについてお話ししましたが、今回は座席に関する別の問題。飛行機の迷惑行為ランキングでもトップ常連の「後ろから席を蹴る客」と、「タッチスクリーンの弊害」についてお話しようと思います。
席を蹴る子どもにはどう対応する?

小さな子どもにイライラするのも大人げない……とは分かっていても、長時間のフライトなどではどうしても気になってしまうもの。
皆さんは、飛行機に乗っているときに後ろから座席を”トントン、ドンドン”と蹴られたり押されたりした経験はありませんか? 筆者も昔、飛行機で寝ようとすると、そのたびに後ろに座っていたお子さんが座席を蹴ってきて、まったく眠れなかったことがあります。
また、先日母と飛行機に乗ったときには、母の後ろに外国人のお子さんが座っていて、「ず~っとトントントントン蹴ってくる……」と母がボヤいていました。あまりに酷くなるようなら、両親に言って注意してもらおうと思っていましたが、”子どもがすることだし仕方ない”ということで、母にはギリギリまで我慢してもらっていました。
するとしばらくしてから、母の隣に座っていた日本人の男性客が、後ろの席に向かって話しはじめ、「さっきからずっとドンドン蹴ってきて! 辞めてください! Don‘t kick!」と訴えたのです。
じつはその男性の後ろには、母の席を蹴っていた子の妹が座っていて、その妹もまた席を蹴っていたようなのです……。
その注意を受けた後は子どもたちも蹴らなくなったため、結局は筆者たちが直接お願いすることもなく解決されたのですが、その日本人男性には何だか申し訳なかったのです(笑)
タッチスクリーンの弊害

便利なタッチスクリーンだけど、じつは弊害も!?
また、筆者が乗務員として働いていたときのこと。あるお客様が、「後ろのお子さんが座席をドンドン押してくる」と、ギャレー(配膳準備スペース)まで相談に来られたのです。
お客様に代わって、筆者がそのお子さんのご家族の元へ話しに行ったところ、そのお子さんは座席に付いているタッチスクリーンでゲームをしており、そのタッチが前の席に伝わっているという状況でした。
そこで、リモコンで操作していただくようお願いしようと思ったのですが、そのゲームがタッチスクリーン専用のゲームだったのです。これはもうどうしようもありません。
さらにその日はほぼ満席のフライトだったので、座席を替わっていただくこともできず、ひとまずお子さんのご両親に、なるべくソフトにスクリーンを押していただくようお願いするほかありませんでした。
多少はマシになったかもしれませんが、それでもやはり、前の座席のお客様にはご不便をおかけしていたと思います……。
できればリモコンを使う

小さな子どもがいる家族は、個人のタブレットを持ち込むなど、できる対策はしておく方がベターかも!
このタッチスクリーン、ゲームの操作だけでなく、映画や音楽を選んだりする際にも使えて便利なのですが、自分では気づかなくても、意外と前の座席までタッチの振動が伝わっているんです。
筆者が乗客として飛行機に乗っているときも、後ろの方がタッチスクリーンの画面操作をしているんだろうな、と分かることが多々あります。そのため、筆者が乗客として乗っていて、タッチスクリーン画面から映画を選んだりする場合は、面倒でもできるかぎりリモコンで操作するようにしています。
ただ映画を選ぶだけの操作なら、そこまで神経質になる必要はないと思いますが、職業柄ついつい気にしてしまうんですね(笑)
このように、以前お話ししたリクライニングにおいてもそうですが、飛行機の座席に関するトラブルはかなり多く、「コレ」という解決方法もないため、なかなか難しい問題です。
他人同士が狭い空間を共有するのですから、自分の思い通りにならないこともあるでしょうが、そういうときこそ、お互いに思いやる気持ちが大切になってくると思います。
また客室乗務員としては、こうした問題をすべて解決することはできませんが、少しでもお客様に気持ち良く過ごしていただけるよう、手助けができればいいなと思っています◎