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映画「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-」【テアトル・オネエ第20回】

いつかゲイ目線でチョイスした映画をマジで上映会したいと切に願う架空映画館「テアトル・オネェ」支配人、ヴァニラ・ノブです。

今回チョイスしたの2月22日に公開されたばかりの新作「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-」よ。

映画「サタデー・ナイト・チャーチ」【テアトル・オネエ第20回】1

◎「サタデー・ナイト・チャーチ」のおすすめポイント

■14歳の少年が自分のセクシャリティの居場所を求める異色ミュージカル

■LGBTQの支援シェルター「サタデー・チャーチ」は実際にある場所

■ひとりの若ゲイ誕生物語!

◎気になるあらすじは……?

ニューヨーク。お父さんが亡くなり、代わりに忙しく働くようになった母、弟、そして自分たちのサポートを引き受けてくれる叔母さんと暮らす、14歳のユリシーズ。彼には秘密があって、母のストッキングや、ハイヒールを履いたりして自分の中にあるモヤモヤをなんとなく解消してたのね。

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Weenie in Frankfurt

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↑主演のルカ・カインは、ブロードウェイの若手俳優。

そんなある日、叔母さんにそのハイヒールを履いてたことを知られて怒られちゃう。その時は謝ったものの、なんか釈然としない。で、ゲイが集まるクリストファー・ストリートエリアに勇気を出して行ってみるの。

アテもなく佇んでいるとトランスジェンダーのエボニーたちに声を掛けられ、毎週土曜日だけ開かれている“サタデーチャーチ”に行ってみることに。そこはLGBTQ(「Q」とは「Queer(クィア)」と「Questioning(クエスチョニング)」の二つの言葉を表したもので、LGBTでもないセクシャリティのこと)など、セクシャルマイノリティのための支援シェルターで、食べ物や、寝るとこ、同様の人たちのコミュニケーションの場になっているのね。

最初は緊張しているユリシーズも、自分と同じセクシャリティの人たちがいるんだという安心感からか徐々にみんなと打ち解けていくの。で、「ヴォーギングのイベントがあるから出てみない?」という言葉に、自分の中に潜在していた何かが目覚め、さらに「ちょっとメイクしてみたら? きっと綺麗になるわよ」という言葉に、また自分の中に潜在していたオネェな電気がビビビッってスパーク!

メイクしてもらった自分を眺め、“あれ、私意外とイケんじゃね”とばかりに、少しづつ開花していくんだけど、また叔母さんがそんなユリシーズのセクシャリティに気づき罵倒! そのまま家を飛び出した彼はサタデーチャーチに向かうも、水曜日だからと誰もおらずそのまま野宿状態。さて、彼は自身のセクシャリティに向き合うことができるのかしら、って話なんだけど、これ、ニューヨークはウエスト・ヴィレッジに実際にあるシェルターをモデルにしていて、監督自身もそこでボランティアを経験したことから生まれた作品。

映画「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-」【テアトル・オネエ第20回】2

本作は初監督作品となるデイモン・カーダシス(lev radin / Shutterstock.com)

◎ストーリーだけじゃなく、音楽にも注目

映画「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-」【テアトル・オネエ第20回】3

ユリシーズの友人エボニー役のMJ・ロドリゲス。大人気ミュージカルドラマ「Pose/ポーズ」では主演を務める。(lev radin / Shutterstock.com)

しかも、ゴリゴリのドラマかと思ったら、ミュージカルタッチなの。しかもいい感じのエレポップでアゲアゲなブロンスキー・ビート的な曲やグレイテスト・ショーマンの「リライト・ザ・スターズ」っぽい曲あり、レントっぽかったりする曲ありと、ミュージカル好きには琴線ふれまくりの美味しいとこ詰め込んた曲が散りばめられてる。しかもダンスはコンテンポラリーなのもニューヨークらしくて面白いわ。

◎ガイドブックにも載っているレインボーフラッグエリア

 

映画「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-」【テアトル・オネエ第20回】4

レインボーの旗がいたるところに掲げられるニューヨークのゲイ/レズビアン文化の中心であるクリストファー・ストリートは、観光客でにぎわっています。(Heather Shimmin / Shutterstock.com)

主人公が最初に自分のセクシャリティを確認するために訪れるのがクリストファー・ストリートっていうのが、かつてアタシも初めてニューヨークに行った時と同じだったから思わず共感しちゃったぁ。

まだうら若き頃、初の海外ひとり旅で訪れたニューヨーク。
「地球の歩き方」ってガイドブックに、同性愛者が集まるエリア、レインボーフラッグが掲げられているのが目印みたいなことが書かれていて、とにかくそこへ行ってみよう、そこに行けば何か見つかるかもと出かけたの。
勇気を出して足を踏み入れたそのエリアはなんだかすでに終わった感が漂ってて、そこのイキのいい住人たちはすでに去ったあとで、残されたのは何してるかわからない、おそらく株や投資で食べてそうな、今も必死で体鍛えてるような老人ゲイばかりなとこだったわ。

仕方なくハドソン川近くでレインボーフラッグが掲げられていたので、“あ! ゲイ関係の店ね!”と見つけたゲイショップ(「地球の歩き方」の情報が“初めて”役に立った気がする!)で、ドキドキしながらポルノ雑誌(もちろん男のね)と、ゲイ情報が載ったフリーマガジンを物色してた。

で、店の人に話を聞くと、「クリストファーストリートエリアは家賃が高くなって連中は引っ越して、今はチェルシーのエリアの方にたくさん住んでるよー」って教えてもらったのも懐かしい思い出。とはいえ、映画の中のユリシーズと同じでそこにいるだけでなんだか安心したし、自分のセクシャリティに確信が持てたような気がしたわ。

◎ユリシーズの将来に不安?

そんなクリストファー・ストリートでユリシーズはトランスジェンダーやゲイたちと知り合い、サタデーチャーチという場所に辿り着いて、やっと自分はひとりじゃないことを知り、自分のセクシャリティを確認できる場所が見つかるんだけど、家庭では忙しいお母さんの代わりに子どもたちの面倒をみると、押しかけてきたおばさんの存在がキツい。

彼女がキリスト教福音派なので同性愛者を毛嫌いしているものだから、ユリシーズに対して、柴田理恵バリのフェイスで凄いことを言っちゃう。この言葉は観ている自分もツラくなっちゃった。それだけにユリシーズのセクシャリティを知った母親の言葉に救われたわ。

ただ、ユリシーズ、これからエボニーたちのようなトランスジェンダーになるのかしらと一瞬思うんだけど、きっとならずに、ゲイとしてしっかりふて子になるわね。その片鱗が後半見え隠れするのも見逃さないでね。

MOVIE DATA

「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-(Saturday Church)」

■ 監督・脚本 …… デイモン・カーダシス

■ 出演 …… ルカ・カイン、マーゴット・ビンガム、レジーナ・テイラー、MJ・ロドリゲス、インドゥヤ・ムーア ほか

■ 公開 …… 2019年2月22日(金)

■ 公式HP …… http://saturday-church.com/

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