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【国際線CAものがたり #21】トラブルから学ぶ「謝罪」の意味

日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社キャビンアテンダント(CA)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎

本連載第1回目に、関東のフライトは後日クレームが来るという話もしましたが、クレームはありがたく日々学ばせていただくいい機会です。今回は外資系航空会社で日本人として働く意味や意義について考えた、実際に私に入ったクレームをお伝えします。

トラブル発生!

【国際線CAものがたり #21】トラブルから学ぶ「謝罪」の意味1

RUBEN M RAMOS / Shutterstock.com

そのフライトは、本国を夜中に出発して、羽田空港に早朝到着する便でした。羽田空港に到着する前にご朝食のサービスがありますが、その前に数種類のジュースをトレイに載せて、お客様に選んで頂きます。以前に書いた福岡行きのフライトと同じサービスパターンです。本国人クルーとトレイを交互にお客様に持っていく途中でした。本国人クルーがトレイを持って歩いていた時、ブランケットを顔まで被っていたお客様が勢いよくブランケットを手で外しました。その手が通路まで伸びてきて、乗務員が持っていたジュースのトレイに直撃してしまったんです。ジュースは思いっきり飛び散り、お客様のブランケットや靴は濡れてしまっていました。

私は少し離れた所でサービスしていたのですが、トレイをギャレー(配膳準備スペース)に置いて、乾いたタオルと濡れたタオルを持って、靴を拭いたりさせて頂きました。本国人クルーは「私じゃないのよ、ただ歩いてたとこにお客様が自分でやったの。」と弁解していました。本国人クルーに変わって、私がその濡れてしまったお客様の対応をさせて頂いたのですが、最終的に「朝食はいらない」とご立腹でおられて、到着までまたお休みになられていました。

クレームで呼び出し

【国際線CAものがたり #21】トラブルから学ぶ「謝罪」の意味2

この羽田行きフライトを終えてしばらくたったある日、オフィスにクレームが上がったとのことで私は会社から事情を聞くために呼び出しの連絡がありました。なんと、私と本国人クルーが通路ですれ違い中に、本国人クルーがジュースをこぼしたと。また、ご朝食を召し上がれなかったとのことがメールで書かれていたのです。私は当日のそのアクシデント自体には関与していなかったので、正直、「え!?」と拍子抜けでした。お客様も寝起きでしたので、記憶が曖昧になっているのかなと思いますが、私は逆にその場で対応を代わり、日本語でお世話をさせて頂いたので、そう言われてしまうのもいささか悲しく…。
ただお客様のメールには、「日本人乗務員はタオルを持ってきてくれたり世話はしてくれたが、本国人クルーからも日本人乗務員からも謝罪の言葉が一切なかった。」とも書かれていました。
当時、本国人クルーの「お客様が自分でやった」という状況説明をうけバトンタッチしたので、私もお客様に謝罪はしていませんでした。そんなに深く考えていなかったのですが、そのことがクレームに繋がってしまいました。

何について謝るべきか

 

日本人乗務員として間違った行動を取ってしまったと思いました。確かにお客様ご自身の手がトレイに当たってしまったことではありますが、現にお客様にご不便があったのは事実です。

日本人の上司からは、「やってしまってごめんなさいではなく、起きてしまったことにごめんなさいと言う意味の謝罪をすれば良かったですね。」と言われ、確かにそうだったなと思います。
日本人乗務員はお客様と本国人クルーの架け橋になるべきところ、本国人クルーの言い分に偏った行動をしてしまいました。

【国際線CAものがたり #21】トラブルから学ぶ「謝罪」の意味4

今の会社で働く上で、日頃から会社が何故日本語が話せる本国人でなく、わざわざ日本人乗務員を雇っているのか考えるようにしていますが、そのことを再度考えされられた一件でした。

日本人クルーのCAだからでなく、日常のなかでもすっとスムースに「ごめんなさい」といえるコミュニケーション術身につけていきたいものです◎

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